子供の教室も、うちの子供を通わせるためにやっている
――お仕事のスタイルを次にお聞きしたいと思います。普段はどちらでお仕事されてますか。
寺田昌嗣氏: 今オフィスで、小学生向けの学習教室をやっているので、日によりますけど、3時半~夕方6時までは、子供の教室です。僕が一人で教えていて、そこで使う教材も自作しているんで、午後は大体子供のための時間ですね。午前中は、学校の読み聞かせボランティアがあったりPTAの活動があったり、無料で面談してたりとかするので、あちこちに出没しています。
自分の仕事をするときは、スターバックスにわざわざバスで30分かけて出かけて行ってそこで仕事をして、また30分かけて事務所に戻ってくるという感じが多いですね。
――お気に入りのスターバックスがあるんですか。
寺田昌嗣氏: というより、近所にないんですよ。それでバスに乗って、と。
――そうなんですね。じゃあ、大体1日のスケジュールというか、大体睡眠時間はどれくらいとってますか。
寺田昌嗣氏: 今は、5時間半ぐらいですかね。大体10時半に寝て4時に起きる。
――朝の4時に起きるんですか!1日の行動を大まかなスケジュール教えていただけますか。
寺田昌嗣氏: 基本的に僕、5時半から朝8時までは、朝食作って弁当作って子供を小学校に送り出してって感じで、主夫やってるんですよ。朝早く起きているからその分仕事しているっていうのではなくて。
だから仕事をしたり、勉強したりっていうのは、せいぜい朝の1時間半ぐらい。
――4時に起きてすぐに頭は働きますか?
寺田昌嗣氏: もうずっとそのスタイルですんで。っていうか去年の秋までは朝3時に起きてたんですよ。それを1時間ずらして今4時にしているので、全然問題ありませんね。
――いつからそういった生活ですか。
寺田昌嗣氏: ずいぶん前からですね。教師の時代は5時にしか起きていませんでした。起業して数年間はプログラマーやっていたんで、もうめちゃくちゃだったんですね。今のような朝型が定まったのは、子供がたぶん3歳になってから。添い寝をして子供と一緒に9時に寝て3時に起きる。そしたら6時間寝られるじゃないですか。僕の場合家事をする時間があるので、その前にメールの処理とかしようと思ったらどうしても早く起きざるを得ないっていうのがあるんですよね。
――今、お子様はおいくつですか。

寺田昌嗣氏: 7歳。いいもんですね。子供の教室も、うちの子供を通わせるためにやっているんですよ。実は生徒って5人しかいなくて、そのうち家の息子が1人なんです。自分の息子のために教室作っているんですよね。売り上げとしてもでたらめですけど、それは子育ての時間の延長っていう感じで。
――自分の子供に気づかされることって何かありますか。
寺田昌嗣氏: 気づかされるというか、世の中は自分の思い通りには動かないっていうことをいつも教えられてますね。どこまで自分が期待していることを裏切られてイラっとくるんじゃなくて、『あぁそうか、期待通りいかないのか。じゃあこうしよう』っていう風に提案できるような。いつもニュートラルな姿勢でいられるというか、そこは精神修行(笑)。
子供が融通の利かない存在としてあるんで、それに合わせてライフデザインを変えていっているので、自分の仕事を精選するというか、フォーカスするというか、そういう発想も鍛えられます。例えば今やっているPTA活動は相当大変で、そのために仕事を削って、この作業をやらないっていうことをどんどんどんどん作っていくっていうような。
教科書がiPadに置き換わるだけでは、勉強の効率が悪くなる
――寺田さんにとって、本とはどういう存在ですか。
寺田昌嗣氏: 本というのはですね。実自分を常に基本に立ち返らせてくれる師匠のような存在だといつも思っているんですね。だからそこで新しいものを取り入れて喜ぶのではなくて、その情報は自分にとってどんな価値を持つのか?ということを考えて、それをじゃあ自分はどう活かしたらいいのか?そしてそれを自分が抱えて大事にしているお客さんだとか家族にどう伝えたらいいのか?あるいは、自分の行動を変えて、どういう風にその人たちに貢献できるのか?ということとか、内面と対話するきっかけを与えてくれる存在。
