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世界中の本好きのために

細谷功

Profile

1964年12月7日、神奈川県鎌倉市出身。東京大学工学部卒業。卒業後、株式会社東芝にて原子力技術者(約8年間)を務め、その後、ビジネスコンサルティングの道へと進む。コンサルタントとしての専門領域は、・業務改革(新製品開発、営業・マーケティング、生産領域)・戦略策定(技術領域、システム領域等)・グローバルERP導入、・プロジェクトマネジメント・チェンジマネジメント等と幅広い。著書に『地頭力を鍛える』『アナロジー思考』(東洋経済新報社)、『Why型思考が仕事を変える』(PHP新書)、『象の鼻としっぽ』(悟桐書院)等があり、思考力に関連した講演やワークショップ等も企業や学校、各種団体向けに多数実施している。

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出版社とは別に、個人編集者やアマチュアが本を作る時代がくる


――今、電子書籍化によって、プロとアマの垣根が、出版するという最初のハードルとしては低くなってきているように感じます。それについてはどうお考えですか? また、今後、出版社はどのような形態をとると思われますか?


細谷功氏: 今までは名刺にプロって書いてあるくらいのものだったけど、今はもう30%プロの方も40%プロの方もいますよね。

版元に関していえば、もっとそれぞれの「芸風」が出てきてもいいと思うんですけどね。要するに、なんらかの付加価値、世の中に発信するという点では、個人と法人という境目はあいまいになってきてると思うんですね。

そうした時代に「会社であるメリット」というのは、ある設備投資がいるとか大きなまとまった人とお金がいるっていう場合。これは、集団力で対応できますから。でも大量な人、物、金がいらずにただのクリエイティブな機能とかだけが必要なのであれば、もしかすると個人、出版人、編集者という付加価値の出し方でむしろ個人がやるっていう方向にいく可能性がある。

逆に出版社としてやるとすると、人、物、金がいることによってなんらかの形で差別化しなくちゃいけない。今までは印刷するという行為に人、物、金が必要だったわけですけど、あとはどこに人、物、金を導入するかっていうね。ソーシャルなんかでやってしまえば、人を集めるっていうのは逆に必ずしも会社組織じゃなきゃいけないのか、疑問です。

――例えば、あるプロジェクトの為に精鋭が集まって、そのプロジェクトを完結するまでで終了という事も可能ですものね。


細谷功氏: ただ、そうなるとその一冊の本を作るのに人はいっぱいいるけれども、求心力は一人でいいかもしれない。そのプロジェクトを立ち上げる人がいれば、あとは個人の契約関係においてやってしまうというのはありえますよね。個人で立ち上げると言った場合には、その人のブランドなんかが差別化ポイントとなるというか。

――そうなると危惧されているのが、「出版界全体の活性化としてどうなのか?」という点です。つまり今度は出版社の方へ経験が蓄積されないという意見も聞いたりしますね。


細谷功氏: たしかに、経験の蓄積というのはありますよね。そういうのをどうするのか。紙が電子になる事自体は、バリューチェーンというかビジネスプロセスの過程で、製造業の製造という機能は海外に行っちゃいましたっていうのと似ていると思うんです。企画の力とか流通とか販促とかそういうものにおいては、単に真ん中の部分が抜けただけなので、出版社の機能って基本的には生きると思うんですね。

あとはそれに+αで電子、紙という軸のほかに、例えば個人化がどんどん進むとか、ソーシャルみたいな軸が入って来たりすれば、さらに別のチャレンジがどんどん出てくると思うんですね。

――個人のレベルで一緒に編集人とやっていけば面白いことになりそうですね。なお、これから5年10年後ってデバイスはどんな風になっていると思いますか? 


細谷功氏: 目をピッと動かしただけでページがめくれちゃうとか。あと疑問に感じた時は、目玉が右上にあがるとかあるじゃないですか? そうなった場合は、クエスチョンマークで出て来るとか、そのくらいのインターフェイスが出てきたらすごいですよね。

ただ、「本当にそれを使いたいか?」というとイマイチそうは思わなくて。技術者が研究している部分では面白いとは思いますけど、「それを本当に使うか?」といったら使わないかもしれませんね。話のネタにするんだったらいいですけど。

――デジタルネイティブ世代になるとまた意識は変わって来るのかもしれないですけど、我々世代にとってはどうしてもまだ抵抗がありますよね。


細谷功氏: そうですよね。さらにテレビもどう変わるか気になりますね。こたつがテレビになってみんなで囲んで観られるとかね。

――それは、すごく面白いですね。


細谷功氏: 私、もともとは技術者なので、かつては図面を書いてたんですよ。20年くらい前ですけど。A1サイズの大きな図面を100枚とかまとめてチェックするんですよね。一個ずつみるんですけど、そのとき思ってたのが、机がディスプレイになったらチェックとかがみんなで一緒にできるのになって。

その発想からさっきコタツがテレビのスクリーンだったらって言ったんですけど。そうなっているとボードゲームとか、マージャンとかもそのままできちゃうみたいな。そんな時代になったらテレビも4人観てたら映像が4層になっていて、同じものが見る人によって微妙に違う風に見えているとかね。そうするとみんなで観ていて、おぉ面白いなっていってみんな笑う時は一緒に笑える。テレビとかもいろんな考え方があるのではないかと思いますね。

本はなくてはならないもの。無人島で「食糧」がないより「本」がないほうがキツイ


――最後に、細谷さんご自身に影響を与えた本を教えて下さい。


細谷功氏:  折りに触れて読み返しているっていう点で1冊あるのは今NHKのビジネス英語の講師をやっている杉田聡先生が書いた英語の名言集です。

転職するときとか、いろいろな方向性で悩んだときにはよくその本に戻ります。いろいろあって自分に自信がなくなっているときに、「自分と同じような考え方の人に触れたい」という気分で、読んだりします。

電子書籍の話題に結びつければ、名言集なんかもリンクが貼ってあって、それにまつわるいろんなものが出てきたりすると面白いかな?と思います。例えば、その言葉を言った人の名前がありますけど、名前だけで終わらせるのではなく、「その人はどんな人?」とWikipediaみたいなのが立ち上がるっていうのもいいかもしれない。

――リンクで検索できる……というのは電子書籍ならではの魅力ですね。ちなみに、細谷さんご自身にとって、本とはどういう存在ですか?


細谷功氏: なくてはならないものであるのは間違いないですね。無人島に行って、食糧がないより本がない方が多分辛いんじゃないかって思う(笑)。まぁちょっと大げさにカッコつけていうとそれほど不可欠なものですかね。

退屈するっていうのが一番困るので。冒頭で、僕が常に本を10冊は持ち歩いているって言ったのも、例えばどなたかに会いに行った時に、20分空き時間ができたとして、どうしても何か欲しいわけですよ。そういう意味では電子書籍っていうのはすごく良くて、さっとiPhoneやKindleを出すと本が読める。しかも片手で全部読めちゃうしね。通勤だろうが何だろうが5 分でも空き時間があったら、本でもWebでもいいから読みたい。友みたいな存在であったり、自分の考えを整理する時にはフィールドであったりするんですよね。そんな大事な存在なんです。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 細谷功

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