BOOKSCAN(ブックスキャン) 本・蔵書電子書籍化サービス - 大和印刷

世界中の本好きのために

中野雅至

Profile

1964年 奈良県生まれ。同志社大学文学部卒業後、大和郡山市役所に入庁。在職中に国家公務員Ⅰ種試験行政職を受験し、90年に旧労働省に入省。人事院長期在外研究員制度でミシガン大学公共政策大学院修了、新潟大学大学院現代社会文化研究科修了。経済学博士。旧厚生省生活衛生局指導課課長補佐、新潟県総合政策部情報政策課長、厚生労働省大臣官房国際課課長補佐などを経て公募により兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科・助教授。 近著に『ビジネスマンが大学教授、客員教授になる方法』(ディスカバー)『公務員バッシングの研究』(明石書店)など。今年3月上旬「食える学歴」(扶桑社)を出版予定。

Book Information

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

電子書籍は、今、過渡期を迎えている


――電子書籍について、何か可能性は感じますか?


中野雅至氏: 凄くありがたいです。出版社、編集者っていうのは、僕ら著者にとって、正負2つの意味を持っています。1つは機会をくれるありがたい人という意味です。ただ片方では、「なんでこれが却下なんだ」と不満をもったりすることもあります。さらに言えば、出版社も商売ですから、売れる見込みがないとダメというシビアな面もあります。編集者というよりも、営業を含めた出版社全体がOKしてくれないと、どれだけ企画が良くても出版できません。電子書籍というのはそういった面では非常にありがたいです。特にKindleでは、自分の本を登録するだけで、値段を付けて出版できるということで、非常にありがたいですね。天下りの小説を書いたのですが、どこの出版社も受け付けてくれないんです。この前、Kindleではすぐ出版できるというのを朝日新聞か何かで掲載されていたので、それで出してやろうと思って今、原稿を練り直しているところなんです。

――紙が、電子書籍になることがありますが、違うパターンとして、電子で認められて、後で紙になるというパターンもありえるでしょうか?


中野雅至氏: あると思います。どこまで普及するかにもよるんですが、読みやすい機器が出てきて、普通に電子機器で読めるようになれば、電子出版から紙という逆のパターンというのはあると思います。少なくとも出す側にとっては非常に、選択肢が増えるんでありがたいです。

――編集者の存在意義についてどうお考えですか?


中野雅至氏: 「ここがこうまずいんじゃないか」とか、「こういう書き方は良くないんじゃないか」とか、やっぱり僕らには分からない視点で見てくれるので、編集者は優秀だと思います。自分が書いたものをそのまま出すっていうのは、非常に怖い部分がありますので、編集者や校閲者の存在はとても大きいです。電子出版の中での専門の編集者という方がいてくれたら楽だと思います。電子書籍があまり普及しないのは、電子書籍の世界に編集者や校閲者がいないからというのも理由としてあるかもしれないですね。あとは世代でしょうね。僕らの子供だと、高校生と中学生なんですが、彼らはネットで色々なものを読むっていうのが普通になっている世代なので、この世代が大人になったら、電子書籍もより普及すると思います。

――今は過渡期ということなんでしょうか。


中野雅至氏: 過渡期だと思います。文章形態も、改行のやり方も、多分電子書籍用に変わっていくと思います。書き手にとっては、読んでもらえる機会が広がるので、電子書籍は非常に有利だと思います。

――研究者として電子書籍というものが身近に感じられていると思われるのですが、教育の分野でも電子書籍に可能性は感じられますか?


中野雅至氏: 特定のキーワードで引っ張ってくることができますので、論文などは絶対に電子書籍が有利でしょう。検索する時も便利ですね。もう圧倒的に電子書籍の方が、何かを作るという意味に於いては便利です。例えば、最近『公務員バッシングの研究』という600ページくらいの本を出したのですが、これを書こうと思うと、段ボール3つ、4つ分くらいの、本や冊子などの紙の資料が必要だったんです。これが全部PDFファイルなら、それはもうすごく楽だろうなと思います。

人生の目標は、後世に残るような本を書くこと


――今後どのようなことをやっていきたいと思われていますか?


中野雅至氏: そうですね。執筆を中心にやっていかざるを得ないというか、それが全てです。僕の目標はどちらかと言うと、残る本を書ければそれでいいという感じです。かなわない夢かもしれないし、生意気かもしれませんが、何年かずっと読み伝えられるような普遍性のある本をとにかく1冊でも多く書いてみたい。それと、個人的な目標は、政官財学情、要するに、政治家、官僚、財界だからビジネス、学は学者、情はマスコミ、この5つをとにかく経験して、一生を終えた上で残るような本を1冊書くというのが人生の目標です。政治家とビジネスがまだ残っているので、どこかで機会を見つけて、今後の人生の中で経験したいと思います。
例えば選挙に出るでもいいし、会社を作ることでもいいと思っています。今現在は、日本の右傾化みたいなものを、本格的に書けるんだったら取り上げてみようかなと思っていて、今資料を集めているところです。

――これから先も、益々勉強されつづけるのでしょうか。


中野雅至氏: そうですね。勉強が好きなので。出版社から発表できる機会、今後は電子書籍もそうですが、をとにかく貰うことが重要ですね。ワクワクして、読んでもらえて、反響してもらえて、こんなに良い仕事はありません。「読んで良かった」とか「面白かった」と言われると、やっぱりうれしい。無視されるんじゃなくて、反響があるようなものを書ければいいなと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 中野雅至

この著者のタグ: 『大学教授』 『出版業界』 『研究』 『アウトプット』 『メディア』 『ジャーナリズム』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
ページトップに戻る