場合によっては自分のなんとなくまとまっていなかった思考が、本の中のフレーズをきっかけにバッと結晶化してきて、全く本とは関係のないメモを取ってたりっていうこともあるし、あるいはそこで至らない自分に気づかされることもあるし。
人生の師匠みたいな人がいるんですけど、その人も頭もいいしすごいんですよ。その人は静かに大事なことは語ってくれるけど、むしろ自分を基本に立ち返らせてくれるんですよね。本もそういう風に思っているし、そういう風な本と出会いたいと思っている。っていう感じですね。全てがそうではないんだけど。
――教育で、生徒1人1人に端末が渡されて、その中に教科書が入っているということが進められていくことについてはどう思われますか。
寺田昌嗣氏: それは先ほどの話と同じ話で、そのメディアが存在する空間がどういう文化に変わっていくのかによりますよね。教科書がiPadに置き換わっただけだと、たぶん勉強の効率が悪くなると思うんですよね。電子メディアで双方向でやり取りが出来たり、音が出たりっていうものと、じゃあ、ノートはどういうあり方になるのかとか、先生がどういったあり方になるのかとか、教科書が変わるだけでなく、全てが変わっていかなければならないので、そこは相当な実験な試行錯誤を繰り返していかなきゃ変わらないだろうなと。
それを誰が実験していくのか?っていうと、それをどんどん取り入れようとしている学習塾であったりとか、ビジネスセミナーでやっている方。あるいは、ひょっとしたら、教育大学付属の小学校とかでやっているかもしれないけど、かなりの時間と試行錯誤を経てじゃないと変われないだろうなという風に思っています。
――関わる全ての人たちがその文化を少しずつ変えていって、初めてその結果が出るということですよね。
寺田昌嗣氏: そうですね。空間軸メディアから時間軸メディアに置き換わるわけなんで、そうなるともう、『じゃあ何ページ参照して』とって言われて、パラパラパラ~っと、『あ、ここにあった。』っていうことがなくなるわけですよね。それはひょっとしたら検索できるのであれば効率は上がるのかもしれないけれども、知的好奇心を刺激しない存在になるかもしれないとか。ひょっとしたらまた別のものと化学反応を起こすかもしれないしっていう。それちょっと今想像がつきませんね。
読書を核とした『社会人が学ぶ文化』をもっと日本に豊かな形で伝えること
――最後の質問になります。今後どんなふうに、どんなことをやっていきたいですか。

寺田昌嗣氏: 私の最終的なゴールっていうのは、読書っていうものを核にした『社会人が学ぶ文化』というものを日本にもっと豊かな形で伝えることなんですね。本を読んで自分が成長できるという仕組みを作りたい。そしてみんなが自分を成長させなきゃと思うマインドも作りたい。そういう意味でも文化ですよね。そこに対して、本を中心にした教育、『社会人の学びについて尋ねるんだったら寺田さんに一言お願いしたいよね』と言われる存在になりたいと思っているんですよ。
僕の2015年のゴールになんて書いてあるかっていうと、地方メディアで教育の専門家としてコメントを求められる人になっている、と。地方メディアっていうのは、僕の拠点は福岡なので、全国メディアである必要がないっていう話ですけども。そこで多くの人が、あるいは発信する側の人が、『寺田さんに聞いたら間違いないよね』という風に認識してくれるということなんですね。
今学習教室をやっているのもそのためのステップという意味もあります。実は書店のプロデュースにも関わっているんですよ。老舗の本屋の再生に。そういうのも含めて、対価が全く発生しないところでいろいろな活動をしているんですけども、自分をそこで育ててもらって、2015年までに自分が目指す場所まで上っていきたいと考えています。
(聞き手:沖中幸太郎)
著書一覧『 寺田昌嗣 』