加東崇

Profile

2000年、株式会社CSK総合研究所入社。主にゲームのリアルタイムグラフィックス技術の開発に従事し、Wii、PS3、Xbox360など様々なプラットフォームでの開発を経験。主に携わったゲームは、セガのVirtuaFighter5など。2009年に渡米しNAMCO BANDAI Games Americaを経て、現在はシリコンバレーでMobiRocket,Inc.を設立し起業。

App Information

Bookman Pro

BookmanはPDFリーダーとコミックリーダー両方の機能を兼ね備えた高速で高機能な電子書籍リーダーです。
PDFや漫画ファイルはいつでも好きな時にiPhone/iPod Touchで読む事ができます。

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世界中から来るユーザーリクエストに対応する


――色々なユーザーの意見を取り入れていくということなんですが、それは公開しているメールアドレスにリクエストが来るのでしょうか?


加東崇氏: そうです。Bookmanのホームページに問い合わせのフォームがあるので、そこ経由でいろんな国の人からリクエストがきます。日本人よりも、アメリカ人からの方が多いですね。いろんな国の方からメールが来ているんですが、みんな英語でちゃんと書いてくれるので、厳密にどこの国の人かというのはあまりわからないんです。メールアドレスがフランスだったりとかドイツだったりとか、バラバラですね。不思議とそのユーザーさんの国の言葉で書いてくるという方は少ないくて、日本語か英語が主です。リクエストに応えながらバージョンアップを繰り返し、今はバージョン3になりました。

――それでは、頻繁に来るリクエストは実装を終えたという感じでしょうか?


加東崇氏: そうですね。まだちょくちょくは来ますが、おおむね実装できたと思います。

――リクエストに関してはお一人で全部対応をされているのですか?


加東崇氏: そこがなかなか大変なところの1つなんです。メールでのサポートは、一人で開発している場合、そこに結構な時間はかかるので大変です。数で言うと、1週間で20通、30通です。リクエストとは別に、単純に褒めてくれる方もいらっしゃいます。特にアメリカの方とかは「褒める」というのがみんなすごく好きですね。そういうメールは、本当にうれしいですよね。そういうことが自分のモチベーションにつながって、次のアップデートにつながります。
リクエストに関してなのですが、Bookmanはあくまでシンプルな電子書籍リーダーとして必要な機能を最低限入れた上で、ユーザーの方からの要望をいただいて、すでに実装されている機能と似たものでも、そのアイデアを基により洗練させて公開していきます。だからほとんどがユーザーのみなさんの意見を取り入れた結果なんですね。逆に自分の意見を取り入れている部分があるとすれば、本当に全部の機能を入れてしまうと複雑になってしまいますから、「シンプルを維持するために、その機能は入れられない」という判断ですね。

今後は、Bookmanをマルチプラットフォーム対応にしたい


――今後の課題といいますか、今バージョンアップのためにされていることみたいなものを伺えますか?


加東崇氏: 今後の課題としては、PCやMacでも読めるようにしたいなと思っています。それは何故かというと、電子書籍はAmazonで全部購入してKindleやMac上で読みます。後半の電子書籍についての話と被りますが、Amazonで買ったものはもちろんiPadでも読めるし、Kindleでも読めるし、クラウドリーダーというAmazonが出しているブラウザ上のリーダーでPCでもMacでも読めます。僕の用途としては家にいる時はiPadとかKindleで読むんですけど、会社にいる時はパソコンで、電子書籍の技術資料も画面に表示しておきながら作業したいので、ブラウザのクラウドリーダーで読むんです。だからパソコンで見られるというのは、かなり便利だなと思っています。



今スキャンしたPDFをパソコンで見ようとしても、iPadみたいな感覚で見られるわけじゃないから、そこを何とかしたいなというのがあります。それはユーザーの方からの要望も多いですね。マルチプラットフォームの対応になってくると、次にストレージを共通化して1ヵ所に置いて全部で見られるようにしたいんですが、クラウド化ができればすごくいいなと思っていて、色々調査はしています。そこで難しい問題が、個人で開発している状態だと、クラウドの有料サービスを作ったとしても、セキュリティーとか信用とかで危ないとこがある。技術的には解決できたとしても、色々難しい面は多いので、そこは大きな課題で思い悩むところですね。

