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世界中の本好きのために

小川孔輔

Profile

1951年、秋田県生まれ。1974年東京大学経済学部卒業、1976年同大学院経済学研究科修士課程修了。カリフォルニア大学バークレー校留学を経て、1986年より法政大学経営学部教授。現在、法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科教授(マーケティング、マーケティング・リサーチ担当)。日本フローラルマーケティング協会会長、MPSジャパン創業者・取締役。著書に『誰にも聞けなかった値段の秘密』(日本経済新聞社)、『ブランド戦略の実際』(日経文庫)、『当世ブランド物語』『花を売る技術』(共に誠文堂新光社)、『マーケティング情報革命』(有斐閣)、『しまむらとヤオコー』(小学館)などがある。

Book Information

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経営者の話を「料理する」技術


――執筆をされるようになったのはいつ頃からでしょうか?


小川孔輔氏: 子どもの頃からものを書きたいというのはあったのですが、有名でもなんでもない人が書いたものは誰も読んでくれませんし、小説を書く才能があるというわけでもないので、人と違う専門がないといけない。それで学者をめざしたわけです。30ぐらいを過ぎてから、本を読むというより、自分で取材をして書くようになりました。30までの本読みは学習過程で、それ以降の30年間は全然違った生き方です。研究者になって、ビジネスの世界で読んでもらえるものを作るという目標を立てて、32歳で留学から帰ってきて具体化してきました。知名度がないうちは、書いたものをすぐ読んでくれるわけはないので、1冊の本ではなくて、トータルで人に勝つために、とにかくたくさん書くしかありませんでした。

――ご自著では、経営者から直接聞き取られたお話が活かされていますね。


小川孔輔氏: 企業経営者の方とお友達になったのは、面白いというのはあるけれど、いずれものを書くための、いわば料理の素材探しでもありました。
今は、僕がインタビューされていますが、普通はインタビューをする立場にいる人間です。僕は、インタビューの時は録音をしないんです。一般的な意味で記憶力が良いわけではなくて、学生の名前は1年経っても覚えないのですが、インタビューの細かい数字とか、その時に相手がどういう表情だったとか、すごく細かいところを覚えています。興味のあることだけは非常にはっきりしていて、どうでもいいことはすぐ忘れてしまう。物書きとしては非常にプラスの性格というか能力だと思います。

良い編集者と組んだ時、良い本ができる


――企業に関する本だけではなく、マーケティングの網羅的な教科書も手がけられていますね。


小川孔輔氏:マーケティング入門』ですね。2009年に出ているんですが、完成までに10年かかっています。アメリカの代表的なテキストブックは、コトラーのものだと思いますが、800から1000ページです。日本人の研究者とアメリカ人、ヨーロッパ人の一流研究者の大きな違いは2つあって、1つはボリューム、もう1つは体系性です。
アメリカ人が書くような800ページの本は、日本では複数の人が書いた本はありますが、僕は1人で書く事を目標にしました。1人で厚い本を書くためには、時間とパーツを組み立てる作業が必要です。得意分野と不得意分野があるので、全部カバーするのはすごく難しい。自分が不得意な分野は人と共同研究をします。例えば、僕は戦略とかが得意ではないから、東大の新宅(純二郎)君と一緒にやることで、戦略の穴が埋まるわけです。

――連載や個々の研究を1冊の本にされる時も、特別な作業がありますか?


小川孔輔氏: 『ホワイト企業の事例研究』の本が来年あたりに出ると思うのですが、準備にすごく時間がかかっています。準備は料理の仕込みです。生地を練ったり、おいしいお魚を探したりするような仕事をずっとやっています。僕はライターでもあり、エディターでもあり、プロデューサーでもある。でも、仕事の仕方はいつも共通です。目標を定めて、そのために何を準備しなきゃいけないかを考えています。まず組む相手を探して、出版社を探してきてお金も探してこなければならないのです。

――本作りには出版社、編集者も関わってきますが、編集者はどういった存在でしょうか?


小川孔輔氏: 我々の調教師です。技術の劣る編集者と、できる編集者の違いははっきりしていて、それは、我々と一緒に働いてくれるかどうかです。ただ本を出すという仕事だけやっている人は、あんまり良い仕事をしない。良い本は、良い編集者と組んだ後にできています。直木賞や芥川賞をもらう先生たちも、陰に、良い編集者がいるのだと思います。僕が恩義を感じている人は、一番初めに出した本でもある『 POSとマーケティング戦略』の編集者(伊藤真介さん)で、本当に鍛えられました。何回も書き直しさせられて、連載第1回の時は、7回も書き直したんです。『しまむらとヤオコー』は連載の時と単行本の時、2人の編集者(千田直哉さんと園田健也さん)がいなかったらできなかったと思います。

著書一覧『 小川孔輔

この著者のタグ: 『大学教授』 『経営』 『マーケティング』 『研究』 『モチベーション』

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