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世界中の本好きのために

藤野英人

Profile

1966年、富山県生まれ。早稲田大学卒業後、野村投資顧問(現:野村アセットマネジメント)、ジャーディンフレミング(現:JPモルガン・アセット・マネジメント)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て2003年レオス・キャピタルワークス創業に参加、CIO(最高運用責任者)に就任。現在に至る。 中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネジャーとして豊富なキャリアを持つ。 著書に『「起業」の歩き方:リアルストーリーでわかる創業から上場までの50のポイント』(実務教育出版)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)など。

Book Information

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勇気と情熱で挑戦する


――投資の世界で、起業されることになったのは。


藤野英人氏: 私のところに来る方々は、根本的に作り上げていく人ばかり。だから、政府があれをしてくれたとか、してくれないなどという話ではなく、みんな“自分がどうするか”ということを話していました。それがすごく楽しくて、さらに感化されていきました。最初は嫌だった人たちが、憧れの対象となっていきました。それで、「自分もあっち側に行くためには、どうすればいいのか」と考えました。頭の良さではない、お金でも、人脈でもない。じゃあ何か必要なのかというと、一つは情熱。そしてもう一つは、「あっち側」に行くために、目の前の川を越えようという勇気なのではないかと。そうして、自分たちで会社を作ることになったのです。やっぱり、情熱を持って川を飛び越えた人たちを応援していきたいという思いが、すごく強いですね。一回挑戦する、ということはすごく大事なのです。

もともとは、私の祖父が裁判官だったこともあり、親戚からは裁判官や検事になってもらいたいと期待されていました。祖父は、満州の高等裁判所で裁判官をしていたのですが、私の父が若い時に、結核で亡くなりました。私は会ったことがありませんが、父が、6、7歳の頃の写真を見ると、まさに“エリート”という感じで、大きな家に住んでいて、コックさんもいました。それから、犬のポインターを飼っていて、半ズボンにサスペンダーといういでたちでした。祖母は祖父の結核がうつって亡くなり、その後ソ連が攻めてきて、大転落。父は兄弟で助け合いながら生きてきた中で、母と出会いました。うちは転勤族で、東京と地方を行ったりきたりしていたので、転校の連続。小学校は三、四つ変わりましたし、中学校も三つほど変わりました。

環境の変化の中で、自分がどう行動して、どう振る舞うべきなのか。他者とどうコミュニケーションをとるかというところは、子どもの頃からの課題でした。しばらく慣れたら、また違うところへ行ってしまうというサーカス団のような環境の中で、自分を立て直していきました。でもある意味、他人事のように感じていた部分もありましたね。それは、投資家的センスという目で見ると非常に良いことなのです。今、起きているマーケットの環境や色々なことと、自分を、主体・客体というところに分けて考える習慣がついていました。

ともかく私は早稲田大学の法学部を出て、検察官や裁判官をしようと思っていました。就職をしてお金を貯めて、2年ぐらいしてから司法試験を勉強しようと考えていたので、最初の数ヶ月は、資産を多く持つ人に対して、「このお金は悪いお金に違いない。こいつを捕まえてやれ」と、思っていましたよ(笑)。

私の“ラブ・アンド・ピース”(笑)の部分は、本や文学から学んだことだと思います。特にその時期から、文学などをたくさん読みました。詩も結構読みましたし、詩が好きな仲間と付き合い、フランス語や英語の詩などに憧れたりもしていました。大学時代にはエッセイを書いたり、コピーライティングをしたりして、色々なところで賞をもらっていました。

想いをストレートに伝える


――『投資家が「お金」よりも大切にしていること』の売り上げ部数が、どんどん伸びていると聞きます。


藤野英人氏: 出版社の中には「今は、何が儲かるかという本しか売れませんよ」とか、「『なんとかはやめなさい』というような命令形で作ってください」などと言う人もいたりしますが、星海社さんは「あなたの言いたいことを、ど真ん中で伝えましょう」と言ってくれました。それで、この本では、投資とは、お金とは、人間の生きることとは、など、わりと率直に語ることにしました。2013年に出した当初は、あまり売れませんでしたが、2014年には、一番売れた星海社の本となりました(笑)。宣伝も広告もしていないのに、新宿の紀伊國屋では新書で1位。聞いたところによると、一人の人が3冊、10冊と買っていって、周りに配っていると。つまり、私の思いを伝えることが大事だと思ってくれている人が、全国にたくさんいるのです。他にもいくつかの嬉しい出来事がおこりました。

一つは糸井重里さんの事務所のCFOの方が読んで気に入っていただいて、それで糸井さんが「この本は素晴らしい」と取り上げてくれました。それからもう一つ。「ジャパネットたかた」の高田社長の秘書の方が読んで、社長に薦めてくださったそうなのです。秘書が推薦した本もしっかりと読むという、その話を聞いただけで「高田社長は素敵な人だな」と思いました。さらには、その本を「良い本だ」と、講演の度に紹介してくれたのです。

――何が良かったと思いますか。


藤野英人氏: ど真ん中を伝えることが大事だなと思いました。言いたいことをストレートに伝えることが重要。私の場合は、今いる読者に対してリスペクトを払い、ど真ん中の球を投げたということが、とても良かったんだと思います。

私は、ラッキーなことに、カリスマ編集者の柿内芳文さんに担当してもらうことになりました。彼は、まっすぐにボールを投げてくる人です。そんな柿内さんとの熱いやり取りの中で、本ができあがっていきました。編集者は、最高の読者でもあり、最高の販売パートナーでもあります。もちろん営業に関しては、営業の方がやることが多いですが、“著者の立場で、営業を一生懸命考える”という目で見れば、編集者は非常に重要なサポーターの一人となります。本というのは、編集者と著者が一体化して作るものだと思います。著者が編集者を作るという面もあるし、編集者が著者を作っていくという面もあります。だから、お互い切磋琢磨していくような存在だと私は思っています。

著者になる前は、本屋さんはスティルという静かな世界でした。本屋さんで大騒ぎをしている人はいませんよね。でも、著者になってから本屋に行くと、色々なことに気がつくようになりました。まず、本というのは生存競争だということ。2日3日経つと、本屋さんの本の棚は変わってしまうし、1ヶ月もすると、返品されます。常に新しい本が出てくるので、今、平積みされている本も、いつまで在庫されているかはわかりません。「もう1週間ぐらい、ここにいるけれど、あの子がこの間いなくなったように、私も、もう来週はダメかもしれない」とか「また平積みに戻りたい」「今まで4段並べられていたのに、今は1段になっちゃったよ」「私、昨日POPが付いたんだ」というような本の声が聞こえるんです。

本屋さんは、実はとても動的な世界で、それに弱肉強食の世界でもあります。だから、母校に近い本屋さんで、自分の本が1段全部、平積みにしてあって、POPも立っていたのを見て、本当にうれしかったですね。母校の学生がたくさん来るところだったのもあって、思わず写真を撮りましたよ。

著書一覧『 藤野英人

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