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世界中の本好きのために

有吉与志恵

Profile

陸上競技のトップアスリートとして活躍した経験を活かし、フィットネスインストラクターとしてアスリート、経営者、タレントなどを含む1万人以上に運動・生活習慣アドバイスを行う。その経験と知識に加え、日本人の文化や生活習慣に合った継続可能な美容・健康維持方法を探究し、有吉与志恵メソッド(コンディショニング=体調改善運動)を開発。 著書に『奇跡の呼吸力:心身がよみがえるトレーニング』(ちくま新書)、『体幹が変わる! コアトレベーシックブック』(GAKKEN SPORTS BOOKS)、『40歳50歳からの若くなる身体』(さくら舎)など。近著に、『ペタ腹呼吸で即やせる!』(ヒットムックダイエットカロリーシリーズ)がある。

Book Information

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コンディショニングで、日本を元気にする



自ら陸上競技のトップアスリートとして活躍した経験を生かし、フィットネスインストラクターとしては30年以上のキャリアをもつ、コンディショニングトレーナーの有吉さん。長年の経験と知識に解剖学や運動生理学、東洋医学の考え方を取り入れた継続可能な健康維持方法を探求し、有吉与志恵メソッド(コンディショニング=体調改善運動)を開発しました。有吉さんのもとには一流アスリートや、経営者、タレントなどを含む多くの方が訪れ、その数はのべ10000人以上。会長を務められているNPO法人日本体調改善運動普及協会(NCA)での活動のほか、企業や地方自治体での研修、講習会の講師や、TV、雑誌などへの出演も多数あり、書籍やメディアからも注目されているコンディショニングの、さらなる普及に力を注がれています。今回は有吉さんに、お仕事、執筆、そして日本に対する想いをお聞きしました。

マニアックな本


――現在取り組んでいるお仕事や執筆活動について、近況をお聞かせ下さい。


有吉与志恵氏: コンディショニングに関しては、昨年の11月に4 店舗目のお店がオープンして、今年の1月に初めてのムック本である『ペタ腹呼吸で即やせる!』が出ました。最初は、いわゆる「堅め」の本から書いていたんです。『脚とじダイエット』の前に『コアトレ』という本を一番最初に出して、有り難いことに、重版がかかったんです。私の本はマニアックな所が特徴なのかもしれません。というのも、エクササイズの方法を載せている本は山のようにありますが、私の本のように「筋肉の図解入り」というものはあまりないんです。そういった本は少なく、マニアの方にはすごく受けがよくて、読者の中には「こんなにしっかり書いてある本はない」と言ってくださる人もいたんです。

――主であるコンディショニングトレーナーとしてのお仕事では、どのようなことをされてらっしゃいますか?


有吉与志恵氏: 店舗でお客様を見ますし、それから学校の講師もしています。指導者を教えるNCA(Nippon Conditioning Association)のコンディショニングの普及活動、あとはアスリートのサポートなどもしています。今、ウイダーという会社のサポートをしているので、高梨沙羅ちゃんと、浅田真央ちゃんという2人のオリンピック選手が、どこまでコンディショニングでやってくれるかなと。あとはドクターと一緒に研究したり、それから、免疫をあげるためのハーブティーの開発をしたりしています。大変なように思われますが、14 冊の本もそうですが、私のやっている活動は、全てコンディショニングという身体を整える手法を広めるということに関係しています。ウエストが細くなりたい女性や腰が痛いおばあちゃん、トップアスリートも、処方は全て同じなのです。

小学校高学年で落合恵子さんの本に出会う


――アスリートである有吉さんが、どのようにして今の執筆活動の道に至ったのか、その歩みをお聞かせ下さい。


有吉与志恵氏: 小さい頃から本を読むのは大好きで、日記を書くのも好きでした。でも、もっと小さい頃は体が弱かったので、外であまり遊べない時に伝記ものなどの本をよく読んでいました。今みたいにインターネットがあるわけでもなかったので、本が友達でしたね。
マンガよりも、ジェンナーや野口英世などの伝記が好きでした。やっぱりその頃から身体のことが面白かったんでしょうね。あと学研の『科学と学習』の大ファンでした。

――どのようなお子さんだったのでしょうか?


