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世界中の本好きのために

たかのてるこ

Profile

「世界中の人と仲良くなれる!」と信じ、60ヵ国を駆ける旅人。 映画会社の東映に勤める傍ら、プライベートで旅した映像をテレビ局に売り込み、本人が〈旅人〉と〈制作〉を兼任した旅番組(『銀座OL世界をゆく!』シリーズ)として放送する等、ユニークな活動を展開。デビュー作『ガンジス河でバタフライ』は、今や旅立つ若者の“旅のバイブル”となり、スペシャルドラマ化もされ話題に(のちにDVD化)。

2011年7月、18年勤めた東映を退社し独立。世界中の人々の魅力や、日本のすばらしさを伝える、ラブ&ピースな“地球の広報”として、紀行エッセイの出版、TV、ラジオ、講演、大正大学の非常勤講師など、幅広く活動中。
公式ホームページ】 【TABI-LIFE

Book Information

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電子書籍は、汚せないし、一緒に年をとらないから愛着が湧かない


――旅先でも資料を読んだり、執筆のための作業は何かなさいますか?


たかのてるこ氏: ノートに、今の気持ちを忘れないようにメモしたりしますが、原稿は日本に帰って来てから書くようにしています。リアルタイムでブログを書くなんて、もったいなくて、そんな時間があったら、1分1秒でも表に出て、その国を感じていたいですね。

――iPadは使われますか?


たかのてるこ氏: iPadは旅先では重いので、使ってるのはスマートフォンですね。昨夏、宿をほとんど決めずにヨーロッパ21ヵ国を50日間かけて鉄道でまわったんですが、ヨーロッパに強かったテレコムスクエアのWi-Fiをレンタルして持って行って、めちゃめちゃ重宝しました。以前は、ノートパソコンを持っていったこともあったんですが、旅先で宿を探したり、メールをチェックするのに、これさえあれば十分だ! と思いましたね。

――『ガンジス河でバタフライ』も電子書籍化されて、旅先でも読めるようになりました。ご自身は電子書籍にご興味はありますか?


たかのてるこ氏: 読んでもらえるのはとても有難いですが、旅先では私の本を読むよりも、1分でも1秒でも多く、日本ではできない、その国での体験してほしいですね。目的地に着くまでの機内で、旅へのワクワク感を盛り上げるために読んでいただけたら一番有難いです。私個人は、電子書籍はまだ読まなくてもいいかなって感じです。

――たかのさんご自身は蔵書を電子化する必要は感じませんか?


たかのてるこ氏: 仕事柄、本を買いまくるので、仕事部屋の壁面は全部本棚ですし、本であふれかえってます。今はなんとか収まっていますが、今後も増え続けることを思うと、電子書籍に頼る日が来るんですかねぇ。まだ想像がつかないですが。

――お読みになるのは旅の本が多いのですか?


たかのてるこ氏: 旅の本というか、自分が旅した場所に関する本を読むことが多いです。最近は日本を旅する機会も増えて、去年、高野山へ行って宿坊に泊まって、般若心経の写経したり瞑想したりプチ修行をしたんですが、その時は、仏教や空海の本を読みまくりました。もともと、チベットを旅したり、ダライ・ラマに会いに行ったりと、仏教のファンなので、読み出すと止まらなくて。

その前はアイヌのシャーマンに会いたくて北海道を旅したのですが、アイヌの文化の本を読んだり、「アイヌ神謡集」という、アイヌの人たちの中で歌い継がれてきた神話を読んだりしました。「アイヌ神謡集」は、自然と調和して生きていたアイヌの暮らしがいきいきと描かれていて、キツネの神様やコウモリの神様が出てくるんですが、アイヌの人たちの豊かな精神文化に触れて、胸がキューンとするような話がたくさんあって。

――電子書籍だと、「キューン」となれませんか?


たかのてるこ氏: 電子書籍にどうして移れないかっていうと、私は本を読むとき、本に3色ボールペンで線を引いたり、折ったり、いろいろ書き込んだりするんです。たとえば、「アイヌ神謡集」には、自然界のフクロウや海や、いろんな神様が出てくるんですが、神様も嫉妬したり、すごく人間臭かったりするんですね。で、私はいつも本を読みながら、本を書いた人に話しかけたりツッコんだりしているので、共感したところに「わかるわかる」とか、驚いたときに「えーっ!?」とか、グッときたところにハートを書き込んだりするんです。

電子書籍も書き込みできるんでしょうけど、紙の本のような感じでは汚せないですよね。だから、愛着が湧かないような気がするんです。汚れがないということは、年を取らないっていうことですよね。たとえば、友達がいわゆるアンドロイドになってしまったら、相手だけずっとティーンのままで、いつも肌つるつるでシワひとつないと、一緒に年を取ってるという感覚が持てないですよね。

その点、紙の本は、だんだん古くなっていって、20歳の時に読んで影響を受けた箇所には、折り目がついてて、20歳の時の書き込みがあるんです。次に読み返す時のことを考えて、頭から読み返す時間がないだろうと思って、よかったところに折り目を付けたりしてるんですが。そこを読み返すと、(当時の私もここにグッときたんだな)と思ったり、(今はこっちの文章のがグッとくるから、ここに青色ペンで線を引いておこっと)とか思えていいんです。紙の本には、自分が年を経ていくように、一緒に年を重ねていくよさがありますよね。

本と映画と旅の3つは、自分にとっての魔法のランプ


――本を読む人は減ってきていると感じることはありますか?


