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世界中の本好きのために

高橋克徳

Profile

1966年生まれ。一橋大学大学院修士、慶應義塾大学大学院博士課程単位取得。野村総合研究所、ワトソンワイアットを経て、2007年、サザンオールスターズや福山雅治らを抱えるエンターテインメント企業「アミューズ」のグループ企業として設立された株式会社ジェイフィールの創設メンバーとなり、組織活性化、人材育成などの研修やコンサルティングを行っている。2010年より現職。『不機嫌な職場』は、28万部を超えるベストセラーに。主な著書に『潰されない生き方』『明日から部下にイライラしなくなる本』『職場は感情で変わる』『人がつながるマネジメント』など。

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電子書籍でも紙でもライフスタイルにあわせて読めばいい


――続いて電子書籍について伺います。電子書籍というのが今どんどん普及している中で、ご自著を電子書籍で読まれている読者に対しては、どのような感想をお持でしょうか?


高橋克徳氏: 僕は、電子書籍も紙の本も、別に両方ともいいんじゃないかと素直に思っています。やっぱり個人のライフスタイルによりけりですね。紙の本を電子書籍にしてデータ化して読むという事が習慣としてある人もいれば、紙の本で持つことがいい人もいるということですよね。検索とかは、明確な意図や知識がないとできない。だから意図がある時には、電子書籍は検索できるし、すごく便利だと思います。これからはさらに映像やネットとリンクしていく本になる。媒体としてさらに進化していくのだと思います。

――高橋さんはどのように本を読まれますか?




高橋克徳氏: ただ、僕の本の読み方って、大体、気に入った著者がいるとその人の本をドワーッと集めて読んじゃったり、ある分野が気になると、その分野の本を10冊とかいきなり買ってきてバーッと読む読書法なんです。そういう時って、ほとんど分野だとかテーマが決まっているから、自分で選んで買って、ストックして…というやり方が性に合っている。

――本は本屋で購入されますか?


高橋克徳氏: 本屋に行く時は、全く知らない分野の本を見つける時に行くんですよね。やっぱり知らない分野の本を読んで、「あ、こんな本があるんだ」とか、新たな発見がありますね。
僕は、本屋が無くなるとさみしいですね。色々なコーナーに行って発見する喜びが無くなるのは嫌ですし。

出版社も編集者も、これからはポリシーを取り戻せ


――出版社、編集者の本来の役割とは、どのような所だと思われますか?


高橋克徳氏: 今、まさに出版社も編集者も成果主義になってきてしまって、売れる本を出したいという風潮になってきていますね。ただ、逆に言うと出版社自身もポリシーを持たなければいけない。自分達の役割とかミッションとかをもっともっと明確に出して差別化、個性化をしていった方が、いいのかなという感じがするんです。「うちはこういう思想を持つ出版社です。だからこそ、こういう著者と一緒に組んでやりたい」みたいに、出版社は明確に個性を出して欲しいなと思う。

――高橋さんは書き手として、出版社へ対してどのように思われますか?


高橋克徳氏: わたしは出版社の人と一緒に議論しながら、本を一緒につくるというスタンスが好きです。出版社の人たちの思いも、自分は受け取って、本にしたいと思う。現代社会が生み出した矛盾、問題を明らかにして、その中でも前向きに生きていく人たちを支援する本を書きたい、届けたい。こんな思いを共有できる人と、一緒になって議論しながら、多くの人たちが共感して、元気になれるような本をつくっていきたいですね。

若い世代とバブル世代へ送る二つのエール


――今後、書いてみたい新しいテーマなどはございますか?


高橋克徳氏: 今2冊書いているんですけれども、1つは「会話って何だろうか、対話って何だろうか」という事を改めてきちんと考えるというテーマです。気づくと、会話下手になった人たちが増えたんだと思うんです。お互い気遣い合っていると、言いたいことも言えない。何から会話したら良いかわからない。だから、会話から逃げてしまう。でも「会話」って、相手に自分を知ってもらったり、自分が相手を理解する事だったりする。会話を深めていけば、自分が足りない物に気付かされたりもするわけです。そういう良い会話をどうしたら自然とできるようになるのかを考えようという本です。

もう1冊の本は、今、ゆとり世代がどうだとか、そういう事を言われてしまうけれども、今の若い人ってすごくいい物を沢山持っている。でも世代間の20年のギャップって、その背景にある時代の変化が大きすぎて、お互いに理解できない部分というのが生まれてしまっているんですね。その結果、上と下とでつぶし合ってしまう。下の世代が上の世代を見た時、上の世代がいい先輩であり、いい仲間であり、という関係にどうしたら変えられるかを一緒に考えていくというテーマの本を書いていますね。

――バブル世代の方たちというのはどういう方たちですか?




高橋克徳氏: バブル世代のおじさん達は仕事もちゃんとしない、人数ばっかり多いとか思われがちです。でも逆にバブル世代は、ともに働く喜びを実感できた最後のいい時期を過ごしたんですよね。先輩からいじられながら、ちょっといじめられながらもあたたかく育ててもらったり、みんなで一緒に何かをやる経験をしたり。海外で新規事業を経験していたり、そういう経験やパワーがある。40代の我々の仲間が集まると、例えばフェイスブックなんかもめちゃくちゃ利用しているんです。バブル世代の人達ってすごいんですよ。やっぱり元々そうやってしょっちゅう飲みに行ったり大騒ぎしたりというエネルギーがある世代。

――20代の方たちと40代以上の方たちの橋渡しをされるんですね。


高橋克徳氏: 若い人は若い人で、あなたは何ができるのかというような事を初めから問われる時代ですよね。そういう中で不安になりながらも一生懸命やっている。それも可哀そうだと思うし、そういう状態が続いて行って自分が30代になった時に、ますます不安になっちゃう人も増えるんじゃないかなと思うんです。

僕は20代に対してメッセージを送りたいという事も常に考えていますね。今、テクニカルな褒め方論とか怒り方とか、方法論ばかり増えている。叱るっていうのは、叱る相手の事を考えて、「それじゃ、成長しないぞ」とか、「お前が駄目になるぞ」とか、「人を傷つける人間になるぞ」ってことですよね。叱る時は真剣にぶつかるわけじゃないですか。でも今、日本全体、社会全体で、それが出来なくなってきている。これも大きな問題じゃないかなと思うんです。

「対話」の話も一緒ですけれども、テクニックばっかりなんですよね。だから今、みんなが、この20年の中で当たり前にできていた事を忘れてしまったような気がするんです。でも、それが生きていく上や、仲間と一緒に何かをやっていく上で、すごく大事な原理原則なんですよね。尊敬であったり敬意であったり理解という物が、ものすごくベースで必要になって来ている。そういう事を世代を超えてきちんとできるようになれば、日本には色々な人材がいるし、もっと面白い状況になると思いますね。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 高橋克徳

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