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世界中の本好きのために

宮川俊彦

Profile

1954年生まれ。作文表現教育の第一人者。青少年の作文・表現教育活動を実践し、指導対象は200万人を越える。学校教育の枠を越え、人間そのものの分析・育成に向かう総合化の最前線に位置している。また400を超す大手企業、自治体の構成員の論作文などの分析に赴き、人材不況・教育不在の今日、人事政策支援など言語政策・国語政策を軸に積極的な教育顧問活動を推進している。 近著に『日本人と日本語』(角川書店)、『「とっちゃまん」の読書感想文書き方ドリル2013』『いじめ・自殺 この30年で何が変わり、何が変わらないのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『これだけは知っておきたい「作文」「小論文」の書き方』(フォレスト出版)など。

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本は、人類に語りかけるメッセージ


――昔に比べて出版される全体の本の数が増えている一方で、残る本の数は少ないように感じられますが、原因はどのような所にあると思われますか?


宮川俊彦氏: 短絡的な成果主義。本というものの、言葉の集積というものの質を変質させたね。多様化した読者に対応するんだってさ。多様とは読みの質であって、体裁ではない。その程度の認識だったということさ。刊行物なんか少なくてもいいのだと思う。なんでも商品化という知性は醜悪だね。本は消費ではなく消化。分類が意図的に進められないとね。伸び悩んだ本が紙で維持できないから、電子書籍に移行しているんじゃないかな。ある国の人たちが、「今ベストセラーになっている日本の本を翻訳したい」と言ってきたんです。ある程度売れている本というのをほとんど読んでみたが、どこがいいんだか分からない、という訳です。彼らは「もともと日本人が持つ知性とか昇華が低下し、ただ状況に適合してどうそれらしく過ごしていくか的国内的な発想に陥っている。だから中小零細でも構わないから、これは本物だなという作家を発掘して、日本人の知性を紹介してほしい。そういうものを是非色々な国で出版していきたい」と、言っていた。売れりゃいいという一元価値観は必ずしも通用しない。

――執筆の際、どのようにして先生のお考えを紙に落とされていくんですか?


宮川俊彦氏: 構想だな。僕の手法は、ずーっと考えて寝る。寝ながら頭の中で最初の行から最後の行までほとんど全部の文章を思い浮かべるんです。若い時からそれをやってる。頭の中で全部の文章を浮かべ、「よし」となったら、何時であっても起きて、一気に書き出す。140、150枚ぐらいまでは休まず、一気にやる。ふらふらになるまでずーっと書き続けて、クタクタになって、「ああもう寝よう」と思った時にたっぷり寝る。そして起きてから、もう1回見直すんだ。書き直しながら推敲していく。
つまりは頭の中で書いて、頭の中で自分で赤を入れるんです。だいたい150枚書いたら250枚くらいまでいくものね。構想をじっくり練るためにたっぷり時間をかけますが、その分、書くのは早いな。

――今まで150冊もの著作の執筆をされてきた先生はどのようにして、構想や作品のイメージを生み出しているのでしょうか?


宮川俊彦氏: ボクのやっている講義や教室というのはその溶鉱炉だよ。日々縦横無尽に思索も発想も飛び交っている。そういう空間に身を浸しているからさ。ひとつのテーマでも事件でもポンと投げると徹底して探求し尽くす。入れ食いかな。
知的好奇心だけじゃないな。遊びの感覚不謹慎さもね。非常識も。それを常に持って、思索すること。そこから思考の方法論とか見出してきたからね。

――執筆は、先生にとってどのような行為なのでしょうか?


宮川俊彦氏: アウトプット。そして飛び道具としての触発作用。「世に問う」という発想はない。「世を問う」という姿勢かな。
「一文天下に臨む」という矜持は堅持している。
売れるものも出す。必要はあるからね。逆にこれは絶対売れないだろうというものもある。しかしそういう本ほど海外で翻訳されたり、長く売れたりする。書き分けるということ。仕掛け。それこそ表現だし、言語計画、言語戦略というものじゃないかな。
所詮、言葉や発想、思想には著作権などはないと思っている。必要なら、人類にとってプラスになるのなら、巧妙に誰がやったか分からないように忍び込ませていく路線もあっていいんじゃないかな。

――つまり、執筆された作品は、人類に語りかけるメッセージなのでしょうか?


宮川俊彦氏: 未來とかね。表現は宇宙ですから。だから、現代の人間に分かってもらえなくても、100年後でも1000年後でも作用されたらいいというつもりでいなければならないんじゃないでしょうか。

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この著者のタグ: 『海外』 『考え方』 『原動力』 『教育』 『メッセージ』

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