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世界中の本好きのために

桑原水菜

Profile

千葉県生まれ、東京都在住。中央大学文学部史学科卒業。『風駆ける日』が1989年下期コバルト読者大賞を受賞しデビュー。代表作『炎の蜃気楼』シリーズ(コバルト文庫)は漫画・アニメ化もされている。現在、角川書店の電子雑誌『小説屋sari-sari』において『西原無量のレリック・ファイル まだれいなの十字架』を連載中。その他の代表作に『赤の神紋』シリーズ、『風雲縛魔伝』シリーズ、『シュバルツ・ヘルツ—黒い心臓—』シリーズ(コバルト文庫)、『イルゲネス』シリーズ(マッグガーデン)など。

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紙の肉体、テキストの魂


――桑原さんは電子書籍についてはどのようにお考えでしょうか?


桑原水菜氏: 今、連載をしている媒体が電子書籍の雑誌なので、ツールが増えるのはすごくいいことだなと思っています。ただ、やはり本としての愛着というのはそれとはまた別のところにありますので、シチュエーションごとに使いやすい方で読んでもらえれば。

――紙の本への愛着はどのようなところにありますか?


桑原水菜氏: 本は肉体だと思います。電子書籍はそこから文章が移し替えられた霊魂のような感覚があります。ちょうど『蜃気楼』がそういう話なので、「なるほど、この魂がここに入ったのね」という感触はあります。

――「蔵書」としての電子書籍についてはどのようにお考えでしょうか?


桑原水菜氏: 私も資料をたくさん買っていると家の中が本であふれてしまうのですが、それ自体がお宝であり、また積み重ねなので、なかなか処分はできないんです。それでも処分しないといけない時には、電子書籍に変えてみるのもいいのでは。よく、掃除している時に、昔の本を読んでしまって全然進まないことがありますよね。しょっちゅうは読まないけれど、手に取れば読みふけってしまう。特に子ども時代に親しんだ本や漫画は、一度処分したらもう二度と手に入らなくなるので、せめて中身だけでも、という思いをかなえてくれるのは電子書籍だと思います。検索機能だとか、電子書籍ならではの使い方、今までできなかったことができるようになるのも、楽しみです。紙の本と電子書籍が共存してやっていくのが一番いいのではないでしょうか。リアル書店さんは大変なご時世だと思いますが、書店があって初めて私たちの本が読者に届くわけですから、それがなくなってしまう状況はいかがなものかと思いますので、うまく折り合いがついていければいいですね。

本の山の中で、次回作を構想


――書店には足を運ばれることは多いのですか?


桑原水菜氏: はい。自分が書いてるジャンルには近寄らないんですが(笑)。近くに丸善さんができまして。歴史書のコーナーなどではツボをついてくれる本にちょくちょく出会えるようになりました。ネットだと検索しないと出てこないようなものが、バーッと並んでいて、気になったものから手に取れるのはやはりリアル書店さんです。ネットは興味のあるものの周辺しか「おすすめ」されませんが、書店ではそぞろ歩きしながら見てまわるだけで、全然知らなかった世界に出会えます。ふと目に付いた『世界の艦船』で最新の原子力空母を知る。「お、ちょっと面白そうじゃん」とミーハー心が騒ぎます。宝探しの楽しみのようなものがあるかなと思います。

――書店での本の選び方はありますか?


桑原水菜氏: もう、興味のあるものをとにかく手に取るということです。資料を買いにきたはずなのに、「お」と思えば関係ない本でもレジに持って行ったりします。定価を聞いて「え、桁が違う」みたいなこともたまにありますが(笑)。

――冒頭のお話にもありましたが、広範な興味が作品を生み出すことにつながっているのですね。


桑原水菜氏: そうですね。いつか役に立つかな、と。だから仕事場はどんどん本に浸食されてます。本棚があまりないので、床に積み上がっている。「あの本は3つ目の山の真ん中辺りにあったはず」と頭の中に地図ができているので、よけい片付けられなくなっていく。そしてだんだん山が高くなっていく(笑)。本にこもる気迫に囲まれて、気は休まらないのですが、これからも「本=仕事」という感じなんでしょうね。

――最後に、今後の展望を伺えますか?


桑原水菜氏: 漫画原作のほうが一段落しましたので小説に集中したいと思います。来年頭に始まる『炎の蜃気楼 昭和編』でシリーズは完結することになっています。あと『西原無量』シリーズも連載終了後に単行本化する予定です。他にも単発作品をいくつか。自分が闘える得意分野を見定めた上で、メイン読者である女性向けだけでなく、今後は、男女問わず読んでいただける作品にも取り組んでいきたいと思います。「桑原さん、こんなのも書くんだ」と驚いてもらえると嬉しいですね。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 桑原水菜

この著者のタグ: 『女性作家』 『歴史』 『書店』 『小説家』 『趣味』

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