BOOKSCAN(ブックスキャン) 本・蔵書電子書籍化サービス - 大和印刷

世界中の本好きのために

近藤典子

Profile

神戸生まれの大阪育ち。21歳より東京在住。2000軒以上の暮らしの悩みを解決し、その経験から生み出された近藤流のわかりやすい暮らし提案が好評。 TVやラジオ・新聞・雑誌などメディアでの活動や、講演会、企業との商品開発の他、自ら講師を務める「近藤典子の暮らしアカデミー」では、これまでの基礎コースに加え、「プロコース」開設の準備中。また個人宅の図面監修など、「暮らし目線」の空間提案にも力を注いでいる。近著に『40歳からの人生を輝かせる50のヒント』(光文社)、『50歳をすぎたら家の整理を始めなさい』(ポプラ社)など。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

電子書籍は本の片付けの選択肢となる


――近藤さんはご著書もたくさんおありですが、電子書籍を含め今の出版業界についてどう思われますか?


近藤典子氏: 時代ってすごいですね。今はインターネットがあって、生活情報はそこから簡単に手に入れられる。だから昔のように暮らしに関する本が売れないのはしかたのないことだと思います。そうはいっても私は超アナログ人間で、iPadもまともに使えず、基本的に資料は紙に出力をしないと読めないんですけどね(笑)。だから電子書籍についてはよくわかっていないことが多いですけど、拒否感はないですね。

――拒否感がないというのはなぜでしょうか?


近藤典子氏: 25年間、仕事で色々なお宅にお伺いしてきましたが、「困っている物のベスト5」にいつも入るのが本なんです。本って場合によってはその人の心の一部のような、そんなものになっている気がするんです。だから皆さん捨てられなくて困ってしまうんでしょうね。情報に必要な本や雑誌は「役目を終えた=処分する」というのが一般的だと思いますが、本の収集が趣味、いわゆるコレクションであれば処分せずに集めていいと思うんです。ただし、本の管理に「手間」と「場所」、「お金」がかかることを覚悟しておくことが必要です。場合によっては床の補強が必要になるかもしれませんし、虫がつくので手入れもしなくてはいけないかもしれません。それに使っていない(読んでいない)罪悪感を感じることもあるでしょう。私は「物は使って始めて生きる」と25年間言い続けていますが、使わない本=物を粗末にしている、いわゆるもったいない状態になりかねないと知っておくことが大切だと思っています。そんな時、もう一回あの紙に触りたいと思える本だけ手元に残し、そうではない本は電子書籍でコンパクトにまとめる二刀流の持ち方は合理的ですね。こういう持ち方をすると、意識を持って本を買うことにもつながるかもしれませんよ。「二軍」と言ったら電子書籍に失礼かもしれませんけれども。

「心の栄養」となる本はとっておいていい


――電子書籍の普及によって、紙の本は今後どうなっていくと思いますか?


近藤典子氏: 私たちの年代の人は、今の子どものように機械を操作する力はまだまだですが、今の二十歳前後の人が私の年齢になったら、電子書籍が今の私たちの思う紙の本と同じ感覚で扱われているかもしれないですね。だって大昔は石に彫っていたんですから(笑)。
私は「昔は良かった」と現状から目を背け過去に逃避するというのはあんまり好きじゃないんです。というのも、過去を大切にして未来に夢を持つからこそ今を生きていける。そう思うんです。だからこそ、その時代時代に前向きに適応していくことが大切で、昔と今の両方を知っている私たちは、電子書籍も紙も両方伝えていくことが大切なんだと思います。その結果、もしかしたら次の世代の人たちの中に、紙という文化が今とは違う形で表現される可能性も充分ありますからね。もしかしたら電子書籍じゃない本も出てくるかもしれませんよ。例えば、携帯なのか時計なのかわからないけど、電子書籍の機能が入って、ボタンを押したら壁に映し出されて、お年寄りが大きな字で読めて、そこに音楽や作家さんの朗読が入ってくるとか…。想像が膨らみますね。

――紙の本の良いところはどういったところでしょうか?


近藤典子氏: 子どもと一緒に本を開けた時に、お母さんが読み役、子どもが聞き手、お父さんが横で時々合いの手を入れる役みたいな。本を囲んでみんなでひとつの時間を過ごす、見方を変えればみんなで一緒に本を「読む」ですよね。そんな本を通して家族の絆や感性を育てたり磨いたりすることはとても大切だと思うんです。電子書籍も近いうちに紙の本と同じように、いや、それ以上使い方が提案されるかもしれませんけれど。私は基本的に「物は暮らしで使う物と、心で使う物がある」と思っています。持っているだけで落ち着くとか、物を見て人や出来事を思い出すとか誰にでもあるはず。特に本は、物の中でもそういう要素が強いんじゃないかと。捨てずにずっと手元に残している本って、「辛かった時に勇気をくれた」とか「初心を思い出す」とか、本の内容よりも自分の気持ちの部分で持ち続けていることが多くありませんか。そんな心の栄養になる本は、やっぱりこれからも紙の本であることが多いような気がします。文字を見るだけではなく、ページをめくる音とか、紙の手触りや匂いとか、五感で記憶する部分が電子書籍より多いので、思いとか感情が宿りやすいんでしょうか。それに、電子書籍は自分からアクセスしないと読めませんが、紙の本は歩いている時にふと目にするってこともありますよね。

著書一覧『 近藤典子

この著者のタグ: 『考え方』 『紙』 『家事』 『暮らし』 『片付け』 『基本』 『気持ち』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
ページトップに戻る