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近藤典子

Profile

神戸生まれの大阪育ち。21歳より東京在住。2000軒以上の暮らしの悩みを解決し、その経験から生み出された近藤流のわかりやすい暮らし提案が好評。 TVやラジオ・新聞・雑誌などメディアでの活動や、講演会、企業との商品開発の他、自ら講師を務める「近藤典子の暮らしアカデミー」では、これまでの基礎コースに加え、「プロコース」開設の準備中。また個人宅の図面監修など、「暮らし目線」の空間提案にも力を注いでいる。近著に『40歳からの人生を輝かせる50のヒント』(光文社)、『50歳をすぎたら家の整理を始めなさい』(ポプラ社)など。

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家は、その人が、家族が、生きる舞台


――家を建てる人には、どのようなことに注目してアドバイスをされているのでしょうか?


近藤典子氏: 家を建てるための情報は巷に溢れていますが、大切なのはその人たちがどう暮らしていきたいか。私は徹底してそこを伺います。賃貸のワンルームだろうが、豪邸だろうが同じです。どう暮らしたいかが分かって始めて動きやすい間取りや家具の配置、収納方法など、住まい手が快適だと思える提案ができるんです。家は一概に、良いとか悪いとか判断できるものではありません。同じ間取りの賃貸のワンルームでも、人が変われば住まい方も変わる。そうなると家具の配置や収納の仕方も異なります。最終的に部屋の表情が変わるんですよ。だから、「そういう風に住みたいのならこうするといいと思いますよ」と、住み手が実現したい暮らし方を提案することを常に心がけています。

――暮らしは百人百様、ということですね。


近藤典子氏: そうです。私はもともと主人が始めた引越しの荷作り、荷解きのサービスを手伝うようになったことがきっかけで今の仕事をするようになったんです。引っ越しのお手伝いをする時は、基本的にその家にあるものは全てお客さまの持ち物。極端な言い方をすると、ゴミ一つ、レシート一枚、全てお客さまの物であって、それをゴミって決める権利は私たちにはないんです。そんな常にお客さま本意の状況で仕事をしてきましたし、たくさんの暮らしを見てきて「10軒あったら10軒の暮らしがある」という気持ちで仕事をしてきました。だから「こうしなさい」とか、「暮らしとはこういうものだ」とこっちが決め付けてお客さまに押し付けるような仕事はしたくないんです。だって実際に、他人から見たら同じような物でもある人にとってはゴミ、ある人にとってはとても大切な物ということが日常茶飯事ありましたからね。その物が必要かどうか…、最終的にお客様自身で気持ちよく判断できるようにアドバイスなり導きをするのが私たちの仕事です。言い換えれば、「片付けを通して暮らし力を身につけていただく!」。なんて、ちょっと偉そうですかね(笑)。

――最近「物を捨てなさい」ということを耳にしますが、そうではないんですね。


近藤典子氏: ここのところ、いろいろな方がさまざまな方法で片付けについて発信されていますが、私、どなたも間違ってないと思うんです。というのも、皆さん表現の仕方が違っても「自分の暮らしと向き合うことが大切」だとおっしゃっている。そこに住む人がみんな快適に過ごせたり、幸せだと思える暮らしを作りましょうということですよね。それってダイエットと同じだなって、最近よく思います。偏食系、運動系、体質改善系…、ダイエットにもいろいろありますよね。でも要は健康的に痩せることが大切で、痩せて体を壊してしまっては元も子もないんですよね。痩せるための基本、片付けるための基本、基本は大切だと最近痛感しています。

掃除が苦手だったから、片付けられない人の気持ちがわかる


――近藤さんはもともと片付けが得意だったんですか?


近藤典子氏: いえいえ。むしろ真逆。家事という家事はからっきし苦手でした。私、もともと骨接ぎなんですよ。柔道復整師というのが国家資格の名前なんですが、町の骨接ぎですね。20代は整形外科に勤めて、骨折、ねんざ、むち打ち、腰痛などを治療していたんです。30代に入って引っ越しのサービスを手伝うようになったのだって、学生時代に運動に明け暮れていたことを主人が知っていて、その体力を買われてのことですし。家事をするようになったのは結婚してからでしたが、掃除、洗濯、片付け。家事という家事ができませんでした。食べることは好きなので料理はやりましたけど、後片付けは面倒でほったらかし(笑)。

――それは意外ですね。片付けについてのアドバイスができるほどになったのはなぜなのでしょうか?


近藤典子氏: 自分自身が大の家事嫌いでしたから、できない人の気持ちがとってもよくわかるんです。それはそうですよ、三つ子の魂百までです。今でも私、気を抜くと片付けできないですよ(笑)。掃除が行き届いた家にいると気持ちがいいことも、家が片付いていた方が探し物をしなくてすむことも頭では分かっているんです。だけど、「片付けなさい」「掃除しなさい」とただ言われても納得できていないんでしょうね。やらないし、その時はやったとしてもまず続かない。自分がそんな状況だったので、片付けはもちろんですが家づくりでも何でも、お客さまに説得ではなくて納得してもらえるよう心がけています。この時、絶対的に必要になのは、根拠に基づいた知識。ここが不足していたりあいまいだと、お客さまの質問に答えられなかったり、納得してもらえる提案ができなくなってしまう。でも、その知識が身に付いていれば、状況に合わせて柔軟な対応ができるんですよね。そうは言ってもまだまだ知らないことだらけ。そんな時はちゃんと「知らない」って言います。今でも私は、インターネットで調べものはできますが、プリントアウトができないんです(笑)。でも何にも恥ずかしくないです。だって知らないんだもん。隠さなければ知っている人が早く教えてくれますよ。

――片付けられない方には具体的にどのようなアドバイスをされますか?


近藤典子氏: 「片付けなくてもいいじゃないですか」って言ったお宅が、何軒もあるんです。散らかっていてもいいということではなくて、そんなに苦しい思いをするんだったら、片付けなくてもいいから、ちょっと休憩しましょうと。そして自分の中で、何のために片付けるのか、散らかっているのがなぜいやなのかということを気負いのない環境で考えてもらうようにしています。掃除しにくいから片付けたいということであれば、なぜ掃除するのか。家族がニコニコするとか、人を招いて楽しい時間を過ごしたいとか、自分がだらしないって思うのがいやだからとか、何か理由があるはずなんですね。それが分かれば、どうしたらいいか見えてくるわけです。表面的に物を片付けようと思っている間は、絶対片付かないし、一度きれいになっても、すぐにリバウンドしちゃう。リバウンドしなくなるのは、自分の中にバロメーターというか指針ができた時なんですよ。

著書一覧『 近藤典子

この著者のタグ: 『考え方』 『紙』 『家事』 『暮らし』 『片付け』 『基本』 『気持ち』

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