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西出ひろ子

Profile

大妻女子大学文学部国文学科卒業。国会議員・政治経済ジャーナリストの秘書等を経てビジネスマナー講師として独立。 実体験に基づいたマナー研修や、お客様の心理を知り尽くした接客・電話応対や来客応対研修等のビジネスマナー研修を行う。 その活動はテレビや雑誌などでも紹介され、NHK大河ドラマや映画、書籍等でのマナー指導・監修なども行う。 作家としての執筆活動も行っており、近著に『できる大人の気くばりのルール』(KADOKAWA/中経出版)、『究極の「お客様満足」を実現する プロフェッショナル接客・接遇マナー』(日本実業出版社)、『マンガでわかる!社会人一年生のビジネスマナー』(ダイヤモンド社)などがある。

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常に相手の立場に立つ姿勢


――イギリスでは、どのように過ごされていたのですか。


西出ひろ子氏: 語学学校には行っていました。最初はホームステイをしていたので、久しぶりに、お父さんとお母さんがいるという場所に身を置きました。「こういう環境は久しぶりだな」と思いましたし、朝、目覚まし時計ではなく鳥のさえずりで起きるという日々で、すごく心も落ち着きました。私はイギリスではマナーの学校などに行きませんでした。マナーが、イギリスの生活のあらゆるところにありましたね。

父と母が離婚する時、2人はお互いに自分の立場でしかものを言っていませんでした。その姿を見た時に、なんて醜いんだろうと思ったのです。では美しさとはなんなのかと考えた時に、相手の立場に立てる、相手の気持ちを理解しようとするその姿勢、そういう気持ちの美しさになっていくのではないか、ということを、21歳の時からずっと考えながら生きています。

――常に相手の立場に立つというというのは、難しいことですね。


西出ひろ子氏: けれども、私が過ごしたイギリスでは、もちろん例外はあるでしょうけれど、随所にその精神が見受けられました。バスに乗るために並んでいる時、知らない人同士でも、普通にgood morning と挨拶をし、運転手さんにも必ず挨拶を言って乗ります。降りる時にはThank you と言ってみんなが降りていきます。そうするとバスの運転手さんもThank you と返してくれる。これが本当のマナーだということを体感して、これを日本に伝えなきゃと、強く思いました。

日本の当時のマナーとは、「こういう時にはこうしなさい」という、堅苦しい礼儀作法になっていました。でも本来のマナーというのは、型重視ではなくて、気持ちを形で表現すること。その気持ちというのは何かというと、相手に対する思いやりの気持ちなのです。

いい型をして自分がほめてもらいたいというのは、自分中心です。でも本当のマナーというのは、相手のことを思いやって、相手が喜んでくれることで、自分もうれしくなるというもの。お互いのプラスやハッピーを生み出すもの、そしてスムースに人間関係を成り立たせていくものです。そういったことのためにマナーがあるのです。

私の両親は、自分のことしか考えていないものの言い方をしていたから、スムースな関係が築けずに、お互いがマイナスになってしまった。でもそこで少しでも相手の立場に立って、相手を思いやったものの考え方、言い方ができていれば、離婚後もお互いがハッピーになれたのではないかとさえ私は思うのです。その全て自分の経験からくるものを軸として、現在、マナーを伝えていっているのです。



マナコミ、でお互いに良好な関係を


――ビジネスの中においても、マナーの利点はたくさんありますね。


西出ひろ子氏: お互いに気持ちよく仕事ができるのではないかと思います。マナーのないコミュニケーションは意味がない。私はマナーコミュニケーションという言葉を作って、マナコミと言っています。お互いに良い関係、気持ち良いスムースな関係にするためのコミュニケーションなのに、そこにマナーがなければ気持ちよくなりません。なんのためにコミュニケーションするのか、というように、そういった「なぜ」を明確にすることは大事です。今まで当たり前と思って見過ごされてきたものにも意味があったり、逆に意味がなかったりということが、わかってくるのです。

――本日は余すところ無く西出さんお話を伺っていますが、決して順風満帆とは言えないエピソードにもかかわらず、とても笑顔の印象が強いのですが。


西出ひろ子氏: 人間、どん底に落ちると笑うしかないのです(笑)。例えば、私が若い頃は、周りには親が離婚をする人はあまりいませんでした。だから、当時の私は、「私はこれで結婚ができない、自分にはそういうハンデがある。良く思ってもらうために、いい表情を常にしていないといけない」と、自然と思うようになりました。

もうひとつポジティブな理由として笑う事を心がけるようになったのは、やはりイギリスでの出来事からでした。病院で、ボランティアをさせてもらったのですが、そこには顔の筋肉が全く動かない病気の女の子がいました。当初病気の事を知らなかった私は、彼女と話をしても、全然笑ってくれないから嫌われているんだと思っていました。

心は笑顔なんだけど、病気のせいでそれを表現することができないということを知って、自分が本当に恥ずかしく思いました。世界中に同じような子がたくさんいます。私の顔の筋肉は動くんだから、そういう表情ができない人たちのためにも、私はいつも笑顔でいようと、強く心に刻みました。

――笑顔というのは、人の気持ちを好転させる力がある気がします。


西出ひろ子氏: そうですね。相手が発する表情で、自分の気持ちも変わりますよね。ムッとされていると、「私、何かしたかしら」と思って萎縮したり、自分が良い表情ではなくなってしまったりするので、表情って本当に大事だと思います。これも相手の立場に立つ事の一つだと思います。

著書一覧『 西出ひろ子

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