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世界中の本好きのために

沖野修也

Profile

1967年京都府生まれ。実弟・沖野好洋との兄弟DJユニット「KYOTO JAZZ MASSIVE」をはじめ、10年以上に渡り日本のクロスオーバー/ジャズ・シーンを支え、海外進出も成功させて来た。2枚目となるソロ・アルバム『DESTINY』では、iTunesダンス・チャート1位、総合チャート3位を獲得。 現在、InterFM『JAZZain’t Jazz』にて番組ナビゲーターを担当中。有線放送内D-47チャンネルにて"沖野修也 presentsMusic in The Room"を監修している。WebマガジンOPENERS、SANKEI EXPRESSにて連載執筆中。
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Book Information

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フィルターを通すことによってグレードが上がる


――ビジネス書を出すようなきっかけは、どのようなことだったのでしょうか?


沖野修也氏:フィルター思考で解を導く』という本が出るきっかけになったのが、『DJ選曲術』なんです。DJって、適当にやっているように思われているし、プロの人も感覚でやっている部分もあると思います。でも芸術や美術、あるいは音楽に評論家がいるように、選曲の善し悪しをジャッジする選曲評論があっても良いんじゃないか、というかジャッジしなきゃいけないと思うんです。色々な機材も手に入れやすい価格になってきていて、DJによる選曲の善し悪しを決める物差しのようなものがないと、大変なことになる。芸能人がDJをやったら盛り上がる、有名なやつがやったら客が入る、といったような流れにはちょっと釘を刺さないといけないなという風に僕は思ったんです。そのためには誰かが「選曲とは何か」というものを言語化しないといけなかったのです。



――それを発見した編集者の役割というのもすごく大きかったんじゃないかなという気がします。


沖野修也氏: そうですね。『DJ選曲術』も、リットーミュージックの編集者の提案だったんです。電子書籍の時代になって、出版社も編集者も介さずに本を書きたい人がアップロードできるのはメリットだと思います。 でも、編集者が発掘する新しい才能とか、編集者が著者のクオリティを上げるといった部分がなくなるとしたら、ちょっとそれは残念だなと思います。今までの「本を出した」ということのステータスがなんだったかと言うと、出版社や編集者が本として出す価値があると判断して世に出たということ。誰でもアップロードできるとなると、プロと素人のボーダーがなくなるんです。僕のようにアーティストであり、プロデューサーであり、ジャッジを1人でできる人もいると思いますので、全てを否定する訳ではありませんが、やっぱり編集者、出版社というもののフィルターを通すことによって、グレードが上がることもあると思います。そこのメリットは、電子書籍においても失ってはいけない。今実際に電子書籍の話があるのですが、ちゃんと編集者もいます。僕は客観的な視点を持つ編集者の意見をもらうことで、自分の作品の質を上げたいと思っています。

――編集者に必要なものとは、どのようなことだと思われますか?


沖野修也氏: 出版社としては「これは売れないだろう」と思っても、実は売れるものというものもあると思います。レコード会社が「沖野さんのアルバムはニーズがない」と判断した作品でも、iTunesにアップロードしたら1位レディーガガ、2位槇原敬之、3位沖野修也といった順位になったこともあったんです。 だからそれをジャッジできる能力が、ディレクターや書籍の編集者にあるかというのが問われると思う。それからさらに、企画を立てられることが重要ですね。あと、電子書籍化しても成立する作家を見つけて、その後も育てられるという能力。もちろん宣伝もしなきゃいけないし、そのマーケットを作ることも必要です。例えば僕は今、窓格子にはまっていてインスタグラムで美しい窓格子の写真をアップしているのですが、建築業界の人からもご評価いただいていて、ファンもいたりするんです。だから窓格子の写真集を作ろうかなと思っているんですよ。Windowとタイトルについている曲はいっぱいあるので、CDもつけるとか。もし「タモリ倶楽部」などに出てブレイクしたら、皆が窓格子に関心を持つようになると思うんです(笑)。でもまずは窓格子の美しさに編集者が気づけるかどうか。そして窓格子の写真集を売るためにすべきことを考えられるかということ。そういったマーケッターでありプロデューサーといった感覚が、これからの編集者、出版社側に求められると僕は思っています。

ノーベル平和賞を目指す?


――沖野さんのミッションとは?


沖野修也氏: 僕はものの価値を変えるというか、人間が持っている偏見や先入観を取り除くのがDJの仕事だと思うんです。ジャズで踊るということは今でこそ普通ですが、25年前には「無理だ」と言われていました。でも、実際にジャズで躍る姿を目にすれば、意識が変わるんです。偏見とか先入観から解放される。だから、そういう意味でも、僕は色々な国の様々なジャンルの音楽をかけています。テクノしか聴かなかった人がボサノバを聴いたり、ヒップホップしか聴かなかった人がロックを聴いたり、ハウスしか聴かなかった人がアフリカン音楽を聴いたり。僕の壮大な野望としては、人種差別とか国家間の対立も音楽で取り除けたらなということを考えています。音楽家が目指すのはグラミー賞などと言われますが、僕はどちらかと言うとノーベル平和賞を目指したいですね(笑)。

――最後に今後の活動の展望、意気込みをお聞かせください。


沖野修也氏: 2月22日The Roomにて、僕のバースデー・イベントも兼ねて『DESTINY replayed by ROOTSOUL』のリリースパーティを開催します。当日は、ROOT SOULがアルバム収録曲を生演奏して、僕がDJをやります。場内禁煙で早い時間から始めるので、普段クラブから足が遠のきがちな方でも、純粋に楽しめるイベントになっていると思います。あと、ちょっと変わったところでは、料理本の監修の話があるんです。僕はレコードと同じサイズの黒いお皿を自宅で使っているので、ワンプレートのレシピ本ということと『ブラック・プレート』というタイトルは決まっています。メニューごとにジャズとかソウルの名曲のタイトル、例えば「A Night In Tunisia」だったらチュニジア料理といったように、音楽と食を結び付けるような本なんです。その他にも、これからの音楽志望者がどうやって好きなことで生きて行くかという本を出すなど、書籍の企画も結構あります。音楽では自分の感性を世の中に普及させていきたいと思っていますが、やっぱり書籍は言葉が重要。雰囲気とか上手く言葉で言い表せないことをきちんと切り取って、1つの概念を提示したいです。感覚と言語の両方を使って自分の世界というものを拡張していきたいなと思っています。
実は僕は花瓶コレクターなので、花瓶のプロデュースという話もあったりします。かつては吉田カバンとコラボでバッグを作ったこともあります。
僕の視界に入る人たちをハッピーにしたいし、僕の個人的な視界に入る世界を自分の色に染めたいなと思っています。
あと、今年は人が先入観や偏見から解放されるように、DJブースに幕を張って、誰がやっているのか分からないというイベントの開催も考えているんですよ(笑)。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 沖野修也

この著者のタグ: 『海外』 『ディレクター』 『音楽』 『教育』 『クリエイティブ』 『動物』 『DJ』 『ジャズ』

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