――そうですね。後、クラウドでストレージを取っていると、定額課金みたいな形になりますよね。


加東崇氏: 今Dropboxとか色々あって、価格も徐々に落ちてきてはいるんですが、もう少し電子書籍とかに特化して、電子書籍をただ置いておくだけとか、画像を置いておくだけとか、ある程度使用目的を特化させればもう少し安くはできるだろうというので考えています。

――それを本当に実現させるには、さらに手が増えないと難しい感じですね。


加東崇氏: そうですね。プラットフォームを1つ増やすと、プログラミング言語が変わってしまうので、そこは個人の開発者にはすごく難しいところですね。

――iOS版のBookmanに絞っての機能改善はお考えですか?


加東崇氏: 今は今後大きな機能が入るっていうのはあまりないのですが、細かな不具合の修正だったりはやっていますね。

電子書籍の普及で感じるメリット


――電子化や電子書籍の普及で今と昔、変わったと思われることはありますか?


加東崇氏: 僕の経験の中では、本当にメリットばかりです。1つは気軽に本を買えるようになったこと。今までは注文してから何日か待たなくちゃいけないかったので、急いでいる時とかは大変でしたが、今はプログラムしていて「ここもう少し詳しく調べたいな」という時に、Amazonで関連する本を探して、購入したらその場で、その瞬間に読めるようになる。そういう部分が、今までとは全然違って、時間がかなり短縮されて効率的になりました。例えば英語の書籍を読む時に、今までだと別のアプリや「英辞郎」などを開いて、英語のわからない単語を調べたりしていたけれど、AmazonのKindleだったらその単語をタップすれば辞書が出てきて、その画面の中ですぐ把握できるので、これも時間の短縮につながっているし、すごく便利です。

後は、環境を選ばずに読めるようになったということですよね。先ほどもお話ししましたけど、家にいる時は中ぐらいのサイズのKindleやiPadでソファに寝転がりながら読む、外にいる時、誰かと待ち合わせで暇だなっていう時とかはiPhoneで読む、会社にいる時はクラウドリーダーで読むことができる。それによって自分が本を持ち歩くっていうことを考えなくてよくなった。持ち歩かなくても、どこでも本はあって、ネットさえあれば見られる。特にiPhoneは常に意識せずに持ち歩いている状態だから、最低限iPhoneがあればどこででも見られます。
その場所に合わせた最適なデバイスで読めるようになったというのは本当に大きいですね。逆に昔と変わらないという部分では、英語の勉強の時などで、書き込む必要がある書籍を読む時は、僕は今でも紙のものを買っています。書き込む場合って、やっぱり実際に書き込めるサイズじゃないと不便です。拡大してから書き込むというのは大変だし時間がかかる。どんどん書き込んで、少しずつボロボロになっていく感もすごく好きです(笑)。「これだけ頑張って色々勉強したぞ」とかそういうのもわかりますよね。書き込む必要があるものに関しては紙の本を使っています。

――書いた方が覚えやすいとかそういうのもありますよね。


加東崇氏: もちろんKindleとかでも、ちょこちょこ線を引いたりとかはできます。でも、記憶に残るのはどちらかというと、自分で手書きした方が記憶に残りやすいですよね。
アメリカに住んでる日本人にとっての電子書籍のメリットは、日本の書籍を日本の価格のまま購入できることです。今までは日本の書籍を買おうとすると、アメリカにある日本語の書籍を扱っている本屋さんに行って購入する。でも値段が1.5倍ぐらいして、高いんです。だから『ジャンプ』とかもあまり買う気にはなれないんです。でも今では日本の電子書籍のストアで、日本で発売された日にそのまま日本の価格で購入できるので、距離を感じずに見ることができるようになった。それは大きいです。だから外国にいる人にとってはすごくメリットがあると思います。
それと、Amazonに限った話かもしれないですけど、プライムっていう有料のメンバーサービスがあって、それに入っていると月に1冊無料で好きなのを読めるので、そういうサービスもいいですね。新刊を読めたりするんですよ。そういうメリットばかりですね。

著書一覧『 加東崇

この著者のタグ: 『開発者』

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