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世界中の本好きのために

中野雅至

Profile

1964年 奈良県生まれ。同志社大学文学部卒業後、大和郡山市役所に入庁。在職中に国家公務員Ⅰ種試験行政職を受験し、90年に旧労働省に入省。人事院長期在外研究員制度でミシガン大学公共政策大学院修了、新潟大学大学院現代社会文化研究科修了。経済学博士。旧厚生省生活衛生局指導課課長補佐、新潟県総合政策部情報政策課長、厚生労働省大臣官房国際課課長補佐などを経て公募により兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科・助教授。 近著に『ビジネスマンが大学教授、客員教授になる方法』(ディスカバー)『公務員バッシングの研究』(明石書店)など。今年3月上旬「食える学歴」(扶桑社)を出版予定。

Book Information

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失敗しても恐れず、成功までやり続ける


――幼少期はどのようなお子さんだったのでしょうか?


中野雅至氏: 普通の子供でした。僕は下町育ちで、周りにはやんちゃな子もいましたし、色々な子たちに囲まれて暮らしてきました。また中学では野球部、高校ではラグビーと、ずっと体育会系でした。その環境にいたせいか、失敗や挫折、叩かれることに関しては、わりと平気なんです。

――幼少期から培われてきた経験というものが、現在のご活躍に繋がっているのでしょうか?


中野雅至氏: どうでしょうか(笑)。よく役所で部下にも言ったんですが、自分の運命なんて、半分は努力でなんとかなっても、もう半分は、どうにもならないんです。それはもう「たまたま」としか言いようが無くて。例えば本の業界でもそうですが、「なんでこの人の本は売れるんだ」と言われても、たまたまとしか言いようの無いものっていっぱいありますよね。その「たまたま」が何故なんだと原因を追求しても分からないことがほとんどです。たまたまなんです。今風の言葉で言うと「持ってる」ということなんでしょうね。
やってもやってもなかなか上手くいかない人もいますが、上手くいかなければ続けるしかない。継続して、日々、淡々と下を向いてやれとしか学生にも言いません。上を見て前を見て、でないと分からない、頑張れないとは思うのですが、そればかりだとしんどい。苦しい時は下を見て黙々とやった方が早いんじゃないかとよく言います。何度失敗しても成功までやり続ければいいだけ、というのが僕の持論です。僕の場合は、たまたま自分のやるべきことだけを見てずっとやれるような性格がどこかで培われただけの話です。たまたまというのは全てにおいてそうで、出演の機会や出版の機会も、全部たまたま。今回のインタビューもたまたま誰かがチャンスをくれただけだと思っています。

まずやってみないと、適性かどうかは分からない


――最初に本を出版した経緯は、どのような事がきっかけだったのでしょうか?


中野雅至氏: 僕は、役所を辞めた時に自分のオピニオンを出したいと考え、『はめられた公務員』という、公務員バッシングに対する反論のようなものを書きました。出版界は非常に閉鎖的で、まず売り込みは認めないんです。偉い先生の紹介とかっていうのが無いとダメな世界で、僕にはそういう人脈が全くありませんでした。それで、全部自分で売り込みました。でもやっぱり売り込みだけではだめだったんです。それで色々工夫して、例えば、いつもの時間帯に電話をかけていつものように売り込んで、電話に出たアルバイトのお姉さんから「じゃあ原稿を送ってください」と言われて送っても、半年経ってもなんの音沙汰も無い。おそらく机の上で死んだ原稿になっているのではないか、というのはなんとなく分かってきたので、昼休みだったらアルバイトの人がいないから編集者が出るんじゃないかとか、戦略を考えました。僕は、頭を打たないと何も上手く行かないタイプなんですよ。トライをして失敗をしないと分からないんです。何度もトライして、何度も頭を打って、初めて光文社にたどりつき、「出せるかもしれない」と言ってもらえたんです。

――執筆に対する思いをお聞かせ下さい。


中野雅至氏: 適性がある仕事なので楽です。書くのが好きなので、本を発表する時のワクワク感や高揚感のようなものは何事にも変え難いです。自分にたまたま向いていたというのは、やってから分かりました。仕事に苦痛が無いんです。良い悪いじゃなくて、自分に合っているんだと思います。自分はそれほど組織が嫌いではなくて、人間関係であまり悩むこともなく、調整仕事も好きだったのですが、自分1人で発表し、何かインパクトを与えて1人で喜んでいるという執筆の方が、ずっと仕事として続いていくんです。朝起きて毎日同じことを365日繰り返すのですが、鬱になることがないというのは、多分、向いているということなんだと思います。向いているか、向いていないかということはやってみないと分かりません。ですからゼミ生や卒業生にも「とにかくやってみたらどうだ」と言います。どこに適性があるのかは分からない。ですが、苦もなく続くかどうかというのがかなり重要なポイントです。苦もなく続くようなものが1個でもあれば、人は幸せだと思います。問題はそれを発見できるかどうかなんでしょうね。

――執筆の際に注意していることはありますか?


中野雅至氏: 効率的に進めようすると、中身がどうしても薄っぺらになることがあります。汗をかいた仕事っていうのは、試行錯誤の跡が見えるんです。何度か文章を書いていると、この本にどれくらいの時間を掛けたかというのが見えてくるんです。時間を掛けて書かないと、生まれないものがたくさんあるんです。合理性だけではなく、汗をかくというのが大切です。だから、僕らの業界では、仮説を潰す作業をやらないとどうしようもないんです。あるものを思い付いたんだけども、調べてみると全く違ったので潰し、また違った仮説を作る。でも何か読んでみたら、また違うなと思って潰してという作業を何度かやらないと、重いものは作れません。

著書一覧『 中野雅至

この著者のタグ: 『大学教授』 『出版業界』 『研究』 『アウトプット』 『メディア』 『ジャーナリズム』

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