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世界中の本好きのために

河合敦

Profile

1965年東京都町田市生まれ。地元の中学・都立高校卒業。青山学院大学卒業(文学部史学科)。早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学(日本史専攻)。「わが祖先を語る」を秋田書店「歴史と旅」に投稿、編集長に見いだされ、25歳で「歴史と旅」に寄稿。その後、歴史読本などにも寄稿、共著で本を執筆するようになる。第17回郷土史研究賞優秀賞(新人物往来社)。第6回NTTトーク大賞優秀賞を受賞。現役の高校教師として日本史を教えるかたわら、多数の著書を執筆。難しい日本史をわかりやすく楽しく教えるのがモットー。

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移ろう本との関わり方


――ところで、話は前後しますが、人生に影響を与えたという謝世輝さんの本は、どのように手にされたんですか?


河合敦氏: たまたま古本屋だったと思いますね。

――古本屋にはよく通われていた?


河合敦氏: そうですね。今は自分のが安く売られているのでいやなんですけど(笑)。でも当時はお金がなかったので、古本屋はしょっちゅう通っていましたね。

――昔と比べて本屋や古本屋について変化を感じたりはしますか。


河合敦氏: やっぱり綺麗になりましたよね。古本屋でも新刊と変わらないようなきれいな状態で本が売られていて、比較的手に取りやすい。あと、安いですよね。

――でもそれは書き手として諸手を挙げて、という風にはいかないと思いますが(笑)


河合敦氏: はい(笑)。でもまあ、当時が今のようだったらもっとよかったなと思いますね。昔は本当に本が汚くて……。神田の古書店とかだとしっかりしていますけど、普通の町のだと、本が山のように積んであって、しかもめちゃくちゃなジャンルで。ただ、逆にそこから面白そうな本を探すのが面白かったりもしましたね。

――今でも歴史に関連して資料などを参照されることがあると思いますが、そのときの資料の購入は、やはり本屋に足を運ばれるんですか?


河合敦氏: 最近はね、よくないんですけど、Amazonで買っちゃいますね。直接行く時間がないのと……。

――便利ですしね。


河合敦氏: ええ。あと、僕は早稲田で非常勤講師をやっているので、図書館が使い放題なんです。1冊何十万円もする明治期の本なども普通に借りて見ることができるので、それはもうありがたいですね。大学の図書館の存在は、本当に代え難いものです。

――では、購入するとなると、ネットとリアルな書店の割合って、どのぐらいですか?


河合敦氏: ネットが圧倒的ですね。8割ぐらいになるんじゃないでしょうか。

――ネットに関連してお伺いしますが、電子書籍は利用されていたりしますか?


河合敦氏: 最近、うちのやつがiPadというんですか、それを買って、電子雑誌などを購入しはじめましてね。それを見せてもらったら、結構綺麗に映るんだなと思って。ただ僕自身は、それをパラパラとめくったりしている程度ですね。本当に今年から、家族がそういうことをしはじめた。これまではまったく電子書籍に興味がなかったんですが、触ってみて、雑誌みたいなビジュアル的なものはとても読みやすいなと思いましたね。

――その中で、教育者、歴史学者、研究者として、電子書籍のこれからの役割や可能性を感じたりはしますか?


河合敦氏: そうですね……よく分からないですけど、普通に小説とかを読んでいるとそういう機能は難しいと思いますが、例えば音楽が流れてきたり、映像がふぅっと浮いてきたりとか(笑)。そういったことができれば、楽しく読めるのかなという気はしますね。あとまあ、電子書籍は重くならないですから、資料なんかも手軽に読めるんじゃないかと。

僕らのような人が調べものに使う国史大辞典があるんですが、たぶん1冊1キロぐらいで、それが15巻あるんですね(笑)。それをしょっちゅう参照するのはやっぱり大変です。そういう分厚い文献が、コンパクトに全部1台の中に入ってもらうとありがたいですね。

――ほかにも、何か電子書籍ならではの新たしい見せ方もできそうです。合戦の経緯が動く画面で分かったりとか。


河合敦氏: そうですね。ビジュアル的に分かりやすく。例えばですが、姉川の戦いで、どこかを1つ押すと姉川がピーッと映ってきて、そこから合戦の様子が出てきたりとか。それでまた押すと現在の様子が出てくるとか。単にページをめくるだけの書籍ではできない工夫や分かりやすい仕組みが生まれて、教科書のように活用できると面白いですね。

――はい。先生に動画で登場していただいても、面白そうです。


河合敦氏: それも面白いでしょうね。解説を押すと、いろいろな先生が出てきて解説してくれるとか。そういうことが電子書籍はできる可能性がある。それがいいなと思いますね。

――逆に紙の本の良さは、どんなところにあると思われますか?


河合敦氏: よさですか……。まあ、何か線を引いたり……でもこれは、電子書籍もできるか。

――できるとは思うんですけど、まだ紙には追いつかないというか。


河合敦氏: そうですよね。あとは……何かを探すときに、紙だと大まかに「このあたりにあるな」とか、手に取ってすぐにページが出せるといったこととか。

――ページをめくる感覚。


河合敦氏: ええ、心地よさとかですかね。でも結局はそういうものも、変わっていくんでしょうね。紙の本がなくなることはないと思うんですけど、レコードみたいに一部の人だけが持つものになって、やがては電子書籍が……。そうやって変わっていくんだと思うんです。

そうだ。匂いとかもいいですよね。紙の本の。

――電子書籍では、自分で買った本をスキャンして電子書籍化する――いわゆる“自炊”といったものもありますが、そういった形で読まれることに関して、何かお考えはありますか?


河合敦氏: そうですね。本音を言えばちゃんとした電子書籍を買ってほしいですね(笑)

――自分本をスキャンするというのは、それこそマーカーの書き込みのようなものも含めて保存しておきたい場合もあると思います。


河合敦氏: そうした形で使われることに関しては、特にもう、ありがたいことだなという気持ちです。

著書一覧『 河合敦

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