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世界中の本好きのために

浜田和幸

Profile

1953年生まれ、鳥取県出身。東京外国語大学中国科卒業。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、2010年参院選にて鳥取県から立候補し当選。総務大臣政務官、外務大臣政務官兼東日本大震災復興対策推進会議メンバー、国民新党幹事長(兼代表代行)を経て、現在無所属。専門は「技術と社会の未来予測」「国家と個人の安全保障」「長寿企業の戦略経営」。未来研究の第一人者として、政府機関、経済団体、地方公共団体等の長期ビジョン作りにも、積極的に協力している。 ベストセラーとなった『ヘッジファンド』(文春新書)をはじめ、『快人エジソン』(日本経済新聞社)、『たかられる大国・日本』(祥伝社)など、著書多数。

Book Information

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重要なのは、自分で考えたことをコミュニケーションで確認していくこと


――雑誌『PLAYBOY』は、浜田さんの人生の中の大きな節目にあったんですね。その後、どんな本を読んでこられましたか?


浜田和幸氏: ピーター・ドラッカーの『すでに起こった未来 変化を読む眼』は印象的でした。まずネーミング。これからの未来がどうなるのかということは、みんな関心があるでしょうが、この本では「未来というのはもうすでに起こっているんですよ」と書かれているんです。
この間、安倍総理がスイスのダボスに行きましたよね。ちょうど今年は第一次世界大戦100周年で、「日中で今向き合わないと、下手すると大きな戦争になりかねませんよ」というような発言に尾ひれが付いて、問題になりました。この本には「1914年当時の旧ソビエトとドイツとの交渉に関する文書を見ると、お互いが何を考え、何を求めているのかという情報は山のようにあったことが分かる。そういった情報はあったのに、コミュニケーションが成り立っていなかったのがこの戦争の原因だ」ということが書いてあるのです。相手が何を求めているのかということを理解する情報はあるのに、それをきちんと受け止めて「相手を理解しよう」という努力がお互いに欠けていたと彼は分析しています。

――現在の日中関係も同じなのでしょうか?


浜田和幸氏: ソビエトはソビエトの中で、ドイツはドイツの中で、おのおのの国家指導者が国民との間でのコミュニケーションすらしっかり取っていなかったということを考えると、確かに今の日中関係はかなり厳しいと言えます。「中国との対話のドアを常に開けている」と安倍総理はおっしゃいますが、それがきちんと相手に伝わっていなければいけないと思います。日本側も中国側も「自分たちの立場の方が歴史的に正しいものだ」と言って、文書あるいは記録を出してきても、相手が「そうじゃない」と言ってしまうと、過去の歴史から学んでいないということにもなります。情報は有り余るほどありますが、まずは国内で、もちろん海外でも、お互いにコミュニケーションを図っていくことがとても重要だと思います。

――膨大な情報をどのように扱えばよいのでしょうか?


浜田和幸氏: 私は以前から「ナイアガラの滝のごとく情報は降り注いでいる」と思っています。でも、過去に起こったことを確認するための情報と、これから未来に起こることを予測する、備えるための情報というのは、分けて考えないとだめだと思います。ドラッカーの『すでに起こった未来』を読み直してみて、政治の役割とか政治家がコミュニケーションを取ることの重要性に関して、改めて考えさせられました。単なるデータが知識や情報になったりするわけだから、その部分に対して、どうやって自分なりの理解を深めていくのかということが大事。相手がどう反応するかということを含めて、自分なりの情報のレーダーの感度を常に研ぎ澄ませて、自分のコミュニケーション能力を高めていかないと独りよがりで終わってしまう。そうすると、せっかく良い運が近寄ってきているかもしれないのに、それを見過ごしてしまうことになるかもしれない、と思うのです。コミュニケーションということを考える時は、ピーター・ドラッカーが大いに参考になります。

――そういった考え方が、政治活動においての答弁やご質問に反映されているのですね。


浜田和幸氏: 自分の頭で考えること。そして自分で考えたことを多様な人々とコミュニケーション、対話を通じて確認していくということがとても大事だと思います。



限られた時間の中で、納得できる道を生きる


――浜田さんにとって、本とはどのようなものですか?


浜田和幸氏: 本というのは命の泉というか、書いた人、つくった人たちの深い思いが詰まっています。ですからそこからどういうものを引き出すかというのが、ある意味、読者の責任だと思うのです。人間が生きていくためには栄養素が必要です。人間は考える生き物ですが、その考えるヒントを全て自分の中から見つけるというのは不可能。だから、本と向き合って考えるヒントをもらうのが一番確実な方法だと思います。著者は自分の全精力を投入して毎回毎回苦しみ、もがきながら書いていくわけですから、読者にそれを汲み取ってもらえるといいなと思います。読み手の側も真剣勝負で著者と向き合っていただきたい。そういう意味では本に出会うというのは、自分の人生と向き合うということでもあるのだと思います。

――浜田さんの原動力というのはどこから湧き起こるのですか?


浜田和幸氏: 生まれて良かったなということですね。スティーブ・ジョブズじゃないけれど、人生は限られている。1日24時間、それをどれだけ自分で満足できる形で生かすことができるか。だから、やるんだったらとことん自分が納得できる道を目指そうと思っています。「学ぼう」とか「知らないことをもっと知りたい」、「広い世界を自分で見てみたい」という思いが非常に強いです。

――浜田さんの役割、使命は何だと思われていますか?


浜田和幸氏: 日本人として生まれた運命を背負っているわけですから、自分の生まれ育ったこの日本という国が、世界から信頼され尊敬されるように努力することです。日本には素晴らしい歴史もあるし、人の和、そして自然と共に生きるという素晴らしい価値観がありますよね。世界を唸らせる技術もあるし、まじめな国民性もありますから、そういう日本独自の発想というか美意識のようなものが世界の標準になってくれたら、もっともっと平和で安定した調和の取れた世界になると思います。そういう流れをつくっていくのが、自分に与えられた使命だと思っています。

――世界を見続けてきて、今思うこと、考えられていることはありますか?


浜田和幸氏: 2014年というのはかつてない大きな変化が日本だけではなく、世界で起きると思います。今も激変を続けている環境問題、エネルギー問題、食糧問題など、多種多様な問題が重なって複雑に絡み合い、「起こってほしくない」と思うようなことも起こる可能性があります。だから原発の事故、あるいは大災害などから目をそらしていれば、それでなんとなく済んでしまうというような逃げの姿勢ではだめでしょう。辛いことや嫌なことから目をそらさず、問題にしっかり向きあって考えることで、新しい解決策が見いだせると信じています。

――どのように解決していけばいいとお考えですか?


浜田和幸氏: 日本がこれから世界と向き合う時に、アベノミクスも素晴らしいとは思うのですが、もっとオールジャパンで応援していくという形にならないといけないと思っています。世界が直面している人口爆発、エネルギー危機、食糧争奪戦などの困難な問題についても、日本の独りよがりではなく、みんなで力を合わせて知恵を出し合い、新しい未来を共に創造していくという形になれば、意外な打開策が生まれるはず。私は政治家という立場から、今後も信念をもって、そうした未来社会の実現に向けて取り組みを続けていきたいと考えています。

(聞き手:沖中幸太郎)

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この著者のタグ: 『英語』 『海外』 『歴史』 『雑誌』 『政治家』

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