たかのてるこ氏: 哀しいかな、世代によっては、一生本を読まない人もいると思います。コンビニで雑誌は買うけど、1冊の本を読むことはない、みたいな人っていますよね。それは映画に関しても同じで、一生本屋さんに行かないのと同じように、一生映画館に行かない人もいますよね。

映画でいうと、だいたい1年間に1人の人が1本の映画を見るぐらいの計算になるらしいんですけど、学生時代、名画座に通っていた頃は、私は1年に100本は映画館で映画を見てました。つまり、私が100本映画を見てるってことは、99人の人は1本も見ていないってことですよね。本も同じで、私は本をたくさん買うので、すでに一生読めないくらいの量を買っているかもしれないですが、私がたくさん本を読む分、読まない人も大勢いるんでしょうねぇ。

――そんなに本をお持ちなんですか?


たかのてるこ氏: 本との出会いも一期一会なので、「この本を読みたい!」と思った気持ちを忘れたくなくて、「ほしい!」」と思ったら、つい買っちゃうんです。今は読む時間がなくても、いつか読みたい! と思って、増える一方で(苦笑)。

――たかのさんにとって本はどんな存在ですか?


たかのてるこ氏: 夢を叶えてくれる、魔法のランプですね。旅も私にとって、そのときどきの夢を叶えてくれる魔法のランプみたいな存在です。たとえば、この世で一番恐ろしい国だと思っていたインドを旅して、ガンジス河でバタフライするというアホな夢を叶えたり、仏教に興味を持ってチベット文化圏を旅して、仏教のファンになったり、ラテンな生き方にあやかりたいと思って旅したキューバでは、最高に愉快なアミーゴ(友だち)を作ったり。日常という長期スパンではむつかしくても、短期決戦の旅先では、目的に対して気持ちがまっしぐらだから、そのとき「自分が欲しているもの」が手に入るんです。



旅と本、映画。この3つが大好きです。どれだけお金を注いでも、惜しいと思わないジャンルがあると心強いし、これからも貢げ続けるでしょうね(笑)。本は、自分が何にでもなれて、どこにでも行けるところが素晴らしいなぁと思いますし、この3つは私にとって最強の魔法のランプですね(笑)。

――旅に必ず持っていくものはありますか?


たかのてるこ氏: 旅の安全を守れるよう、貴重品袋と、旅用の財布ですね。「地球の歩き方」と組んで、旅アイテム「TABI-LIFE」を立ち上げて、旅グッズを作ったりもしているんですが、自分がずっとほしいと思っていたものを作ったら、おかげさまで2万個の大ヒットになりまして、他の旅人もほしかったモノだったんだなぁと思って(笑)

旅貴重品袋は、Tシャツやジーンズの中に入れても蒸れないよう、外側はオーガニックコットン、汗をかいてもパスポートや紙幣が濡れないよう、内側は撥水加工のポリエステルで作りました。旅財布の方は、落とさないようにチェーン付きで、旅先で出会った人にサインやイラストを書いてもらったりして思い出を刻めるよう、撥水加工を施した綿布で作ったんです。細部にこだわって作ったので、めちゃめちゃ愛用してますね。

――今後は旅を通して、どんなことをしていきたいですか?


たかのてるこ氏: 私の本を読んだ方から、「元気が出ました!」とか「ひとり旅に出て最高の思い出ができました!」なんていうメールやお手紙を頂くと、効くっていう方がいらっしゃるということは大きなモチベーションなので、効く人がいる限り、ずっと書き続けたいですね。

旅ほど面白い、「参加型の総合エンターテイメント」はないと思うので、どんな人にもオススメしたいです。最近のデータでは、旅をする人は、旅をしない人に比べて、認知症になる確率が8分の1になるとも言われてますし、旅は心と体の健康に本当にいいんですよ。日本では毎年、自殺する人が3万人もいますが、旅に出るとプチ挫折の繰り返しなので、心が折れにくくなりますし、死ぬくらいなら、有り金かき集めて、旅に出てもらいたいです。

古くは小野妹子とか、明治時代でも岩倉具視とか、100年くらい前までは、選ばれた、限られた人しか海外へ行けなかったのに、普通の庶民がようやくこんなに気軽に海外に行けるようになったのに、旅に出ないなんてもったいないと思います。老若男女、万人に旅を勧める、「地球の広報」でありたいと思っているので、ひとりでも多くの人に旅立ってもらえるキッカケになるような本を書いていきたいです。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 たかのてるこ

この著者のタグ: 『旅』 『海外』 『健康』 『エッセイ』 『きっかけ』 『ピースボート』 『国際結婚』 『夢』

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