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世界中の本好きのために

蟹瀬誠一

Profile

1950年、石川県生まれ。 上智大学文学部新聞学科卒業後、米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米TIME誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。『賢者の選択』(TwellVや日経CNBC、サンテレビで放送)、『マネーの羅針盤』(テレビ東京)等でメインキャスターを務める。 2004年から明治大学文学部教授、2008年から同大学国際日本学部長を務める。 現在は、同大学国際日本学教授。 著書に『ズバッと「伝わる」技術』(フォレスト出版)、『デキる人の手帳術』『苦手な人との会話はこう切り出しなさい!』『「1日15分」が一生を変える!』(三笠書房)など多数。

Book Information

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3Rから3Xへ。重要なのは価値観の共有


――『1日15分が一生を変える!』には、ご自身で体験していないと書けないことが書かれていますね。


蟹瀬誠一氏: 僕は、会社の社長や経営者をインタビューする、「賢者の選択」というテレビ番組をやっているのですが、一流企業の社長はものすごく忙しいわけですよね。ところが、優秀な人間ほど忙しそうじゃない。「これはなぜだろう?」というところから始まったのです。
忙しい忙しいと言っている人は、時間の使い方がすごくへたくそだというのが見えてきたんです。それで、60分を4つに分けて、15分をワンユニットにし、そこで何かを成し遂げるという風にすれば、余暇の時間が生まれてくるだろうと考えました。例えば、朝起きて、15分パソコンの前に座ってメールなどをチェックする。それから、15分散歩。そして、15分で食事をして15分でエクササイズをする。1時間で4つできますよね。僕は連載の原稿などは15分ぐらいで書いてしまいます。電車の中でも、道を歩いていても頭の中で原稿を書けるというか、こういう書き出しでいって、最後はこういう感じで終わって、真ん中はこんな感じでいく、ということがパッと決まれば、あっという間に書けてしまいます。あとはデータをちょっと集めればいい。15分ぐらいで書けると、余る時間ができるので、そこでゆっくり自分で好きなことができる。人によって、単位は5分でも30分でも構わないのですが、15分で済まない仕事は2つのユニットで30分、3つで45分というようにやっていくと、わりと上手く、慌てないで物事が片付くのです。

――そういったことを、本やテレビを通して発信していただいたことで、自分とは違う生き方を学べるのだと思います。


蟹瀬誠一氏: かつては、知識を独占している人が強かったのですが、今のインターネットの時代というのは、いかに共有するかが大事なんです。みんなと同じ価値観を共有できるかどうかでビジネスも成功しているわけだし、友達関係も広がっていきます。大学でよく言っているのは、「これまでは3Rの時代だったけど、今は3Ⅹの時代に変わりました」ということ。これは、MITにいる、人工知能などを研究しているミンスキー博士とパパートの2人が昔から言っていたことです。3Rというのは読み書きそろばんのことで、つまりReading、Writing、Arithmetic(算数)。これは基礎的な能力でもあるけれども、ひたすら覚える、どちらかというと日本型の詰め込み型の教育です。でも今は何が必要かというと、3つのX。1つはエクスプローラ、探究する力。何が問題なのか、なぜそうなっているのかと、自分で探究していく能力です。それから2つめがエクスプレス、要するにそれを表現する力、プレゼン能力です。3つめがエクスチェンジ、つまり共有することなのです。

紙の本への愛着は捨てきれない


――電子書籍について、どうお考えですか。


蟹瀬誠一氏: 仕事でアメリカへ行った時の飛行機の中のことですが、ビジネスクラスで本を読んでいる人の半分が電子書籍で読んでいましたね。時代は変わってきていると実感しました。ボストンバッグに本を詰めて旅行する知り合いがいますが、何冊も本を持っていくのは重たいですよね。やっぱりそういう人にとっては、電子書籍になっていればそれを1個持てばいいわけです。使い始めは、目がくたびれたりなど、紙で読むのに慣れているせいか疲れる感じがありましたが、今の電子書籍は、めくる感じが紙と同じ感覚だったりと、本当によくできています。アメリカの進んだ図書館には本がなく、みんな電子端末でダウンロードしています。紙の本だと、1冊しか本がなかったら1人しか読めず、順番に回して読むしかない。ところが電子であれば、100人でも1000人でも、同時に同じ本を読むことができるわけです。だから僕は、明治大学の図書館も本のない図書館、つまりデジタルアーカイブにしたかったのです。でも反対も多くて、実現しませんでした。国会図書館をはじめ、今は日本でも電子化がどんどん進んでいます。実物は実物できちんと保管しておき、研究者がそれを触りたいという時、あるいは現物に触れる必要がある時は、見る場所を作ればいいと思います。大学生が授業の一環として本を読む時には、電子図書は簡単だし、安いし、魅力的だと思います。

――教育の場においては、電子書籍へと向かっている感じなのでしょうか?


蟹瀬誠一氏: もちろんその方向でしょう。僕らみたいに生まれた時から紙の本があって、それに馴染んでいると、紙の匂いだとかインクの匂いだとか手触りなどにどうしても愛着があります。しかし生まれた時から電子書籍を読んでいる人間にとっては、なんの違和感もなくなると思います。僕らはもうオールドファッションなのです。本という物体そのものを手にいれたいから読んでいるのではなくて、そのコンテンツを読みたいのですから、形がどういう風に変わろうが、本当は関係ない。そうは思っていても、僕ぐらいの世代は、なかなか…(笑)。

使命は終えている?一歩下がった位置から物事を見る。


――今後成し遂げたいことなどはありますか?


蟹瀬誠一氏: 僕はもう使命を終えている気がしています。50歳でリタイアして、人生一回しかないから、色々なことをやってみたいという思いがあったのですが、なかなか計画通りにはいきませんね。だけど、若い人たちなど、たくさんの人たちがジャーナリストとしてやってくれるので、むしろ僕は一歩下がった形で、点と点をつなげるとどういう風に見えてくるのか、面とした時に一体何が起きるのか、そういう大きな絵柄で物事を見ていけるようにしていきたいです。それでもし、お役に立てるようであったら、世の中に発表していきたいという思いはあります。

――将来のビジョンは?


蟹瀬誠一氏: 地雷原などの取材で3回ぐらい死にかかったので、その頃からあまり先のことを考えないようになりました(笑)。でも1つだけやりたいのは、何かの形で、実業に一度手を染めたい、つまりビジネスです。例えば今、世の中不況になり会社はバタバタ倒産しているけれど、大手のメディアにいる人間は給料も下がっていないし、あまり実感がないわけです。だから日本でなくても構いませんが、1回、自分がその中に入ってみて、どのぐらいの修羅場があるのかと、やってみたいなという思いがあります。
それから「TOKYO ZERO」では、動物の殺処分を2020年までにゼロにしようと取り組んでいます。命を殺さない東京、そういうことを実現しようとしているので応援していただければと思います。また、日本ゴルフ改革会議の副議長をしていて、ゴルフ関係の人たちみんなに協力をしてもらいながら、正式種目としてオリンピックに向けて手入れをしようと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

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