電子書籍の未来として、予想できること
――今後電子書籍と言われるものというのはどのように進化していくと思いますか?
加東崇氏: 今アメリカは先行してAmazonの電子書籍が出ているのでイメージはわきやすいんですけど、便利であることは確実にわかっていて、後は時間の問題で自然にどんどんみんなに浸透していくものだと思います。僕の想像では、良い意味で2、3年後ぐらいにはあまり話題にもならないくらいに普通なことになっているんじゃないかなと。例えば今音楽をiTunesで購入できて、CDを買わなくてもそのまま直接聴けるとか、誰ももう話題にすらしない。そういう感覚で電子書籍も当然のように普通に買えて、どこでも読めるという風になるんじゃないかなと思います。
音楽と違うのはインターフェースが変わること。音楽はCDであろうとMP3ファイルであろうとイヤホンで聞くことには変わらなかったから、移行は比較的簡単だったと思うんですが、電子書籍は紙で読むものから、iPadなどのデバイスに変わるので、そこは結構大きな違いです。ほとんどが電子書籍になるということはなくて、やっぱり紙も並行して出版され続け、大きな割合で残っていくとは思います。
デバイス側に関して僕が期待しているのは、Amazonから購入した電子書籍がAmazonのデバイスでだけ読めるという風になっていると、機能には不満があります。Kindleは便利ですけど、色々不満点もあって、こういう部分を改造したいなあというのもある。今はそういうことができないので、いずれはサードパーティー向けにAPI(プログラミングインターフェイス)とか公開してもらえるようになれば、いろんな本を読むためのソフトウエア・アプリも出てきて、勉強する時はこのアプリとか、単純に小説とか読む時はもっとシンプルなこっちとか、ユーザーの好みとかに応じて使い分けができるようになればいいなと思います。
――Googleクロームのアドオン(ソフトに機能を部分的に追加する小さいソフト)のような感じでしょうか?
加東崇氏: そうそう、そういうのに期待したいですね。日本の方については、電子書籍元年がいつまで続くのかというところですね(笑)。なかなか本命が立ち上がらない。
日本って電子書籍を買う時に迷いが出ませんか?「ここのストアで買って大丈夫かな、ずーっと将来まで読めるのかな」って。電子データだから永久に残るはずなのに、そのストアが閉じたらもう読めなくなっちゃうという心配があるし、アプリケーションはずーっとバージョンアップしていくのかという不安もある。ストアにビューアーがひも付いているので、それもすごくユーザーからすると問題ですよね。Amazonでは、ユーザーさんは購入することに対しての不安はなくなるとは思うんですが、後はもう少し色々欲が出てきて、もっと使いやすいビューアーを作ってくれとかそういうフェーズになっていくと思うので、早くそうなってほしいですね。
――では仮に今Amazonのビューアーでプラグインが出たら、またBookmanバージョンを作りますか?
加東崇氏: やっぱりAmazonもね、ページ送りが遅いんですよ(笑)。1ページずつしかめくれないし、ページジャンプする時とかも探すのが大変だったりと色々不満点はあります。シンプルな機能を維持しているというのはわかるんですけど、もうちょっと自分で改良できればと思いますね。
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