大切なのは媒体よりもコンテンツ
――冒頭に電子化のお話がありましたが、池田さんの本が裁断・電子化されて読まれることについてはどう思われますか?
池田千恵氏: 最初は自分の本がスキャンされると思ったら、身を切られる様な辛さを感じました。でも自分の蔵書もお願いしている今となっては、もう全然抵抗はないです。もちろんコピーして再販されるのは著作権の侵害なので嫌ですけれど、買ってくださったものをいつでもどこでも愛用していただくためならありがたいことです。逆に私が最初にスキャンしたのは自分の座右の書のような大事な本です。OCR処理をすれば文字検索もできますから、何度も読む本はスキャンして電子化する方が便利です。大切なのは物じゃなくて中身、コンテンツだと思います。確かにサイン本とかをスキャンするのはちょっと抵抗があると思いますが、電子書籍は「コンテンツ」として大事にして、紙の書籍は「物」として大事にする、と使い分けることが重要なのではないでしょうか。
――最後に、今後の展望をお聞かせください。
池田千恵氏: 私には「iプラ」、「プレプラ」、「朝時間」という3つの柱があります。「iプラ」は先ほど説明したように、自分のやりたいことや強みとかがわからない人たちに、思考整理などの手法を通じて道筋を伝えることです。「プレプラ」は、プレゼンプランニングの略ですけど、スティーブ・ジョブズみたいなプレゼンの達人になる前の段階で、自分の頭の整理とか準備の仕方、発信力のつけ方を私の経験を生かして伝えたいなと思っています。最後の「朝時間」は、「Before 9 プロジェクト」という早朝のセミナーを開催したり、手帳をプロデュースしたり、アプリを作ったりして、朝時間を有効活用するために何か役立てることがあったらと思っています。その3つの柱で今後もやっていこうと思っています。
それともう一つ、福島出身なので東北の人のお役に立ちたいというのがあります。「iプラ」を企業研修として使っていただくことが増えて、先日東北で研修させていただいたのですけども、人の性格にも土地柄があります。私もそうだったのですけど、東北の方は発信するのが控えめな方が多いんです。言っても無駄だとか、言い方がよくわからないからということで発信するのを我慢してしまう。本当はちゃんと考えているのに、うまく発信できていないのではないかという問題意識があります。もちろんこれは東北に限ったことではありませんが、発信するのをあきらめてしまっている人たちに、効果的な発信の仕方をお伝えするために、私の経験がお役に立てればいいな、と考えています。
(聞き手:沖中幸太郎)
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