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世界中の本好きのために

平野友朗

Profile

1974年、北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学専攻。広告代理店勤務を経て、日本で唯一のメルマガ専門コンサルタントとして独立。ビジネスメール教育の専門家。クライアントは、日本全国の企業、士業コンサルタント、官公庁から 学校や団体まで幅広く、その数はのべ5,000を超える。ビジネスメールスキルの標準化を目指し、日本初のビジネスメール教育事業を立ち上げる。公開セミナーや集合研修、通信教材やeラーニグを通じて、ビジネスメール教育を提供。2013年に、一般社団法人日本ビジネスメール協会を設立。認定講師を養成し、ビジネスメールの教育者を日本全国に輩出。主な著書に『「始めてみたけど効果がない」と思っている人の「やり直し」のメルマガ営業術』(ダイヤモンド社)、『これですっきり!ビジネスメールのトラブル解消』(日本経済新聞出版社)などがある。

Book Information

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専門の編集者が必要


――電子書籍を読まれたりしますか?


平野友朗氏: アプリとして出ているものを読むことはありますが、編集が入っていないケースが多いので、残念だなと思うものもありますね。やっぱり一番いい流れは、間に入る会社があって、電子書籍化することだと思います。

――今のお仕事と、電子書籍との親和性に関してはどのようにお考えでしょうか?


平野友朗氏: 親和性は高いと思います。ただ、それをしっかりやろうと思ったら、時間もコストもすごくかかるでしょうから、腰が重いのです。だからこそ、専門の編集者が必要になるのではないかと思います。

――現在の状況下における、電子書籍の問題とはどういったことだと思われますか?


平野友朗氏: 今、電子書籍の最大のネックになっているのは、コンテンツの質が落ちたことではないでしょうか。でも、買う人の意識も低くなった気がします。便利な世の中にはなっていくけれど、読者の意識改革も必要だと思います。もっとみんながコンテンツの価値を意識しなければなりません。電子書籍化によってコンテンツが誰でも出しやすくなって、垣根は低くなっていますが、電子媒体にこそ編集者が必要です。これだけ情報があふれているので、結局は編集者の編集力、あとはその著者が持っている独自の考え方がどのぐらい珍しいかが重要になってくるのではないでしょうか。本は手がかかっているから、いい物が出ていると思います。でも、電子書籍に関しては、100円のゲームと比べた時に、文字を入力しただけのもの、というのではあまり価値を感じない。ちょっと誤字があったり内容が良くなかったりしても「100円だからいいじゃないか」と私は思ったりもしますが、そこに批判的な人もいます。低価格な電子書籍というのは、市場としてはどうなのかなと思うこともあります。

――そういった変化の中で、書き手としてはどのような変化を感じていらっしゃいますか?


平野友朗氏: 昔は職人のような編集者が多かったのが、今はそうじゃない気がしています。やり取りも、メールや電話が中心で、会わないこともあります。本を出しづらくなったという話もよく聞きます。初版部数が少なくなっていて目に留まらないし、スピードが速いからコンテンツはすぐ廃れてしまうので、著者としても今は本当に難しいです。

電子書籍だから安いという概念を覆す


――電子書籍の可能性はどういったところにあると思いますか?


平野友朗氏: 価格を維持できれば可能性はあると思います。常に90%オフキャンペーンをしているといった状況では、いいコンテンツを出せる人が減り、古いコンテンツを出すか、あるいは書けない人が書くか、という方向に向かってしまう。要らない本が増えていくのは良くないと思います。残るべき本だけが出て、長い間読まれる。ビジネス書でも、そういう本が出てこないといけない。だから、価格を上げてでもしっかりしたコンテンツを出したほうが良いのではないかと思います。読者は選択肢が多すぎて選べていないのに、書き手はどんどん消費されてしまう。それよりは、コンテンツを出す量を絞るとか、紙の本も価格も今は1,500円が主流ですが、10,000円ぐらいの本を作ってもいいと思います。

――本だけではなくて、電子書籍だから安いという概念も変えないといけませんね。


平野友朗氏: 電子書籍も1,000円ぐらいの価格をつけていくべきではないでしょうか。そのためには読者、書き手、編集者、出版社の意識変革が必要だと思います。以前、気になるものは100円ぐらいならば全部買って、暇があったら読もうと思っていたんですが、結局読まなかったんです。iPhoneで読もうと思っても、ニュースやメールなど他にもいろいろなものがありすぎて、電子書籍を読もうという気持ちにはなりませんでした。でも、紙だったら手元にあり、これしかないから読むわけです。私は、Kindleを持っていないのですが、手元の本に特化した専用のツールは、持っていると良さそうだなとは思いました。

