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宮川俊彦

Profile

1954年生まれ。作文表現教育の第一人者。青少年の作文・表現教育活動を実践し、指導対象は200万人を越える。学校教育の枠を越え、人間そのものの分析・育成に向かう総合化の最前線に位置している。また400を超す大手企業、自治体の構成員の論作文などの分析に赴き、人材不況・教育不在の今日、人事政策支援など言語政策・国語政策を軸に積極的な教育顧問活動を推進している。 近著に『日本人と日本語』(角川書店)、『「とっちゃまん」の読書感想文書き方ドリル2013』『いじめ・自殺 この30年で何が変わり、何が変わらないのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『これだけは知っておきたい「作文」「小論文」の書き方』(フォレスト出版)など。

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自分の求める真理を追求し、言語の道へ


――大学は、どのようにして決めたのでしょうか?


宮川俊彦氏: 高校時代から、そういった問題に触れてきて、それは結局は表層の処世と思えたね。・・自己が起点なんですよね。確固たる、なんて思うこともない。思想も主義も道具とか方便と見ていいんじゃないかな。虚心坦懐に、歴史を研究しなきゃいけないなと思ったんです。人間の精神の問題、意識の問題だね。精神科医は重要と思えた。そのつもりで勉強していたのですが、ギリギリになって包含した上での行き着くのは建築だと思えた。建築の中には歴史も国家論も意識も医学も要素としてある。総合芸術だしね。

――実際に建築の道へ進まれて、いかがでしたか?


宮川俊彦氏: 学校の設計のテーマがあった。教育ってなんだろうと考えるしかないですよね。多くの学生はそう考えはしない。先生と生徒。一般的教室をイメージしていた。工学的にね。法隆寺が今日まで残っている理由は残しておこうとしたのね。人の意識が外壁。世々を経て。建築の最大の問題は技術論や材質論というより広範な構造論、人の意識と思いました。そして言語は、意識や人、あるいは社会を、歴史をも決定していく。ということは人を変えていくのも言語だということなのですね。それからです。言語について表現について考えていこうと。そのために、一番いいのは作文ではないかと考えました。一次データ収集も経年的に可能だし。こうしたらこうなる(ならない)。実践的に掴める。それにこういう専門を持つことで何につけても落としどころ確保できる。ホッとしたね。この道だなと思った。小川が大河になっていくようなイメージを持った。やればやるほど実になる。蓄積される。再検証もできる。生活面も仕事としても。自分のサイクルで完結させてやっていく人生ってのも面白いなと思った。言いたいことを言う文化じゃなく、今、状況がどう変わっているかを読解しなければ表現は規定されない訳だから、子どもたちの文章から、先生などのそれにまつわる大人の文章や発言、社会がそれに出す評価、イベントやマスメディアの発言などまで、全部表現。言葉。憲法もね。やっていこうと思いました。問題は山積、岩盤は固いようで泥沼。本質だけに見えていそうなのにガラスの壁や迷路。意外と適当にやっていたんだという先人たちも見えてきた。孟母断機ではないが、今更辞められないさ。

やり過ぎるくらいやっても、まだ足りない


――お仕事や活動を続けられる上で、理念やポリシーのようなものはありますか?


宮川俊彦氏: なきゃできない。中途半端にお茶を濁すのが嫌い。編集者は、「先生これぐらいでいいよ」「これぐらいの無難なところで書いて」「やり過ぎ」と言うんですが、僕は嫌だね。行くところまで行く。極を掴んでこそバランスとか表現としての位置や角度がとれるんだと思います。これは読解もそう。背景とか論拠というだけで極を掴む。構造もね。自分の感想などという水準ではなく。しつこいというか、好奇心かな。寓話にしてみても、今まで授業で9000くらいの寓話や民話や小説などの作品を使ったのですが、まだ足りない。インディアンも、小さな集落のものも記録にしかないものも、パンジャムもアフリカも。探せばいっぱい出てくるし。ひとつの作品は多元的に見ていけるからきりがないね。

――先生ご自身の活動に使命といったものは感じられていますか?


宮川俊彦氏: 言わずもがな。人には役目があると痛感する。好きだからとかやりたいから、という風潮や水準ではない。しなくてはならない、やるべきこととして見出していくことだよ。それはまた人として生きてきて幸福を実感することなんじゃいかな。僕にはこれしかないから。読解人でもある。世界の大学などで講義してもそこに普遍性があれば理解されていく。見識や可能性はひしひし感じますね。特に賢い学生や人たちとの場ではね。日本のパターン人間は退屈。自己を多重化していたらいいのだけれど。放棄して硬直化して袋小路に入ってそこで融解している気がする。浅薄な経済規範でね。

著書一覧『 宮川俊彦

この著者のタグ: 『海外』 『考え方』 『原動力』 『教育』 『メッセージ』

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