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世界中の本好きのために

高橋三千綱

Profile

1948年、大阪生まれ。作家・高野三郎の長男として生まれる。 テレビ、映画の子役、ラジオドラマの声優として活躍した小学生時代、各地を旅した高校時代など、濃密な少年時代を送る。 卒業後はサンフランシスコ州立大学英語学科創作コースへ入学するも、父が重病にかかり3年目に帰国。アメリカの滞在記『シスコで語ろう』を自費出版、その後スポーツ新聞記者などを経て、作家生活に入る。 「退屈しのぎ」で第17回群像新人文学賞、「九月の空」で芥川賞を受賞。自作の「真夜中のボクサー」で映画製作にもかかわる他、他多くの小説や漫画原作なども手がけている。最新作は『猫はときどき旅に出る』(集英社)。 9月中旬に3部作の第1作『黄金の鯉-大江戸剣聖一心斎』(双葉文庫)も出版される。現在、初の書き下ろし作品『ありがとう肝硬変・よろしく糖尿病』を執筆中。

Book Information

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日本中を旅して、アメリカへ


――小学生の頃から日本中を旅行されていたそうですが、その時のことをお聞かせください。


高橋三千綱氏: 小学校6年の時に、何気なく大島1周に行って、帰って来るつもりだったのですが、側にいた高校生が、「これから伊豆半島に行くんだ」と言うんです。僕も伊豆半島は行ったことがないから、行ってみようと思ってついていくと、温泉で芸者と一緒にちんとんしゃんなどとやってる奴が大島で会った奴だったりと、色々な大人と出会うわけです。1人旅は、ずっと1人でいるのではなく、適当に協力者を見つけるのが1番良いということが分かりました(笑)。その後も休みの度に日本中を旅行して、高校1年の時は東北と北海道に1ヶ月以上いました。

――旅に駆り立てられるものがあったのでしょうか?


高橋三千綱氏: 小田実さんの『何でも見てやろう』を中学生の時に読んで、影響を受けました。彼も大阪で弁護士の息子だったし、思い描いてる生活と似てるなと思いました。旅に行けば、なんか発見できるんじゃないかと思っていましたし、将来は世界各国で、色々な国の言葉で書くフリーのジャーナリストになるのが1番良いなと思ったんです。日本を旅したのは、外国で生活しようと思っていたから、その前に日本を見ておかなければいけないと思ったからです。



――その後は、アメリカのサンフランシスコ州立大学に留学されますね。


高橋三千綱氏: 僕が行った創作コースはジャーナリスト養成機関で、日本にはまだなかった。アメリカではニューヨーク大学とミシガン大学とサンフランシスコ大学にあって、そこで頑張ろうというのは全然なかったんですが、とりあえずその学科だったら申し込む理由はあると思ったんです。

――留学されるまでには苦労はありましたか?


高橋三千綱氏: 経済的な裏付けが1番大変でした。私費留学生ですから「親は金持ちなのか」とアメリカ大使館で聞かれるわけですが、金はないから、ダメだと言われる。それで日本にいる不動産屋の人から預金残高の証明書をもらってきて、「この人が自分のスポンサーです」とアメリカ大使館に持って行ったのです。不動産屋にはただ残高証明が欲しいと言っただけだったので、そのことは知らなかったと思います。アメリカに着いてからは、州にエアフォースがあって、将校など偉い人は、乗っている車が違うのですぐ分かるから、その人が奥さんと車から降りた時に、「何か力になってください」と頼みに行くんです。びっくりしていましたが、「こういうところを訪ねたらどうか」などと、色々紹介をしてくれました。

再販する予定がないなら安価で電子に


――高橋さんは、電子書籍は利用されていますか?


高橋三千綱氏: 最近、電子書籍を買いました。そんなに安くなかったですが、便利ですね。入院する時に、時代小説や古典が2000冊入っているのを持って行きました。夜でも見られるから便利でした。

――電子書籍で読むことには抵抗はありませんか?


高橋三千綱氏: あんまりものに拘らないので、抵抗は全然ありません。古いものを大事にすることも、コレクションなども全然ありませんし、何か良いものがあったら使います。良いものはすぐ分かりますし、これダメだな、廃れるなというのも分かります。

――電子書籍の将来はどうお考えですか?


高橋三千綱氏: 本次第ではないでしょうか。漱石などだったら、著作権が50年で、そこで上手く話し合いがつけば自由に使えますよね。出版社は再販する予定がないなら、カラオケだって1曲1円50銭くらいですから、1冊1円くらいで出してしまえばいいじゃないかと僕は思います。古本屋にもない本に光を当てれば、今よりももっと読んでもらえると思いますから、作家がOKしているのだったら、どんどん出せるでしょう。カラオケのように、「何年版チップ」などを入れ替えればいいのだから、それに機械が伴ってくればいいわけで、僕はそういう日がくるのを待っています。

――紙の本はどうなっていくでしょうか?


高橋三千綱氏: 今、古い本の復刻版を持っていますが、こういうものは手作りの味があります。「これが良い」と言うのは、趣味の問題ですから、論説することではないと思います。美しい本を、深夜お酒を飲みながら見るのが好きな人もいるわけですから、紙は愛好家がいる限りなくなりません。つまり、読者の取捨選択の範囲が広がるということです。新聞などは、一方的で、自分たちへの批評がなくて、誰かの発表だけですから、一番遅れているというか、ダメになっていくのではないかと思います。

著書一覧『 高橋三千綱

この著者のタグ: 『旅』 『海外』 『考え方』 『留学』 『経験』 『小説家』 『創作』

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