――もっと本に特化したものがいいのではないかと。


平野友朗氏: そうですね。あとは電子ならではの広がりとか、知らない言葉を検索するといった流れはいいですね。映像が動いたり、例えば宇宙などは見せやすいと思いますが、その他では図版が活きるものがあまりないんです。今は紙の本をそのままという感じですが、音声が出たりといった全てをソフトとして新たに開発できると、もっといいかなとは思います。紙の本はこれからも必要だと思うので、電子書籍がもう少し、電子書籍ならではの部分、例えば自分が好きなところだけをまとめられたり、読む人によってコンテンツが変わったりといった部分を活かして伸びてくるのではないでしょうか。電子のいいところは、組み替えがやりやすいところです。例えば、メルマガを初めてやる人には初心者向けのコンテンツを見せて、上級者には上級者向けのコンテンツを見せるなど、見せ方を組み替えられたらといいと思います。

――読む人によってコンテンツが変わる、ということですね。


平野友朗氏: 本を書く時は「この説明だと、初心者にはちょっと難しいかな」などと、常に読む人のレベル感を考えています。そうすると、どこかで初級と中級が混ざってしまい、どうしても読者としては片方の情報はいらない、ということになってしまうんです。だから、購入した人の興味や関心、レベルによって、コンテンツをうまく変えられるといいですね。
今、多くの方が「情報の多さ」に悩んでいます。私がやっているコンサルティングの仕事もそうですが、情報をまとめられる人が、相手に合うようにアレンジして情報を伝えることが求められています。でも、もし頭とインターネットを直結するような形に向かっていくとしたら、何も考えられない人が量産されてしまうような気がします。読書も能動的であることが重要で、自分で咀嚼してアレンジしていかなくてはいけないと思います。

講師を育て、より多くの人に伝えたい


――今後の展望をお聞かせください。


平野友朗氏: コンテンツ提供はいろいろな人の役に立つので、この分野は伸ばしたいと思っています。ただ、会社で考えていくと、「ビジネス実践塾」というコンテンツは平野ブランドでしかないので、一般社団法人日本ビジネスメール協会をきちんと作りあげていきたいですね。メールについて教えることのできる講師をたくさん育成して、ビジネスメール教育を届けていきたいです。メールのコミュニケーションは、ある意味で暗黙の了解なところがあって、それがトラブルを引き起こしています。誰かがルールとして「これが一番いいんだよ」ということを伝えていくと、トラブルはもう少しなくなると思います。私だけで教えられる人数には限りがあるので、時間をかけてゆっくり講師を育てていきたいです。

――メールがビジネスにおいても重要になってきたので、そのルールを多くの方に知ってもらうことも大切ですね。


平野友朗氏: 私が社会に出た頃と比べたら、すごく効率が良くなっているはずですが、会社の売り上げはそれほど上がっておらず、労働時間に関しては、むしろ増えていたりもします。内訳を見ると、メールにかけている時間がぐーんと増えているので、そこに圧縮できる素地があります。パソコンに向かっていたら誰でも仕事をしているように見えますが、私が変えていきたいのは、パソコンに向かってしていることの「中身」です。一日のうちでメールに割いている2時間を1時間に、あるいは1人につき15分減らせたら、何億円といった経済効果があるかもしれない。そうすれば日本の経済が変わるのではないでしょうか。そこを私は目指したいです。
昔は、営業マンもテレアポをしていたり、書類を作っていたりと、何をしているかが割と可視化しやすかったのですが、今やネットが普及し、仕事はパソコンに向かってすることが増えました。コミュニケーション手段はメールやスカイプと、いろいろ登場し、ツールが使えないと生き残っていけないという状況になりました。ただし、ツールを使うことは、仕事の目的ではなく手段です。使いこなしてこその道具なのです。だから、メールを1通書くのに1時間かけているという話を聞くと「もったいない」と私は思ってしまいます。もっと効率よくメールを使う方法があります。それが身に付けば、メールの処理以外のことにも時間を費やせますし、もっと早く帰れるし、遊べるはずです(笑)。これからは、メールを効率よく使ってコミュニケーションを円滑にするための教育にも、本腰を入れたいと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

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この著者のタグ: 『コンサルタント』 『コンサルティング』 『心理学』 『働き方』 『ビジネス』 『メルマガ』

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