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世界中の本好きのために

掌田津耶乃

Profile

Apple IIをきっかけにのめり込みアップルショップの店員として働き始め、Mac+(日本初のMac専門月刊誌)に、記事を寄稿し始め、Mac関係の編集部に缶詰状態で働く。その後多くの記事を投稿しライターとして活躍する傍ら、フリープログラマとしてJava/PHPなどによる開発も引き受けつつ、Javaを中心としたプログラミング関係の書籍執筆。著書に『EclipseではじめるJavaフレームワーク入門』、『オープンソース徹底活用 CakePHPによるWebアプリケーション開発』などがある。 ランタサルミ・ログハウスに妻一人、子一人、猫二匹、と共に暮らす。
【オフィシャルサイト】 thttp://www.tuyano.com

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今は仕事としての読書が8割を占める


――今でも読書はなさいますか?


掌田津耶乃氏: そうですね。でもやっぱり仕事で資料として読まなくてはいけなくなると、やっぱり質が変わってきてしまうんですよね。だから子どものころのほうが、圧倒的に読んでいた気がします。休みの日になると、1日4~5冊の文庫本を積み上げて読んでいたりしましたね。今は暇を見て読むので1ヶ月とか2ヶ月かかったり(笑)。そんな感じですので、読む量としては全然違いますね。あとは子どものころは想像もしなかったですけれど、本を買うのってお金がかかるんですよね(笑)。一人暮らしをするようになって、本を好きなだけ買えないということに気が付いたんです。今はやっぱり子どももいるし、お金も好きなようには使えないので、ちょっと抑えている。子どもが本を読むなら、できればそっちのほうを優先してという感じです。その割には読むようにならないんですけどね。

――本を購入される時は、お近くの本屋さんに行かれますか?


掌田津耶乃氏: 子どもの本はやっぱりそうですね。ただAmazonで買うことも多いです。週に2~3回は、資料が届いたりしますね。

電子の閲覧はもっぱら「青空文庫」


――いわゆる電子書籍のご利用というのはありますか?


掌田津耶乃氏: そうですね。仕事の資料として電子書籍を利用していることはまだないですね。でもたぶん一番利用しているのは青空文庫ですね。暇があればちょっと時間をつぶすのに、日本の古典が読めるので(笑)。アンドロイドタブレットと、携帯もアンドロイドを持ち歩いているので、それで読んでますね。以前は文庫本を持ち歩いていたんですけど。

――スマートフォンのこういうところがもっと改善できたらというところはありますか?


掌田津耶乃氏: やっぱり、スマートフォンとかタブレットでは、目が疲れるので、暇つぶしする時はいいんですが長時間は読めないです。やっぱり読書というので、家で朝から晩まで本を読んだりという、そういう風なのと比べると、まだデジタル端末は難しいかなと。ただ、Kindleが日本でようやく出てきたので、電子ペーパーに変わってくると、だいぶ雰囲気は変わってくるのかなという気はするんです。まだ実物を見ていないのでなんとも言えませんが、これからちょっと楽しみな部分ではあるんですね。

読書は紙で、レファレンスは電子で


――テクニカルライターの掌田さんからの目線として、この電子書籍の可能性というのは、どういうところにあると思いますか?


掌田津耶乃氏: やっぱり、テクニカルな文章、技術文章だとすると、例えば入門書みたいなチュートリアルな局面と、要するに順序立てて読んでいくというような物と、あと、レファレンス的な物に別れると思うんですよね。順序立てて読んでいくという入門的な物は、どうしても紙の良さにはかなわない部分がある。でもレファレンスは検索能力という点では圧倒的にデジタルですよね。昔は例えば、「何とかかんとかレファレンス」みたいなかなり分厚い本がよく出ていました。Javaとかだとそれだけで全部で厚さが30センチぐらいになる本があって、何千円もした記憶がある。今はそういう風なものを本で買うということはまず考えられない。それは例えば、電子書籍、電子ブックの形態である必要がない。それはウェブ上にあるページであっても構わないわけですし、あるいはヘルプファイル的なものでも構わない。要するにデジタルで情報が整理されて検索できる状態であれば、それは十分役に立つんです。だからいわゆる「電子ブック」という、そのブックの形態である必要はない。そうすると、本という形態でということを考えると、紙のほうがまだいいけれど、検索とかデジタルの良さを生かした物になると、それは本という形態である必要がないわけですよね。

電子ブックはどこへ行こうとしているのか



掌田津耶乃氏: その辺で、今ちょっと電子ブックというのが、どっちの方向に行こうかと、模索しているところなのかなという気がするんですね。いろいろと方向があるにしても、ちょっとどこに行こうとしても、最初の一歩を踏み出そうかどうしようかと迷っているという気がするんですね。

――概念を見直す必要がありそうですね。


掌田津耶乃氏: そうですね。もともとハイパーテキストというのは、いろいろなものを関連づけて、どんどんつなぎ合わせるという概念から来ている。それはもう本という概念を飛び越えたところから始まっているわけですから。それをなぜわざわざ本にするかということを、ちゃんと考えていかないと。

――確かにおっしゃる通りですね。


掌田津耶乃氏: だから方向がどうもおかしいかなという。例えば本でも書籍でも、しばらく前に、ロールプレイングブックがはやったりしましたよね。あれはやっぱり本でありながら、いわゆる最初から順番に読んでいくという本の概念をなんとか壊して、別の形を作ろうとしたんだと思います。電子ブックがそうやって、同じようにもっと自由度が高くなるはずなのに、逆に本というほうに集束する形になってしまうのは、ちょっと逆のような気がするんです。自分でこうだよと提示することはできないんですけれども、今までの本の概念とはまったく切り離された形で、何かが出てくれば、そういう時にたぶんバーッと進化するんじゃないかという気はするんです。私自身、メインで書いているのは入門書関係で、ずっと最初から積み上げていくタイプのものが自分の中で一番得意な分野となっているんですよね。



そうすると、その辺が一番電子書籍化しにくい部分かなという気もちょっとするんです。それはある意味、電子書籍が進んでも最後まで本として残されるのかもしれないけど、逆に言うと、それは最後まで置いてけぼりをくってしまう分野かもしれないので、新しいものがあった時に、最後まで古いところに残されてしまうところに自分がいるのはちょっとシャクだなという感じもあるんですよね(笑)。かといって、何か自分の中で新しい形態が、こうあるべきというのがちゃんとあるわけではないので、どうにかしたほうがいいなぁとは思いつつ、考察が見つからないという感じですね。だから自分が果たしてどういう形で電子書籍などにアプローチをするかというのは、まだ自分の中で答えが出ていないというかね。

――読者が、紙の本を電子化してでも持っておきたいというお気持ちに関してはどのようにお考えですか?


掌田津耶乃氏: 自分の書いたものっていうのは、書き上がって本になってしまうと、自分とは関係ない感じがあるんですよね。それを書いた人間のものではない感じがある。それを購入した人がどう利用しようと、あまりピンと来ないところがあるんですね。好きにしてくださいという、そういう感じが強いですよね。要するに書いた段階で、自分の中で完結してしまっている感じがあるんですね。

著書一覧『 掌田津耶乃

この著者のタグ: 『ライター』 『コンピュータ』 『プログラミング』 『小説』 『IT』

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