ユーザーの意見も反映。もっと速く、読みやすいアプリを。
――ComicGlassはどれ位の期間で作り上げたのですか?
堀田隆介氏: iPhoneのプログラムを作ったのは、このアプリが初めてで、8ヶ月位はかかっていると思うんですが、1日あたりの作業時間は短いんです。最初のバージョンは、もともと自分が使えれば良いかなという位で作って、公開するかどうかも決めていなかったんですけれど、公開してみたら評判が良かったので、色々な方の意見をもらって改良していったら今のようになりました。
――ユーザーの意見を参考にしたのはどういったところがありますか?
堀田隆介氏: 自分の知らないようなことがたくさんあったので、ユーザーに教えてもらうことがいろいろありましたね。例えば、iPhoneは横にすると画面が回転しますが、回転をロックするっていうのは基本中の基本だったらしいんですけど、実は知らなかったんです。寝転んで読む人が結構多いみたいで、自分はそういうことはなかったんですよね。当時、本体はロックできなかったので、アプリをどうしてもロックする必要があったんですね。だから最初のころのユーザーさんにはお世話になりました。メールを頂いたり、「2ちゃんねるでたたかれてるぞ」みたいに言われて、サイトを読んでみたりとか。
――2ちゃんねるなどの意見もチェックされているんですか?
堀田隆介氏: 最近は心が折れるのであんまり見てないですけれど(笑)。2ちゃんねるよりもAppleのレビューが一番怖いですね。ちょっと口には言えないですけど、いろんなこと書いていただいて。良いこともたくさん書かれていて、非常に役立つこともあります。もっと返事ができたらなと思うこともあるんですけれど。
――あらためて、ComicGlassの力を入れた点や、特徴などをご紹介いただいてもよろしいですか?
堀田隆介氏: これは最初のバージョンからなんですけれども、ページ送りをとにかく早くしたかったので、バックグラウンドで次のページを読んでおいて、すぐめくれるようにして、読んでる時にストレスがないようにということを、一番のコンセプトとしてやっていますね。
――今までのPDFリーダーなどに、煩わしさを感じられていたのですか?
堀田隆介氏: 昔リーダーは特に、ページを送ってから読み込み始めるんですよね。あと、当時iPhoneって解像度が悪くて、非常に見づらかったので、できるだけ小さい画面でもきれいに見えるようにというところをこだわって作りました。
――ほかにも見開きページを分割して表示可能にするなど、iPhoneで読む際に利便性の高い機能を備えていますが、そういった機能をつくったのはなぜでしょうか?
堀田隆介氏: 最初のころは普通のスキャナーでスキャンしていて、本が見開きになっていましたので、分割して自分で使えるようにしていったり、ユーザーからよく出る意見を取り入れて改良していきました。
アプリはまだまだ発展途上。今後も改良を続ける。
――開発にあたって技術的に苦労した点はどういったことでしょうか?
堀田隆介氏: iOSバージョン5が出た時に、Appleの仕様が大きく変わって、それに合わせるのに非常に苦労しましたね。Appleから、「こういう風に仕様が変わるから、合わせてくれ」って電話がかかってきたんですよ。
――堀田さんに直接電話があったのですか?
堀田隆介氏: はい。すごい容量を使うアプリだからだと思いますが、アプリ内にバックアップデータがたくさんあると、破たんしてしまうのであんまり置かないでほしいということで、直してくれという話が来ました。審査に通らなくなってしまうので、直さないといけないんですけど、直すと不便になってしまって。それをどう回避するかというのが、一番苦労したところですね。
――当初、公開を考えていなかったとおっしゃいましたが、有料で公開するにあたり、苦労したことはありますか?
堀田隆介氏: サポートが大変です。無料で交換していた時は、とりあえずダウンロードしたけど、使い方がわからないという人がたくさんいて、説明を全て読んでもらうために有料にしたのですが、お金をもらう以上はやっぱりサポートをきちんとしないといけない。わかっていないと使えないところがあるんですよね。そこが一番苦労するところですね。使える人が使えば良いか、という感じで始めてしまったので。
――今後のアップデートの予定としては、どのようなことを考えていますか?
堀田隆介氏: 今のバージョンが4.8で、4.9を作っているところなんですけども、まだまだできてないところがたくさんあります。今取り組んでいるのは、当初は、外出先で読むことを考えていたんですけど、家の中でも読まれることが多くて、自分も家の中で読むようになったので、ダウンロードしなくても読めるということを考えています。あとは漫画以外に使えるようにしたいですね。小説などはもう優れたビューアーがあるんで、今さら僕が何かすることはないんですけど、例えば参考書とかに使えるようにしたいなって思いますね。スキャンしたいものって、漫画と、技術書とか参考書が多いと思うんですよね。
――小説などテキストだけのもの、あるいは漫画と比べて、参考書などにはどのような機能が必要なのでしょうか?
堀田隆介氏: 例えば、「ここまで覚えた」というチェックを入れたりすることができたら良いなと思っています。
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