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江口克彦

Profile

1940年2月1日、名古屋生まれ。愛知県立瑞陵高等学校を経て、慶應義塾大学法学部政治学科卒。松下電器産業株式会社入社後、昭和42年・PHP総合研究所へ異動。秘書室長、取締役、常務取締役、専務取締役、副社長を経て、平成16年・同研究所社長に就任。平成21年・退任。その後、執筆・講演を中心に活動していたが、「みんなの党」からの要請に応え、「地域主権型道州制」の政策を掲げ、平成22年7月の参議院議員選挙に出馬、当選。松下幸之助のもとで23年間、側近として過ごす。松下幸之助に関する多数の著作がある。松下幸之助哲学の継承者、伝承者と評されている。それゆえ、松下幸之助経営に関する講演依頼も多い。

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地域主権型道州制が政治家としての使命



PHP総合研究所の前社長であり、現在はみんなの党の最高顧問として活躍する江口克彦さん。著書も豊富で、これまでに50冊以上の本を発表されています。PHP総合研究所時代には松下幸之助氏の秘書を務めていたことから、松下氏に関する著書も多いのが特徴です。そんな江口さんに最近の政治のことや印象に残っている本など、さまざまなことを伺いました。

経営者時代よりも多忙な毎日


――今、国政を担われるお立場としての仕事内容をお伺いしてもよろしいでしょうか。ここ最近はどんな1日を過ごされていますか?


江口克彦氏: 委員会や研究会、勉強会がありますし、自分自身で政策の検討や立案もしなければいけないので、世の中で言ってくれているほど暇じゃない仕事だなと思っています。国会議員が政治をまじめにやれば、とてもじゃないですけど経営者の比にならないほど忙しいです。1日20人ぐらいの人に会っていろいろと話をして、提案を受けることもよくあります。その合間にまたいろいろと法案が回ってくるから、それを読んで判断しないといけない。経営者の時も忙しかったけれど、今はその3倍ぐらい忙しいですね。私自身は、接待が嫌いです。だから、経営者の時は夜の接待なんか年に3、4回ぐらいでした。あとは必要なことがあっても担当役員にやってもらっていましたから、夜は、6時~8時には帰っていましたが、政治家になると、とてもじゃないけれども自分でスケジュールを立てられない。急に委員会や懇談会の予定が入ってくるんです。「9時からちょっと打ち合わせをやりたいから来てほしい」とか、前日に「明日の5時から両院議員総会をやる」とかね。そういうような状態ですから、非常に不規則ですね。夜の9時から打ち合わせをやったり懇談会をやったりして、11時ぐらいまで続いて、翌朝は7時からの会合に出席しなければいけない。そういう意味では政治家という仕事は、寿命を縮めるんじゃないかと思います。長生きするのは難しいのではないかと感じるぐらい、大変ですよ。

――想像以上に激務な日々ですね。




江口克彦氏: ただそれは、政治家を一生懸命やろう、まじめにやろうとすればそうなります。しかし、自分は人にも会わない、陳情も受けない、研究会・勉強会にも出ない、仲間うちの会合だけに出るというのだったら、もっと明確に言えば、政治家でありながら政治をやらない、真剣に取り組まないという国会議員にとっては楽な仕事だとは言えるでしょうね。

国会に持ち込んでいるのは“明確化”


――経営者時代のノウハウを、政治家の仕事に持ち込める部分は何かありますか? 


