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川島蓉子

Profile

1961年、新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科終了。ifs未来研究所所長。 ファッションという視点で消費者や市場の動向を分析し、アパレル、化粧品、流通、家電、自動車、インテリアなどの国内外の企業と、ブランド開発・デザイン開発などのプロジェクトを行う。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。 読売新聞で「くらしにごぼうび」という週刊コラムを連載。その他、日経MJ、ブレーン、日経トレンディなどに定期的に寄稿。 著書に「伊勢丹な人々」「イッセイミヤケのルール」(日本経済新聞社)、「ユナイテッドアローズ」(アスペクト)、「川島屋百貨店」(ポプラ社)、「虎屋ブランド物語」(東洋経済新報社)など多数。

Book Information

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インタビューの時には音声はとらない。


――インタビュー原稿を書かれるときはどのようにされているのでしょうか?


川島蓉子氏: あまりよく考えていないです。最近は、一応聞きたいことの項目はノートに書いていきますけど、音声も録りません。大枠の聞きたいことだけメモしておいて、あとは自分で言葉を聞きながらメモします。

――『エスプリ思考』でもそうですか?


川島蓉子氏: はい。あれはものすごいロングインタビューです。繰り返しインタビューをしていて思うのは、「頭じゃなくて心を書く」ということです。川島蓉子という心が、相手が、齋藤さんなら齋藤さんの心をどう受け止めるか、っていうことが肝要で、その時に強く残ったものを文字にしていく。あとは、インタビューもやっぱりその時の空気を、いかに柔らかくするか、広げていくかに私は力を注ぎます。この前、佐藤卓さんにインタビューしている時に、珍しく褒めていただいてありがたかったのですが「川島さんのインタビューは大笑いだよ」といったことを言われたんです。最初、きまじめに始まるんです。でもだんだん空気が柔らかくなっていくと、そこに笑顔が生まれたり、楽しくなったりするのが、私はインタビューだと思っています。卓さんと最後に笑ってインタビューを終えるために、じたばたしながら聞き出すわけです。あとは相手がどんなに偉い方であろうが、わからないことはわからないと聞く。相手がフンフンフンと言うと、「今のフンフンフンは何ですか?」って聞く。相手は「きれいだからです」と答えれば「どうきれいなんですか?」とさらに聞く。そういう聞き方をしていくので、一回ある方から「キックボクシングみたいだ」、と言われました。

――キックボクシングですか?


川島蓉子氏: 激しいやり取りがあるってことでしょう。そんなやり方を続けてきた結果が、私のインタビューなので、型破りでもあり、時に相手の方から、「こんなバラバラな話がどう原稿になるんですか?」と言われることもあります。



表現することは命より大事なこと


――川島さんにとって取材・インタビュー、書く行為は、総じてどんなことに思われますか?


川島蓉子氏: 大好きなことであり、自己表現です。また、仕事の中で命のように大事です。
毎回の作品で燃え尽きるのですが、その次に何かが必ず生まれるんです。もう51歳ですから、あと死ぬまでに何冊書けるかわからないですが、でも一生書いていくと思います。ネタとかノウハウは私の中にはないんです。面白かったインタビューはあるけれど、大成功だったと思ったことはない。一緒についてきて見るとよくわかると思いますが、全然うまくないんです。私は好奇心だけは強いので、若い時から無鉄砲に会いたい人に誰にでもアポを入れるんです。会ってもらえたら誠心誠意話を聞くし、原稿は覚悟して一生懸命書いて、それによって信頼していただく。それが私の人脈だと思うんです。

――書く上で音声を録らないそうですが、インタビュー後、すぐに原稿をまとめられるのでしょうか?


川島蓉子氏: それが、すぐに原稿を書かないので数週間たつとわからない言葉がいっぱいある。メモできることは微々たるものです。だからモザイクのように作り上げていくんです。効率が悪いでしょう?強いものから周りを広げていくタイプなんです。外の枠全部をおこして、それをギュッとさせるのか、強いところから肉付けするかのやり方の違いかもしれません。

一人一人の仕事は創造的であり、大事なこと


――今後はどんな展望を抱かれていますか?


川島蓉子氏: 野望は…あんまりないですけれど(笑)、先ほど申し上げたように、本もそうですが、心が動くことは生きていく中で大切だと思います。映画であろうと本であろうと、なんでもいいですが、そういうことをもっと今の人にも感じてほしいと思っています。書籍は、昨日決まったんですが、新潮社でエルメスの齋藤さんと、虎屋の黒川社長との対談を、まとめるというお話があって、それに取りかかる予定です。もう一冊は、今、日経ビジネスオンラインで連載を始めた、「ダサイ社長が日本をつぶす」というすごいタイトルのインタビュー物があるんですが、それが書籍になる予定です。そこで経営にも感覚やデザインが必要だと伝えたいと思います。未来研の活動としては、自分はつまらない仕事をやっていると思っている人に、一人一人の仕事は尊く意味があり、創造的であることを広めていきたいと思っています。5月の末に「ホテル未来」というイベントをやる予定ですので、楽しみにしていてください。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 川島蓉子

この著者のタグ: 『デザイン』 『こだわり』 『ファッション』 『アパレル』

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