BOOKSCAN(ブックスキャン) 本・蔵書電子書籍化サービス - 大和印刷

世界中の本好きのために

内山力

Profile

1955年、東京都生まれ。東京工業大学理工学部情報科学科にてトポロジー(位相数学)専攻。卒業後、日本ビジネスコンサルタントへ入社、退社後はビジネスコンサルタントとして独立。㈱MCシステム研究所代表取締役、元産業能率大学大学院MBAコース非常勤講師、中小企業診断士。著書に『今すぐ仕事に使える「数学」』(PHPビジネス新書)、『課長になれない人の特徴』(PHP新書)、『マネジメント3.0』(同友館)、『マーケティングイノベーション』(産業能率大学出版部)など多数。近刊に『確率を知らずに計画を立てるな』(PHP新書)がある。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビジネスに息づく「数学」に注目


――執筆をされるようになったのは、どういったきっかけでしたか?


内山力氏: 産業能率大学を含め、通信教育でテキストを書くことになったのが最初です。それまでは本を書いたことがなかったので、その時に初めてどうやって書くかということを考えました。テキストですから、つじつまが合っていないといけないので、構造化して書くということを念頭において書きました。あと、中小企業診断士の実習で、その資格を持っている僕が先生になって教えたりするので、知り合った人たちと一緒にテキストを書いたこともあります。テキストに関しては100冊ぐらい書いたと思います。

―― 一般向けの書籍を幅広く書かれるようになったのは、どうしてですか?


内山力氏: 独立した頃、先輩のコンサルタントと一緒に、毎年アメリカへ勉強しに10日間ぐらい行って、企業を訪問したり意見を聞いたりしていました。その人が、行った結果を市販本にしようという話になって、『価格競争のあとはサービス競争だ―アメリカ流通業の熾烈なサービス競争』など何冊かの本を、共著で書かせてもらったんです。その人から「日経文庫の資格シリーズで、『中小企業診断士』という本をすぐに書かなきゃいけないんだけど、書かないか?」と言われて、それも書きました。『中小企業診断士』のあとは、日経文庫で『IT活用の実際』や、『マネジャーが知っておきたい経営の常識』などを書いていたのですが、PHPが日経文庫に対抗してビジネス新書を出すことになって、マーケティングの本を書きました。その本で、数字のことを少し書いていたのですが、編集者と飲みに行った時に、「数学は、わりとビジネスに生きているね」という話になり、数学とビジネスの本を書くことになりました。数学のことを全般的に書いた方が面白いと僕は思ったんだけれど、編集者が「売るんだったら少し絞り込んだ方が面白い」と言うので、テーマを微分・積分に絞った『微分・積分を知らずに経営を語るな』を書くことになりました。

――『微分・積分を知らずに経営を語るな』というタイトルは内山さんがつけられたのですか?


内山力氏: 出版社です。僕は「こんな上から目線のタイトルはよくないんじゃないか」と思っていて、『微分・積分思考法』などというようなタイトルを考えていたのですが、おそらくそれでは売れなかったと思います。その本が売れたので、PHPでもマーケティングや、マネージメントなどを書くようになって、ほかの出版社からも数学系の本を書かないかというお話を、いくつかもらうようになりました。

「売れた本が売れる」本の不思議


――数学の本を一般向けに書かれる時に、心がけていることはありますか?


内山力氏: 本を書く時には、あまり飾らずに分かりやすく書くということを大切にしています。本は格調のようなものを気にする人がいますが、僕はそういうのはあまり気にしません。数学の本を書くというよりは、自分がしたコンサルティングとか、経営者養成の中で教えたり、使ったりしたコンテンツの中で、数学の部分だけ抜き出して、まとめるという感じです。限界利益という言葉をよく使いますが、調べてみたら微分そのものだったりする。そういったように、業務に数学が生きているということは、もともと感じていたのです。だから、新たに何かを調べてやったという感じではありません。
微分積分でも、数学的に踏み込んで書くと、数学者から言わせれば「それは正確に言うと、微分積分の考え方じゃないだろう」というものもあるわけですが、知るべきは微分積分ではなくて、微分積分の考え方なのです。『確率を知らずに計画を立てるな』にも、そういうところがあるかもしれません。僕は「数学」ではなく、「数学者が考えた思想が業務に生きているということ」を伝えているつもりです。

――編集者・出版社の意向も重視されますか?


内山力氏: やはり、新書の目的は、基本的に売ることです。あふれるように本が出ていく中で、まず手に取ってもらうということが重要なので、タイトルやパッケージング、プロモーションなどは出版社に任せています。コンテンツはキレがあるものにする、ということも大切です。ほかが書いていないもので、インパクトがあって、見方がストレートに伝わるということ。そういう本が売れるのではないかと思っています。でも、本は、「売れた本が売れる」という面が強いと思います。よく考えてみると不思議な気もしますが、本の一番のプロモーションポイントは「何万部売れた」ということなんです。極端に言えば、商品的にはいまひとつ面白くないけれど、大量に売れたというプロモーションをやっている人もいるでしょうし、レストランなら、「ぐるなび」で人の意見を聞きながら、調べて行って、美味しかったからもう1回行ってみようということもあります。本の場合はだいたい一回読んだら終わりですから、次の本では違う料理をしなくてはならないので、僕はその難しさを感じています。

著書一覧『 内山力

この著者のタグ: 『コンサルタント』 『コンサルティング』 『数学』 『経営』 『マーケティング』 『ビジネス』 『教育』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
ページトップに戻る