江口克彦氏: 目標を明確にする、ビジョンを明確にする、そしてタイムスケジュール・行程表を明確にするとかいうようなことは、政治の世界では疎いんですね。経営においては何をやるのか、それをいつまでにやるのか、そのためにスケジュールはどうしなきゃいけないのか、そしてそのスケジュールを決めたらその通りにやって、目標を達成するということが明確ですが、政治の世界に入っていらだちを感じるのは、そういった行程表をあまり明確にしない。そして、行程表を作ってもそれを正確に守ろうとしない。時間の限定というか、時限を確定しない。だから「可能な限り早く」、「できるだけ早く」、「迅速に」とか、そんなことばっかり言っているわけですよ。私はいつも委員会でそれぞれ閣僚たちにね、「あなたの可能な限り早くっていうのはいつまでですか?」と質問をしています。そういうことを今、日本の国会の中に持ち込んでいると言えば持ち込んでいる。要するに目標を明確にすること、行程表をしっかり立ててその通りに実行していくということ。そうしないと、やっぱり国民や国家のためになりませんからね。竹島でも尖閣でもいろいろ問題になっているけど、私は北方領土にメドベージェフが入った時に、もっと毅然とした対応をすべきではないかと思いました。北方領土に大統領が入ったら、こっちも首相が入っていくというか。向こうがやった同じことをやるというような、そういうことの繰り返しが、既成事実を作らせないという意味で必要じゃないかと当時の外務大臣に言ったんだけど。外務大臣が何と言ったかというと、「静かな環境で話し合いを進めていきたい」って。静かな環境というのはどういう環境だと質問したんだけどね。とにかく曖昧模糊としている。日本の政治というのは明言を避けるようなことばっかりです。そういう中で一生懸命、意味を明確にするということを私としては意識している。それを国会の中に持ち込んでいます。

日本はもっと主張をすべき


――なぜ一国の首相が島に行くということができないのでしょうか?


江口克彦氏: それはやっぱり、羮に懲りてなますを吹く(前の失敗に懲りて、度を越して用心深くなること)じゃないですけど、二度と戦争はしてはいけないという思いが強いんでしょう。確かに戦争はいけないけれども、いまはそれ以上に腰が引けるような感覚になってしまっていると思いますけどね。だから戦争じゃなくったって、向こうがやったことをこっちもやりながら既成事実を作らせないという強い態度に出ていくというようなことをしていくことが必要だと思います。その上で相手と話をしていくことが必要じゃないかと思うんですよね。竹島なんかでも、既成事実を作られちゃっているわけですよ。それで竹島がいくら日本の領土だと言ったって、向こうにいろいろな物を建てられている。それだったら例えば島を包囲してしまうとかね。それから「国際司法裁判所に訴えろ」と私は委員会の時に質問したりもしたんだけど、そういうことを今ごろになって国際司法裁判所に訴えるという。訴えること自体に効果があるんだと言っているんだけど、それは韓国は受けないから訴えても意味がないんだと。われわれは質問時間が限られている。みんなの党とか、われわれのような少数政党になってくると10分ぐらいの質問時間しかないから、あんまりそればっかりはできない。だから深く追求できないというところがあるんですよ。訴え続けたらいいんですよ。それで訴えているのに韓国が応じないということを広く世界に知らしめたらいいし、韓国になぜ国際司法裁判所に出てこないのかと、回答書を求めたらいいわけで。そういうことをどんどんやっていったらいいと思うんですね。



――なるほど、そうですね。


江口克彦氏: 尖閣諸島でもそうで、日本の領土だということであるならば、中国に対してもっと明確に主張すべきですよ。波を荒立てないということよりも、ただ静かにしているだけではいけない。あの辺りは最高の漁場なのだから、漁船に対応できるような灯台を作るとか、港を作るとか。気象観測所でも作ったらいいし、いろいろな施設を造ればいいのに。竹島も穏便に、静かな環境でなんて言っているから、あんなものをどんどん作られちゃうわけです。日本は場合によっては、自衛隊を出してもいいと思っているんですよ。自衛隊は何のためにあるかって言ったら、国を守るためにあるわけですから。紛争を恐れて自衛隊を出さないんだったら自衛隊の存在している意味がない。だから領土主権、国家主権を守るんだという意識をやっぱり持たなければならないと。ロシアでも韓国でも中国でも、こちらが穏やかにという態度をとればとるほど、強硬に手を打って来るわけだから。強硬な手に対しては相応の強硬な対応をしていくべきだと。私は海上自衛隊を出動させるとか、そういうようなことをちゅうちょするべきではないという考え方なんです。守らなければいけないと思うんですね。

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