有吉与志恵氏: ませていたと思います。小学校高学年で、私は、落合恵子さんの大ファンになったんです。落合恵子さんは女性問題に取り組んでいて、一番初めに読んだのは『そっとさよなら』という作品だったと思います。サガンの第二の性などが出てくるような本を、中学校ぐらいから読み漁っているような子でした。そこからの私の読書歴は作家重視型なんです。落合恵子さんの本は全部読みました。中学校の頃は陸上競技をやるなど、活発になっていったんですが、ずっと本は身近にありました。活字中毒といった感じで、ずっと本を読んでいて、次に凝ったのは五木寛之さん。その後10代の後半から20代までで凝っていたのが森瑤子さん。お葬式にも行きました。森さんは36歳の時に、主婦でありながら、すばる文学賞をとった方なんですよね。そういった作家の方々に対する憧れが、昔から私にはあったように思います。

本に対する信頼感


――実際にお会いして、本当にパワーを感じますが、どこからそういうバイタリティーがわいてくるのでしょうか?


有吉与志恵氏: 人を元気にするのが仕事ですから(笑)。でも自分のバイタリティーに関しては、あまり考えたことがないですね。ただ、小さい頃は体が弱かったけれど、頑張って運動したら皆が注目してくれた、という経験は自分の中では大きかったのかもしれません。でも、競技をして勝つという喜びがあるとしても、スポーツというのは、プレッシャーなどから結構ストレスがたまるじゃないですか。だから私の中では、読書は“1人になれる”という意味でも好きで、また読書とスポーツは表裏一体という感じなのかもしれません。だから今でも移動中なども含めて1週間に1、2冊は読みます。でも最近は、移動中はFacebookを眺めていることも多いので、昔と比べると本を読む量は若干減っているかもしれません。

――情報を仕入れる元として、本以外ではどのようなものがありますか?


有吉与志恵氏: 今でも情報を仕入れるのは本ですね。ただ、Facebookは色々な意見をもらえますし、色んな方々とのお付き合いといった感じなんですが、気が付くと、意外に時間を取られているんです。今でも調べたりする時はネットではなく、絶対的に信頼のおける本から情報を得ています。

―― 本という媒体に、情報源としても娯楽としても信頼を置かれているわけですが、普段から書店には行かれますか?


有吉与志恵氏: そうですね。長津田という駅で乗り換えることがあるのですが、あそこには大きな本屋があるんです。だから予定の時間より少し早めに行って、今流行っている本などを大人買いしたりすることもあります。最近、夢中になっているのは東野圭吾さんの本なのですが、出ている作品は全て読んでいます。最近は『疾風ロンド』の文庫書き下ろしを読みました。

――Amazonなどのようにネット上で電子書籍や本などを買う人が増えてきていますが、書店に出向くということの意義はなんでしょうか?


有吉与志恵氏: 私が行くのはブックファースト、紀伊国屋さん、あとは用賀の下辺りにも、いくつか本屋さんがあるので、よく行くんですが、例えばブックファーストだと順位が発表されていたりするので、「世の中は今、どんな事に興味があるんだろう」とか、本屋に行くとその傾向が分かるんです。書店は、そういった情報を得られる場としての機能も持っていると思います。

『HEAPS』を活用中


――電子書籍などをお使いになったりしますか?


有吉与志恵氏: 使っています。iPad miniで見られる『HEAPS』(ヒープス)をプロデュースしている人がうちの会社のサポートもしてくださっているんです。『HEAPS』が出たのは昨年なのですが、このiPadをくださったんです。専ら電子書籍用となっていますが、すごく便利なので、結構使っています。でも私の手はなぜだか上手く反応しないので、タッチペンをうちのスタッフが買ってくれました(笑)。私は、堂場瞬一さんの本、池井戸潤さんの『下町ロケット』だけは本で持っていますが、それ以降の『ロスジェネの逆襲』などは、全部この中に入っています。結構読みやすいですよね。私は同じ料金で買えるんだったら、例えば電子書籍屋さんが作家に対して、印税をきちんと10%なら10%払ってあげればいいと私は思います。きちんと著者にも還元されていればいいんじゃないでしょうか。著者に還元されないから怒っている人もいるのではないかという気がします。やっぱり著者を大切にしてあげるべきだというのはすごく思います。でも読み手としては、やっぱり小説などの文芸ものは、結構ボリュームがあったりするので、iPadなどで持ち歩けるのは、便利ですよね。


正しいトレーニングを伝えたい


―― 最初の本を出版するきっかけとは、どういったものだったのでしょうか?


