BOOKSCAN(ブックスキャン) 本・蔵書電子書籍化サービス - 大和印刷

世界中の本好きのために

古川武士

Profile

関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に人材育成会社を設立。人が本当に変わっていくために「続ける習慣」が重要と考え、オリジナルの習慣化理論とメソッドを開発した、習慣化コンサルタント。そのメソッドを元に企業研修、個人向けセミナー、コンサルティングを行っている。コーチング・心理学を専門にこれまで企業研修・講演を通じて2万人以上の育成に携わってきた。また、個人コンサルティングとしては経営者から若手ビジネスパーソン、主婦まで幅広く200名以上を支援している。代表的な著書に『30日で人生を変える 「続ける」習慣』(日本実業出版社)など。

Book Information

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

二項対立を超えた「電子書籍2.0」へ


――書籍や音声のダウンロードなど電子メディアも活用されているとのことですが、電子書籍についてはどのようにお考えでしょうか?


古川武士氏: 僕は iPadの中に、本を山ほど入れているんです。紙の本が100冊ぐらいたまったらスキャンしてもらっています。僕は本棚に入れた本は読み返さないんですが、iPadだったら時間がある時に見られます。Evernoteも使っていて、アイデアが湧いた瞬間に書き込んだり、新聞記事も写真を撮って、ライブラリーに入れています。そうすると知識がパソコンで集約できて、アイデアがアイデアを呼ぶ。iPadも含めて、本棚を持ち歩いている感じです。それに、紙の本だと読み始めると全部読みたくなり、それがブレーキになることもあります。だから僕は紙で読んで電子化して振り返るという使い方です。今までの習慣もあり、初めに読むのは紙で読みたいというのはあります。電子書籍をゼロから読んだことはないので、どこまでいいのかはよく分からないです。

――電子書籍の今後の可能性についてはどう思われますか?


古川武士氏: 電子書籍は今までに紙でできなかったことが実現できるのが付加価値だと思います。ウェブが出たてのころは単にホームページを見ていましたが、今はFacebookなどの世界に発展していき、ウェブ2.0のような感じになっています。そういう意味で言うと、今は電子書籍1.0ぐらいのレベルだと思うのです。まだ平面的にしか使われていないから、「紙か電子か」みたいな話になっていて、「ネットかリアルか」のような次元の話です。今はあまりそんなことを言う人もいなくなりましたよね。SNSがあるからこそ、1回しか会っていない知り合いとも仲良くつながれるというように、リアルとネットは、すでに融合しているわけです。



だから、紙は紙で存在価値はあるし、書店での本との出会いはあると思うので、それはそれで残るんでしょうが、もし電子書籍2.0みたいなのがあるとしたら、例えば、自分が欲しいテーマや情報やニーズを書くと、あらゆる蔵書の中から引っ張ってきて、つなぎ合わせてくれて、完成されたものを提供してくれるとか、そんなことは紙の本ではできないわけです。本は、まだ1冊というレベルでラベリングしているけど、本をパーツとして情報単位で集約できるようになる。著者に入ってくる印税も検索された一部だけになるかもしれません。いずれにしても、その時はたぶん紙か電子化みたいな世界を超えている気がするんですよ。

――電子書籍が単に紙の代わりになっては新しさがないということですね。


古川武士氏: 今のパラダイムは紙か電子化の2つに1つのレベルなんですが、今の延長線上で考えない方が、進化という意味ではいいと思います。物理的なところで見ていくというのは重要だし、そこで知の発見もあるのだけれど、電子書籍にしかない可能性もある。今の硬直的なバージョン1.0というレベルではない世界が広がって、もっと便利なものになって欲しいです。

本作りに一層知恵が求められる時代に


――最近読んだ本で印象に残っているものはありますか?


古川武士氏: 守屋洋さんが訳している『菜根譚』という中国の古典です。最近僕は、人間の考え方や軸のようなものは、どこに求めればいいのかと考えています。宗教のある国なら聖書やコーランなどありますが、日本の経営者、例えば稲盛和夫さんなんかを見ていると、どうもルーツが中国古典のようなのです。守屋洋さんの講演では、中国古典の最初のスタートラインは、論語は少し難しいので、『菜根譚』を読みなさいとおっしゃっていました。300年くらい前の人が書いた本で、比較的新しいものです。しかも論語や儒教の考え方や仏教など、色々な変遷を経た古典なので、「日本人がよりどころにしてもいいな」と染み渡るんです。それに守屋さんの本質の深みを移植しているわけだからなおいい。優しい言葉で書く必要はあるのですが、やはり守屋さんのような、古典に造詣の深い人がやらないとダメだと思います。

――古典が題材であっても、それを現代によみがえらせるには本作りをしっかりしなければなりませんね。


古川武士氏: そうですね。「この時代だからニーチェの言葉」などというのは、出版社の智恵で、そして編集者もしっかりしていなければ、本はダメだと思います。企画して本を出したとしても、編集者のノウハウや、経験などマーケティング的な発想と融合して出てきているわけで、個人で出すと、ノーメークで出ていくようなものです。「てにをは」を直すレベルなら誰でもできるけれど、何が求められるというのが分かっていて、かつそれを流通させるのは出版社の強みです。バイングパワーだけを言うのであれば、市場は小さくなっていく可能性はあるのですが、企画力やマーケティング力というのはなくならない。むしろますます重要になってくると思います。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。


古川武士氏: 今考えていることは2つあって、本のテーマと、直接人と関わる活動です。活動としては、良い習慣が続かない人たちに来てもらって、ネックを解消する習慣化のフォローアップコミュニティを月に1回開催します。基本はしていても、変なところでつまっている人たちも結構いるので、月に1回読者の方たちや、メルマガの会員さんに来てもらえるような場を6月に作る予定です。
本のテーマとしては、悪い習慣を一掃する「やめる習慣」というのを書こうと思っています。前は良い習慣を始めるというテーマが強かったのですが、禁煙やダイエットは、成功率があまり高くないのです。なぜだろうと思ったら、新しいものを始めるのと、今あるものを止めるのとでは、少し違うんです。続けることは億劫さと戦うという感じですが、止めるのは、食べたいという衝動や、タバコを吸うことを我慢しなければいけない。悪い習慣を手放すというメソッドは別に考えなければと考えていて、悪い流れに入っているものを良い流れにもっていくためには、どうすればいいのかというのを、次の本のテーマにしようと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 古川武士

この著者のタグ: 『コンサルタント』 『コンピュータ』 『キャリア』 『起業』 『コーチング』 『独立』 『転職』 『続ける』 『ミッション』 『習慣』 『出向』 『販売』 『パソコン』 『アイデンティティ』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
ページトップに戻る