BOOKSCAN(ブックスキャン) 本・蔵書電子書籍化サービス - 大和印刷

世界中の本好きのために

中島隆信

Profile

1960年生まれ。 慶應義塾大学経済学部卒業。 現在は、慶應義塾大学商学部教授を務める。商学博士で、応用経済学を専門としている。 また、大相撲にも造詣が深く、日本相撲協会「ガバナンスの整備に関する独立委員会」委員も務めた。 日経・経済図書文化賞を受賞した「障害者の経済学」や、「オバサンの経済学」(共に東洋経済新報社)、 「大相撲の経済学」、「お寺の経済学」(共にちくま文庫)、「これも経済学だ!」、 「子どもをナメるな―賢い消費者をつくる教育」(共にちくま新書)、「刑務所の経済学」(PHP研究所)、 「こうして組織は腐敗する」(中公新書ラクレ)など、数多くの著書を執筆している。

Book Information

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

経済学というのは、景気やお金だけの話ではない



中島隆信さんは日本の経済学者であり、ご専門は応用経済学です。経済学とは縁遠く見える日常的な対象を、経済学の視点から一般向けに論じた著書で知られ、タイトルには『オバサンの経済学』『大相撲の経済学』『大相撲の経済学』などユニークなものが並びます。そんな中島さんに、今の日本の経済について、本について、電子書籍の与える影響についてもお伺いしました。

人間の行動の背後にあるもの、それが経済に結びついている


――早速ですが、近況を交えながら先生の最近のお取り組みをご紹介いただければと思います。


中島隆信氏: 経済学は色々な分野に手を出して、「なんとか経済学」という名前をよく付けますが、結局経済学というのは、実は「経済学的なものの見方や考え方をする」という学問なのです。

――対象に着目するというよりは、考え方が重要なのですね。


中島隆信氏: お金や株、金融、景気、それももちろん「経済」です。でも「経済学」というのは、人間の行動の背後にある合理性、あるいは効率性など、人間が本来もっている性質に着目して、それが人間の行動にどういう影響を与え、また社会にどういう影響を与えているかを見る学問です。要するに、社会現象に対する人間の行動の原因、動機付け、インセンティブ、そういう視点から見てその理由を考えるというのが経済学。だから医療でも心理学的なものであっても、人間が関わっているものであればなんでも、経済がそこに入っていけるわけなのです。

子供の頃から本が好きだった、でも本の虫ではなかった


――中島さんは、幼少期どのようなお子さんでしたか?


中島隆信氏: 子供の頃から経済学をやっていたわけではなく、普通だったと思います。幼い頃から読書の習慣はあって、本に関して抵抗はありませんでしたが、ずっと家にこもって本ばかり読んでいるというタイプでもなかったです。

――本は周りにたくさんあるような環境だったのですか?


中島隆信氏: 本を欲しいと言えば親が買ってくれるという感じでした。外で普通に運動もしていましたし、本を書くということ自体を小さい頃から考えていたわけではありません。今でも僕は物書きが本業だとは思っておらず、表現方法の1つだと考えています。しゃべるのも、数式を使って論文で示すのも表現の1つの方法だし、本のような形で活字を通じて多くの人に知ってもらうというのも表現の1つの方法なので、その中から相対的に自分が得意な手段を選ぶ、ということだと思います。本を財産のように飾ったりする方もいらっしゃいますが、僕はあまりそういう感じではなく、本を読む時も、本自体が財産というよりは、本の中身から得られる情報というものを大事にします。

深い影響を与えられた「古典落語」


――どのような本を読んでこられたのでしょうか?


中島隆信氏: 僕がすごく影響を受けた本は、古典落語です。僕が中学・高校の頃は古典落語の本が講談社からたくさんシリーズで出ていて、それを全部買ってほとんど読みましたが、今手元にある文庫本は、2冊だけになってしまいました。古典落語というのは実に表現方法として卓越しているなと思います。聞き手を笑わせるためのものだけれど、ただ単に面白いことを言っているわけではなくて、そこに人情や、色々な文化的背景のようなものがある。これは僕が何かを書く時、あるいは講義をする時の話術にも役に立っています。

「大相撲」の分析的な記事に刺激を受けた


――学術論文とは別に、一般向けに本を書くようになったきっかけというのは何だったのでしょう?


中島隆信氏: 僕は大相撲を学生時代から好きで見ていて、読売の月刊の『大相撲』の記事がかなり分析的だったので、すごく影響を受けました。僕が16歳の時の『大相撲』に載っていた「両国相撲村はどこへ行く」という記事に、地価が上がって両国からどんどん相撲部屋が出ていくだろうという話が書いてありました。『大相撲の経済学』を書いた当時、僕は43歳だったので、その記事を読んだ時からもう20年以上経っていたわけですが、その記事の内容を思い出して、今起こっていることが、そんな昔にすでに分析されていたのかと改めて驚きました。「経済学」という考え方を通して断片的に頭に入っていたものが、すべてつながったという感じを『大相撲の経済学』を書いた時に味わうことができたので「これはなかなかいいかもしれない」と思ったんです。



――それが経済学の面白さといった感じでしょうか?


中島隆信氏: 経済学の魅力というか利点だと思います。表面だけを見ていると到底結びつけて考えないようなものを「経済学」というものの見方、そういう眼鏡を通して見ると、同じものに見える。例えば『大相撲の経済学』の「力士も会社人間だった」というフレーズは重要なキーワードなのですが、多くの人はそんなことを思ってないわけです。力士というのは我々と全く関係ない人たち、違う世界の人たちだと思っていますが、経済学を通して見ると、実は会社人間とほとんど一緒だということになるわけで、そういった理由からこういう本の価値が出てくるのではないかと僕は思います。

著書一覧『 中島隆信

この著者のタグ: 『経済』 『考え方』 『モチベーション』 『書店』 『図書館』 『経済学者』 『活字』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
ページトップに戻る