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世界中の本好きのために

松田哲

Profile

1956年生まれ、東京都出身。 早稲田大学法学部を卒業後、三菱信託銀行に入社。本店国際資金為替部にて、外国為替、国際資金業務に携わる。その後、ファースト・インターステート銀行、パリバ銀行、クレディ・スイス銀行、オーストラリア・コモンウェルス銀行にてチーフ・ディーラーとして活躍。東京外国為替市場委員会、住友商事などを経て、現在は、法人・個人向けに外国為替等のコンサルティング業務を行っている。 著書に『FXで稼ぐ人はなぜ「1勝9敗」でも勝つのか?』(技術評論社)、『外国為替・FXのしくみ 損得を生み出す取引市場のカラクリとは?』(PHPビジネス新書)、『FX短期売買の教科書』(扶桑社)など。

Book Information

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――本を書くことになったきっかけは?


松田哲氏: 個人投資家はまだ集まってくる前で、業界自体が萎んでいたので、仕事を辞めようと思っていたのです。年齢的な意味でも仕事が無くなってきた時期だったので、「もう辞めようかと思う」とタカイさんという方に相談に行ったんです。そうしたら、私はインターネット上でホームページをやっていたので、「インターネット上で書き物をやっているんだから、本ぐらい書けるだろう。本1冊分の原稿を1週間後に持ってこい」と言われました。なんとか期限を2週間にのばしてもらったのですが、2週間後はバレンタインデーで、「タカイさん、2週間後はバレンタインデーだよ。バレンタインデーにタカイさんとデートするのか」と言ったところ、「やかましい、お前の大事なところだろう?だから相談に乗ってやっているのに、バレンタインもへったくれもあるか!」と(笑)。その当時、タカイさんは明治生命のお偉いさんで、有楽町にある三省堂のビルの上の保険協会のようなところに出向していたんです。2週間後に、ブログだとかインターネット上で書き溜めていたものなどを寄せ集めて、本2冊分ぐらいあるかなというような原稿をぐちゃぐちゃな状態で持って行ったんです。すると、「1階の三省堂に行って、自分の気にいった出版社を3つ選んでこい。本の裏には必ず奥付に出版社の電話番号が書いてあるから、それを控えてこい」と言われました。

――直接電話をされたのですか?


松田哲氏: はい。私は結局2社しか選べませんでしたが、タカイさんから「電話しろ」と言われ、飛び込みで電話をかけました。でもまともに相手をしてくれることは当然ありませんでした。それでもタカイさんは「松田、これから100まわれ。今2社やったんだから、残り98社だ。必ずどこか拾う」と言いました。そんなある日、たまたま林康史さんという、たくさん本を書いている方から電話がかかってきたので、出版社を紹介してくれないかと頼んでみました。すると、「すぐに原稿を持ってこい」という話になり、日経BPの編集の方とその日に会って、原稿を見せたところ、「松田さん、やりましょう」とすぐに話がまとまりました。それから本ができあがるまでに、1年くらいかかりましたね。

2人からの勧め


――村上龍さんの本に、松田さんが登場しているそうですね。


松田哲氏: ええ。『希望の国のエクソダス』に私が出てくるんですよ。その本は、中学生たちが巨万の富(10兆円)を相場で作って、北海道を独立させてという、近未来小説なんですね。村上さんは、外国為替相場で10兆円を作る方法を知りたがっていたんです。誰も答えなかったのですが、私は「机上の空論でいいのなら、こうすればいいんですよ」と答えたんです。『希望の国のエクソダス』には、「『それは違う』と年老いた外為ディーラーがつぶやいた」とか書いてあるんですよね。「もうちょっとかっこよく書いてくれよ」と思ったところもありました(笑)。それから、ノンフィクションライターの杉山隆男さんも、私のことを何回か書いてくれています。

――杉山さんは、どういったことを書かれていたのでしょうか?


松田哲氏: ディーラーになる前に、私は外回りをやっていたのですが、「退職金を預けてください」と話した消防士さんに、「全額現金で、1回持ってきてくれないか」と言われたことがあるんです。「俺は命懸けでこの仕事をやってきて、それを誇りに思う。自分が命を懸けて稼いだお金を1回現金で見てみたいじゃない?君だったら分かってくれるんじゃないかなと思って」と。それで、実際に1750万円の現金を持って行き、「明日取りに来ますからね」と言って、翌朝もう一度行きました。そうしたら彼は玄関の前で目を真っ赤にして待っていて、「寝られなかったよ、早く持って行け。テレビでやっているみたいに、アイロンをかけたりしたくてやってみたら、馬鹿馬鹿しくなった。自分が命懸けで稼いだ金に対してこんなことするもんじゃない。全然楽しくないよ」と言っていました。1000万円の大束を解いておらず、消防士さんだから「これは危険だ、火事になったらどうしよう」と思ったそうです(笑)。落語みたいな話なんだけど、この話を杉山さんにしたら、『外為ディーラーは眠らない』では、ほとんどその話をしていました。村上さんには、「作家というのは自分の感性で書いているから、松田さんが書いてもらいたいと思っていても書けるわけじゃないんだよ。自分で書くしかないんだよ」と言われました。杉山さんにも同じようなことを言われましたね。

読者が知りたがっている情報を提供したい


――本を通して伝えたいこととは?


松田哲氏: 「本当のこと」です。きれいでも汚くもない、ただ単なる事実を淡々と伝えたいのです。実は最初に書いたのは小説の『青春のモニュメント』という実話です。「こんなことをやっているんだよ」ということを伝えたかったし、その中で自分が思ったこと、経験したこと、そして起きたこと、その結末はどうなったか、という真実を伝えたかったんです。
いかにもありそうな話ではなくて、「実際にどうすれば勝てるんだろう」ということ。勝たなきゃいけないし、負ければ身を滅ぼしていくことになる。だったら相場なんかやらない方がいい。FXという相場にタッチすることは楽しいからドーパミンも出るだろうし、興奮もするだろうし、そこら辺を楽しむのならば、それはパチンコや競馬と一緒です。でも、それで身を立てるとか、商売をやるとか、あるいは輸出だ、輸入だと、重要なことをやっていくのであれば、やっぱり勝たなければいけない。では勝つためにはどうすればいいんだ、何を考えればいいんだ、自分はどうやってきたんだということを伝えたいのです。

――本を作る上で、編集者の方に期待することとは?


松田哲氏: 去年、技術評論社から出す本を書いていたのですが、途中で書くことを断ったのです。「ドル/円が上がってきていて、120円までいく」というような内容で、それは正しかったのですが、同じことの繰り返しに飽きてしまい、自分が嫌になったんです。ブログやネット配信でもそういった内容のことはもう書いているので、それでいいじゃないかと。だから、逆に言うとそこら辺をうまく構成してくれる編集者がいるとありがたいなと思いますね。

――今後の展望をお聞かせください。


松田哲氏: いずれは本を書かなきゃいけないなとは思っているんです。ただ、今まで書いたような、「ここで売ればいい、買えばいい」などというノウハウ的なものはもう一通りやったかなと思うのです。新しい読者がいるわけだから、それを改めて焼き直すことも仕事だと思いますが、真実を伝えるために、今は充電しなきゃいけないのかなと思っています。
読者の皆さんが私に求めていることは、結果的には「相場」。例えば夏目漱石だとか森鴎外、あるいは内田康夫さんのような推理小説を求めているわけではないと思うんです。読者が興味を持っていること、知りたいと思うことを伝えていかなければ、誰も拾ってくれないんだということがよく分かりました。だからこれからも、そういう情報を探して、伝えたいなと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 松田哲

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