有吉与志恵氏: もともとはフィットネスの雑誌に書かせていただいたり、ベースボールマガジン社の知り合いの方と一緒に、新聞のようなものでインストラクターに向けての情報を発信していたんです。また、社内でも運動指導に役立つ豆知識などを掲載した情報紙をボランティアで送っていました。「クラブ・トゥー・ハース」というもので、あの時期は1000人ぐらいに送っていたと思います。もともと書くことは好きだったんです。本の執筆のきっかけとなったのは、国体強化などでトレーニングを教えていく中で、体育の教師の方法に疑問を持ったことだったと思います。それで、「正しいコアのトレーニングを伝えよう」と思って、ベースボールマガジン社の知り合いに「こういう本を書きたいんだけど」と言ったら「今、旬じゃないですか」という話になったんです。書きたいことはたくさんあったから、すぐに書いて渡しました。それが出版のきっかけです。直ぐに重版がかかったんですが、ジャンル的にも重版は珍しかったのではないかと思います。

――本を作る際、大変だったことはありますか?


有吉与志恵氏: タイトルをつける時には、著者にはあまり権限がないということを『40歳からの肉体改造』の時に感じました。あの本の時には、編集さんにも権限がなく、タイトルに権限があるのは営業さんでした。私は「なぜ肉体改造が嫌か」ということを綿々と書いて提出したんです。そうしたら営業会議でも決められなくて、ゲラを取締役会まで持っていくことになってしまいました。そこで私の思いは分かってもらえたのか「頑張らないトレーニング」というサブタイトルを後ろにつけてくれたんです。

――タイトルは色々と重要だと思いますが、肉体改造というのは少し違うと感じられていたのですね。


有吉与志恵氏: ところがあの本は売れたんです。逆に私がタイトルをつけた本は爆発的には売れないんです(笑)。『最後の骨盤』の講談社さんはタイトルにはあまり注文を付けないなど、タイトルに関しては出版社によって考え方が違うのかもしれませんね。

大事なのは、自分の思い


――タイトルはどのようにして考えるのですか?


有吉与志恵氏: タイトルをつけるときに大事なのは、自分の「思い」なんです。『最後の骨盤』に関しては、当時は骨盤をしめるなど、そういうのが流行っていた時期だったんですが「やっぱり間違った情報は知らせるべきではない」という思いが私にはあったんです。あと、『めざめよ男力!』は、本当は「素敵なおじさまと言わせる十カ条」というようなタイトルにしたかったんです。でも書いていくうちに武士道精神などを調べ始めてしまって、「武士道精神とコンディショニングはなんか似ているな」と思うようになりました。そうすると、“素敵なおじさま”じゃないな、ということで『めざめよ男力!』になったんです。でも、男の人がレジにあの本を持っていくのが恥ずかしいのか(笑)、書店よりもAmazonの方が売れているそうです。

――1冊1冊、どういう思いで執筆されていますか?


有吉与志恵氏: 読み手を想像して、何を届けてあげると良いのかを考えます。そういう意味では私は、すごく編集者さんに恵まれているんです。私を担当してくださる方は、「流行りそうだから」などという考えではなく、コンディショニングをよく理解して、「これをもっと多くの人に届けたい」と考えてくださっている方ばかりなのです。それはすごく有り難いですね。一番売れた『コアトレ スタートブック』も、『40歳からの肉体改造』を読んで、「これを分かりやすくしよう」と言って学研の担当の方が作ってくれたんです。

――理想の編集者とはどういった方でしょうか?


有吉与志恵氏: 読者を代弁してくれて、「先生、こういう人に知らせたいんだったらこれじゃ難しいよ」などということを言ってくれると有り難いです。実は、赤を入れられるのがあまり好きじゃないので、「ちゃんと訳を聞かせてね」という感じだったのですが、『脚とじダイエット』の時は、20代の編集者から「120字以内で」というような過酷な要求もありました。でも「若い女性に読ませたいんだったら、若い女性用に作りましょう。女子は長いと読まないんです」というんです。それで頑張ってフレーズを短くして書きました。そういった意味では『脚とじダイエット』は大変勉強になりました。でも彼女が熱心だったのは、『最後の骨盤』を読んだことが彼女にとってはそれだけ衝撃だったからのようで、自分の体調も良くなったと言ってくれました。「本当に良かったから広めたい」という情熱を感じました。そういう情熱をもって導いてくれる方がいてくれて、私は助かっています。

――本を書く際、気をつけていることはありますか?


