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世界中の本好きのために

高野秀行

Profile

1966年、東京都八王子市生まれ。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。1992-93年にはタイ国立チェンマイ大学日本語科で、2008-09年には上智大学外国語学部で、それぞれ講師を務める。近著に『またやぶけの夕焼け』(集英社)。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞を受賞。

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電子書籍のユーザーは『本好き』の人、時代とともにデバイスは変わっても基本は変わらない



アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションを多数発表されているノンフィクション作家の高野秀行さんに、読書について、これからの電子書籍について思うことなどをお伺いしました。

最近のテーマはアフリカにある謎の独立国ソマリランド。1年に1回は現地を訪れ取材する



高野秀行氏: ここ1年は、アフリカのソマリアとその中にある謎の独立国ソマリランドの両方をテーマに、今も取材へ行ったり原稿を書いたりしています。ガイドや堅い本には載らない面白いことも文章にするのが僕のスタイルですね。例えば、ソマリアへ行くとします。あっちでは99%日本車が走っている。そうすると、本当に、「○○高校サッカー部」とか、「○○温泉」というマイクロバスとかがガンガン走っていたりする。首都モガディシュは、世界で一番危険な町と呼ばれていて、内戦をやっているようなところなんですが、そこでもそういう車がまったく普通に走っているんです。民兵もごろごろいるし、普通の人も自動小銃を持っている。それで、民兵なんかはもう乗り合いのバスに銃を持って立ち乗りしているんですが、それが日本のリサイクルされた幼稚園のバスだったりする(笑)。車体に「○○幼稚園」と書いてあって、こうガーッって走っていてね。「そんな幼稚園があるか」と(笑)。

――ソマリランドは、日本からどのくらいかかるのでしょうか?


高野秀行氏: まあ、時間的にはどうなのかな。直行便がないので、遠回りして13時間くらいですね。年1、2回は行きたいんですが、年1回です。去年は2ヶ月行っていて、今年は時間がなくて2週間しか行っていない。また11月に1カ月くらい行きますけど。
今、取材してきたものを書いているんですが、それが大変なんです(笑)。最近の僕の本としては、7月5日には、集英社から『またやぶけの夕焼け』という少年小説が出まして、10月には、タイトルは未定なんですが、在日外国人のホームパーティーにお邪魔して、料理を一緒に作って食べながら、食事や生活の話などを伺うという本が出る予定です。

――デビュー作の『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)を拝見したのですが、日常のことを面白く書くというスタイルは今もお変わりないですか?


高野秀行氏: 自分では、紆余曲折を経て、色々変わっていると思うんですが、はたから見るとほとんど変わってないみたいに見えるらしくて(笑)。

執筆はネット環境のないドトールコーヒーで


――執筆される時にはどちらで書かれるんですか?


高野秀行氏: ドトールコーヒー(笑)。ドトールをここ4年くらい仕事場にしております。家だと書けないんですよ。まず、ネットがつながっている。そうすると、原稿に詰まるとメールチェックしたり、スペースナビを見たりして集中できなくて。いつの間にかYouTubeで松井秀喜のホームラン集とか見ていたりして、もうどうしょうもない。家だと横になってカーッと寝ちゃったりするんで、もうだめだなと。「ネット環境がないとこに行かなきゃ」と思って、ドトールに行ったんです。そうしたらすごくはかどるようになって、仕事量が2倍にはなったでしょうね。だからドトールに行ったらもうやるっていう習慣になっている。だから全然やる気がなくても、行ってコーヒーを飲むと、スイッチが入る。

――ちなみに、ドトールというのは何か理由があるんですか?


高野秀行氏: ドトールコーヒーは、仕事しやすいですね。勉強している人も多くて、店によってそういうのがだめなところもあるんですが、まあ、そうでないお店なので。しかも僕が通っているお店は昔からの商店街にあって、店長副店長をご夫婦がやっていて、お客さんも常連中心。ほとんど街の喫茶店みたいなところなんです。だからもう店長やバイトの人たちとか、常連の人たちがみんな知り合いなんですよ。

――執筆される時はパソコンですか?


高野秀行氏: そうです。だから今は、ドトールでもネットがつながったらどうしようかという不安が一番ありますね。

電子書籍は期待はするがまだ使っていない


――高野さんは電子書籍などのご利用はされますか?


高野秀行氏: いや、まだですね。とにかく品ぞろえもまだだしKindleとかiPadで見たりする時も、まだもうちょっと薄く軽くなるんじゃないかと思っているんですよ。

――お仕事される時、参考資料などは使われたりしますか?


高野秀行氏: 使うんですよ。持ってかなきゃいけないんで、けっこう面倒くさい。それが一番問題ですよね。家にいたら資料は何でもあるんだけど、ドトールへ行っちゃうともう決まった資料しか見られないので。

――資料はどこで買われるんですか?


高野秀行氏: 日本語だったら街の書店でも買うけど、資料は主にAmazonかな。普通に自分の読みたい本は書店へ行って、ばーっと見ながら買っていいんですけど、資料はそんなことやってたら全然追いつかないので。

――書店は、今と昔では雰囲気が変わりましたか?




高野秀行氏: 本は数が増えましたね、あまりにも多くってもうどうにもならない感じですよね(笑)。書き手としても読み手としてもどうにもならない。ただ、書店自体に限って言えば、ここ10年くらいで質はものすごく向上したなと思います。ちょっと前までは、街の書店ってどこへ行っても同じ本が並んでいて、ベストセラーがあって、雑誌があるという、みんな大手書店を小さくしたような特徴のない感じだった。ここ10年くらいで、各書店ですごく工夫をこらして面白い棚を作ったり、個性が出てきましたね。書店員さんは大変だと思います。書店員という職業がライターやカメラマンみたいな、志してやる仕事みたいな感じになってきた。ただ漫然と書店員をやっていることができないんでしょうね。

著書一覧『 高野秀行

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