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野村克也

Profile

1935年生まれ、京都府出身。京都府立峰山高校卒業後、野球選手として1954年から1980年の27年間にわたり、南海ホークス、ロッテオリオンズ、西武ライオンズでプレー。引退後はヤクルトスワローズ、阪神タイガース、社会人野球のシダックス、東北楽天ゴールデンイーグルスの監督を歴任。ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ出場を果たすなど輝かしい功績を残した。 著書に、『野球のコツ』(竹書房新書)、『野生の教育論―闘争心と教養をどう磨くか』(ダイヤモンド社)、『私の教え子ベストナイン』(光文社新書)、『野村克也の「菜根譚」』(宝島社)など、多数。

Book Information

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道をひらいた師からのアドバイス


――師とあおぐ方はいらっしゃったのでしょうか?


野村克也氏: 「人生に三人の友を持て」という名言もあるでしょ?男に生まれたら、原理原則を教えてくれる人、師とあおぐ人、それから直言してくれる人の3人。直言してくれる人ってなかなかいないけど、私の場合は奥さんがしっかりと直言してくれるからありがたい。私は、草柳大蔵さんを先生と仰いでいました。知らないことばかりだったので、何かあると先生のところへ教えを請いに行っていましたが、先生と話をしていると、この先生の頭の中はどのような構造をしているのだろうと思うくらいの知識人だったので、本当に自分がイヤになりました。南海をクビになった時が43才で、もう引退してもおかしくない年だったのもあって、ロッテから声がかかっていたけど迷っていました。南海のオーナーの川勝さんが「野村はまだ使える、役に立つ」とあちこちに声をかけてくれたようです。その時に草柳さんに相談に行ったら、「吉川英治の言葉だけど、生涯一書生っていう考え方もありますよ」と言われて。「じゃあ私は、生涯一捕手でいきます」と答えました。これは造語だね。

――「生涯一捕手」その言葉を胸に進まれたんですね。その後の監督への道は?


野村克也氏: 12球団の監督は全部大学出だったから、野球界も学歴社会だなと思っていました。ですから、30代に入って引退後のことを考えた時、野球解説者しかないなと。優勝しなかった時には、日本シリーズのゲスト解説や評論を頼まれていたけど「これは次の道への大きなチャンスだ、ほかの評論家に負けてたまるか」と思ったね。「これが野球の評論だ!」という意識で頑張ったんだよ。そういった努力を見ている人は見ている。上手も言えないし、ゴマもすれないということは自分でも分かっているから、いい仕事をしていくしかないと。人間が1番辛いのは無視されること。恋愛も同じで相手にしてもらえなかったら、さびしいでしょ?私は最初は無視されて、1軍にあがってレギュラーをとりかけた頃に人が褒めてくれるようになった。でも、賞賛されている間はまだまだ半人前。批判されるようになってやっと一人前だね。「一流は周りから期待されるから批判も浴びる。けれど、腹を立てることはない。自分はそこまで、周りに期待されているという裏返しだから喜べ」と選手には話してきました。

――引退後は、そういった野村さんのお考えを大勢が聞くことができていますね。


野村克也氏: 引退と同時に講演の依頼が殺到しました。でも、私は講演をやったこともないし、何をしゃべればいいんだと、草柳さんに相談に行きました。すると「胸を張ってやりなさい。あなたは野球なら誰にも負けないでしょう?だから野球の話以外はしてはいけませんよ」と言われて、講演をやる気になりました。この先生のアドバイスは、本当に助かった。今の私たちが住んでいる家は、講演の結晶だよ(笑)。

簡単に限界を口にするべきではない


――講演のほか、著書においても野村語録は広まっています。


野村克也氏: よく人は簡単に「私はもう限界だ」と言いますよね?でも、限界という言葉はそう簡単に口にできないと思う。限界だと線をひくのは、楽をしたいから。私がいつも言っているのは、「プロの世界で生きていくのに、妥協・限定・満足というのは禁句だ」ということ。そういう線を引くから進歩がないのです。18才からプロに入って基本をマスターして、それから応用に入るわけだから、25才ぐらいから本当の実力が出てくると思う。「若いうちの苦労は買ってでもしろ」というのも単純な原理だけど、確かにその通り。「若いうちに流さなかった汗は、年寄りになって涙となって出る。」おかげさまで、若い時に汗を流したから今は楽をさせてもらっていますよ。どんな仕事においても言えると思うけど、「いかに楽するか」のしっぺ返しは必ずくるね。最後は努力しているヤツが勝つという、いい見本がここにいる。いつも選手に言っていたのは、「努力は誰にでも必要だけれど、正しい努力をせえ」ということ。でもその判断が難しいんだよな。



それにしても、野球界にいると、ちょっと気の利いたことを言うと光ります(笑)。そうすると頭脳派だとか、頭がいいとか言われるのですが、そんなに過大評価されると本当に困る。野球界、後輩たちに「お前らしっかりせぇ」と言いたい。まだ私が目立っているようではダメだな。

――そういえば、球界と血液型について以前お話されていましたね。


野村克也氏: 私はB型なんだけど、血液型の本がベストセラーになった時に、「血液で人は決まらないだろう」と思ってました。けど、アレを読むと、あたってるよね(笑)。氏より育ちという言葉があるけれど、やっぱり環境で人は育つので、育ちが8割で2割が氏。この氏が血液型だなと私は思っています。監督の立場で選手を見ると、野球選手の場合は、ピンチやチャンスになると血液型が出るように感じるよ。プロ野球の世界にはいい加減なB型がいいと思います。通算2000本安打、通算200勝以上という名球会の人が40数名集まった時に、血液型のことを考えたんだ。メンバーの表をもらって、それぞれ血液型を書いていったら、BとOがほとんどで、A型は4人ぐらいしかいなかった。それを見て「やっぱり血液型ってあるんだな」と。かねやんと長嶋がBだということが腑に落ちなかったけど(笑)、1つみつけた共通点はいい加減というかアバウトなところ。B型が便利なのは、ズルズルと引きずらない点です。負けたり失敗したりしても切り替えが早いし、一晩寝たら忘れているからな。

――そんな野村さん今後はどのような本を出されますか?


野村克也氏: 野球界しか見たことがないから、社会のことはあまり分からないけど、「ノムさんの恋愛学って面白いと思いませんか?」と言ってきた人がいます。男はやっかいだから大金持ちになると、銀座だのと、飲む買うの方に走りますよね?遊ぶのはいいけど、心まで奪われてはダメというルールがあります。それを守らない人には、遊ぶ権利はありません。女遊びと金儲けは共通するところがあって、この女性をどういう風におとすかという攻略を考えなければいけないよね。勝負と一緒で、敵を知り己を知らんと戦術が出てこない。ただ、野村の恋愛学についての本は暴露本になるから、奥さんに怒られるし困るな(笑)。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 野村克也

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