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内山昭一

Profile

1950年長野県生まれ。昆虫料理研究家、昆虫料理研究会代表、食用昆虫科学研究会会員。幼少より昆虫食に親しみ、99年より本格的に研究活動に入る。どうすれば昆虫はよりおいしく食べられるのか、味や食感、栄養をはじめ、あらゆる角度から食材としての可能性を追究。著書に、その成果をまとめた『楽しい昆虫料理』(ビジネス社)、『昆虫食入門』(平凡社新書)があるほか、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、インターネットなどあらゆるメディアで昆虫食の普及・啓蒙に努めている。東京都日野市在住。
昆虫食彩館】(昆虫料理研究会ホームページ)

Book Information

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あえて食べる必要はないが、毛嫌いはしないでほしい


――内山さんご自身の本についてお伺いします。まず『楽しい昆虫料理』は昆虫食を世に紹介する衝撃作でしたね。


内山昭一氏:楽しい昆虫料理』は4年前に書いたのですが、これはとにかくメニュー、レシピ中心なんです。虫を捕ってもどうやって調理していいかわからないっていう人が大多数で、毎月やっている料理講習会のデータがだんだんたまってきていましたので、実用書として考えたんですね。これを見ながら自分たちでさらに美味しい昆虫料理を作ってほしいと。でも4年たつ間に会も広範になってきて、昆虫を食べていない人に、昆虫食って一体何なのかという風に伝えたいっていうのがだんだん出てきました。そのためには細切れでもいいから昆虫食に関してありとあらゆるものを詰め込んだ入門書を出したいと思ったんですね。取材をされる方も事前に読んでいただければ、入門的なところははしょって、もうちょっと充実した話ができる。相互理解が図れるという目的があったんですね。

――それが『昆虫食入門』ですね。


内山昭一氏: 新書ゆえに字数は限られてきますから、一個一個の見出しで多くのものは書けないんですけれども、色々書いたつもりです。よく、「色んなものが書かれているので新書ではもったいない」とよく言われるんですけれども。これを書いたことによって、おかげさまで色んなマスコミの方も読んでくれていますし、一般の方々も昆虫食に対して一定の理解、単なるゲテ物じゃないという理解を得られてきて、それはこの本を出したメリットだったと思うんですね。『昆虫食入門』は食べたことがない方のためで、食べた人は『楽しい昆虫料理』もどうぞ、と。2冊でワンセットですね。実はもう1冊書きたくて、「昆虫食万歳」みたいな本ですね、四季折々のおいしい昆虫との出会いをエッセイ風に書いてみたいなって思っています。

――今後の活動の展望をお聞かせください。


内山昭一氏: 今の「食」というものがどうも不自然であると思うので、自然な雑食動物の体に合った「食」に戻していこうという流れの中で、昆虫というものも当然ながら入ってくるものだと考えています。できるだけその流れを速やかにするようにお手伝いをしていくという風な理解でいます。人類はずっと虫を食べてきています。食べていないのはこの何十年かなんです。あえて食べる必要はないけれども、毛嫌いしないでほしいですね。食べ物って人間の基本ですから、昆虫食をきっかけにして、ほかの食べ物についても、あるいは食に限らずそこから見えてくるものがあると思っています。

そして、「昆虫試食会」が始まった


――今日もたくさん用意していただきましたが、それにしても食べられる昆虫には色々ありますね。


内山昭一氏: なんでも食べていってください。赤いのがイチゴジャムなんですけれども、そこに白いのが入っていますよね、ポツポツと。それがアリの子です。



―― アリの子っていうのは、いわゆるアリですよね。


内山昭一氏: いわゆるアリです(笑)。アリの幼虫とかサナギが入っています。で、タイとかでよく食べられるツムギアリっていうアリなんですけれども、それをゆでてジャムと混ぜています。

――これはハチですね。


内山昭一氏: オオスズメバチの幼虫から始まってサナギ、成虫に近いところ、それぞれ味とか食感が違います。そこら辺を一口で味わうことができるという超高級食なんですけど。

――「親子串」というネーミングが秀逸ですね。


内山昭一氏: まあ直系の親子じゃないと思うんですけれども。血のつながりはないと思うので、義理の親子ですね(笑)。巣を取る駆除業者さんに友達がいて、薬を使わずに捕ってくれるんですね。「ハチを採るけど、要る?」とかいって聞かれて、要るって言ったらそのまま食べられる状態で捕ってくれるので、すごく助かりますね。

――これはバッタですね。


内山昭一氏: 一番上はトノサマバッタですね。これ何だかわかりますか?セミの羽がないやつです。幼虫ですね。この3つともフリーズドライにしているんです。フリーズドライは頼んでいるんです。普通なかなかできないですもんね、これだけ乾燥させるの。フリーズドライしてチョココーティングしていますので、まあサクサク食べやすいかと思うんですけれども。乾いていますし、しかもコーティングしているから。基本的には頭からいってください。

本当に困っていますね。だんだん涙目になってきましたよ(笑)。こっちは燻製で、多少、塩味が入っているので、これだと単独で食べればいいかもしれない。あ、セミどうぞ。成虫の方ですよね。多分アブラだと思う。まあフリーズドライにしちゃうと食べやすいと思うんですよね。

――あ、確かにナッツみたいですね。


内山昭一氏: セミの方が美味しいですよね。しょっぱさというのはミネラル分だと思うんですよ。それが樹液のミネラルを反映したんじゃないかって味覚センサーで計ってくれた人が言っていました。漢方では、抜け殻を使っていますね。スズメバチを漬けたお酒もあります。それは何のお茶だと思います?これは絶対当たらないと思います。

――うーん。草みたいな風味ですね。


内山昭一氏: なかなか敏感ですね。これはカイコのフンなんですよね。フン茶って言ってますけども。ちっちゃい粒粒、黒いやつあるじゃないですか。あれをためているんですよね。カイコは桑の葉を食べますので、ほとんど桑の葉の成分です。桑の葉茶ってありますけど、味はかなり似ていますよね。

――何か、昆虫食の可能性に目を開かれたような気がします。


内山昭一氏: では今度の日曜日、阿佐ヶ谷の「昆虫食のひるべ」に来てください。セミとバッタをトッピングして、ケーキを作るんですよ(笑)。

(聞き手:沖中幸太郎)

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この著者のタグ: 『考え方』 『食』 『きっかけ』 『昆虫』 『理解』 『食文化』

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