有吉与志恵氏: 私はとにかく調べます。例えば1つの筋肉を調べる時に、9冊ぐらいの解剖学の本を全部読むんです。本を読みながら自分の考え方を纏めていきます。書く前に、まず章立てを考えて、次に台割を考えるんですが、その時はホテルなどにこもります。この本に対してどうやって進行していこうか、というのが決まれば、あとはいつでも書けるので、台割はきちんと考えます。だから台割を作るまでが大変です。

「身体を整える」という考え方を広めたい


――有吉さんの使命とは?


有吉与志恵氏: やっぱりスポーツの世界においては、きちんと後進を育てていかなきゃいけないと思うんです。私の場合は50になった時に「責任を取らなきゃいけない立場になるんだろうな」と思って、すごくブルーになりました。自分自身はあまり変わっていない気がするのに、50という年代になった時には、見られ方が変わるじゃないですか。だから「自分の発言には責任を持たなきゃいけないな」と改めて思ったんです。コンディショニングにおいては、選手たちが結果を出してくれるということも一つの理由としてありますが、ドクターの入会率がすごく高いのは、著書からの影響なんです。本を読んだドクターが「ここだったら自分の体を預けられる」と言ってくださるんです。そういったように、コンディショニングというものを、もっときちんと世の中に知らせることが使命だと思っています。

――正しい情報を知らせるということが大事なのですね。


有吉与志恵氏: そうなんです。医療費を下げられるかもしれないし、日本人のポテンシャルを上げられるかもしれない。そういった色々な可能性があるのだけれど、それを知らしめるためには執筆活動というのは何万という人が読んでくれるわけだから、1つの大きな柱ですよね。どの活動においても、正しくきちんと伝えることが大事。健康だけではなく、若さ、あるいは、スポーツスキルみたいなものも、全て「人間って何?」という部分だと思うんです。例えば肩が痛かったら、すごくテンションが下がるとか、腰が痛いと憂鬱だとか。それも人間じゃないですか。明日が試合だといって緊張するのも人間。でもそれは身体を整えると、全て解消されるんです。心を整えるよりも身体を整えた方が、心は自然と整っていくので、だからこそ「身体を整える」という考え方を広めたいんです。私は病院にも月に1回勤務して、患者さんをコンディショニングさせていただいているんです。そうすると、「奇跡だ」とか「ゴッドハンドだ」とか言われるんです。でも私は、「違います。科学、機能解剖学です。誰でも仕組みさえ知れば、実はできることなんです。」ということをお話しします。

――考え方を広めるために、これからしていこうと思っていることはありますか?


有吉与志恵氏: 後継者をたくさん育てないといけないと思っています。先日も東京女子体育大学でミーティングをしたのですが、4 年生で、今回ユニバーシアード大会で3位になった1人の女の子が、卒論にコンディショニングを選んだんです。その論文を見てみると、私が本の中で書いている言葉を引用して、皆さんに分かるような内容となっていて、自分の体がどう変化したかをずっと追いかけていったものでした。それを見て、確かにコンディショニングをやっている前後に写真を撮るのはいいなと思いました。軸がどんどんでき上がっていくさまが見られるので、いい資料ができあがってきていました。

若い世代を元気にしたい


――今後の展望をお聞かせ下さい。


有吉与志恵氏: 昨年はドクターとコンディショニングを研究できたというのが一番の収穫だったと思っています。文献などを読んで仮説として言っていたことが、エコーなどで実証ができたので、すごく自信がついた面もあるんです。ドクターと研究することによって、目で見える形にすることができました。「やっぱりやっていたことは間違いじゃなかった」という思いもありまして、今年は幾つか書きたいなと思っている本があるんです。それから、レントゲンやエコーなどを使って「こういうことなんだよ」と説明できる内容にしたいので、医療の現場とのタイアップみたいなことも、少し考えています。
日本人全体のポテンシャルが上がっていくと、国自体がいい方向に向かっていくと思います。ちょっとしたことに気付くこと。そのために、機会があれば生活というテーマのエッセイを書いてみたいと思っています。ちょっと生活を見直すだけでみんな元気になるはずなんです。今の日本には不調を抱えている若い子が多いから、今の20代を元気にしていって、明るい日本を作る手伝いをしていきたいと思います。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 有吉与志恵

この著者のタグ: 『スポーツ』 『教育』 『エネルギー』 『医者』 『コンディショニング』 『トレーニング』 『ダイエット』

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