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世界中の本好きのために

武田邦彦

Profile

1943年6月3日、東京都生まれ。1966年、東京大学教養学部基礎科学科卒業後、旭化成工業(株)に入社、1986年、同社ウラン濃縮研究所長、1993年、芝浦工業大学工学部教授を経て、2002年より名古屋大学大学院教授、2007年より現職(専門分野:資源材料工学)。多摩美術大学非常勤講師。文部科学省中央教育審議会、科学技術審議会、内閣府原子力安全委員会の専門委員。環境に関する著作が高等学校現代国語の教科書に収録されている。最近では、「ホンマでっか!?TV」をはじめ、テレビ番組にも出演。これまでの「環境問題の常識」に警鐘を鳴らす。

Book Information

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武田邦彦氏: このまま読みます。本はだいたい縦型なのにパソコンは横型だから、横に90度回転させて読まなくちゃいけないというのが若干難しい。だけれど重たい本を持ち歩かないことを考えれば楽なものです。

パソコンの中に、無限に本があるようなものでしょ。だから、人に本を読ませまいとして出版社が意地悪しているのは誠に問題ですよ。そんなのはギャラがあるんだから、ギャラをどんどん出せばいいんだよ。
ギャラを出すとどうなるかというと、出版社の給料が少なくなるから、無理やり紙に印刷して重たい本を売っているわけでしょ? それをまたスキャンするのは、実に無駄なことですよね。
紙で読みたい人もいると思うから紙で売ってもいいけど、今は誰が考えたって電子の方がいいのに、わざわざ紙にしなくてもいいじゃないかと思うんですけれどね、一種の意地悪なんでしょうね。自分達だけが生き残るために。

――本屋に置いてある本は変化していますか。


武田邦彦氏: ある意味では本は全部無くなったと思っていますよ。今は書店の9割はノウハウ本ですよ。NHKとか本屋はみんな一緒なのかな? 要するに僕がいつも言っている「日本民族総家畜化政策」。何も考えさせないで、「書いてある通りやりなさい」、「放送した通り考えなさい」と進めていくと、今度は売り手の方がだんだん家畜化されてしまいます。そして、「とにかく全部一から十まで書いてください」という流れになるわけですね。

――どうしてそんな政策があるのでしょう。


武田邦彦氏: 儲かるからじゃないでしょうか。「だました方が儲かる」ということですね。人をだまして儲けるんです。やっぱり島国で、今までは割合と殿様が偉かったから、殿様のことを信じていればいいという風な民族だった。それは大変にいいことなんですけれどね。異民族が来るわけでもない、奴隷になるわけでもないから自分の頭を働かさなくていいと。農耕民族というのはもともとそうなんですよね。

一方、狩猟民族というのは、キツネなどの獲物がどう動くかということを常に考えないといけないのですが、農耕民族は稲だから定期的に植えていればいい。四面が海で天皇陛下がいて、いい殿様がいて何も考えなくてよかったんです。
中国は農耕民族だけど、地続きの大陸なので敵がいつも来るから心配しなくてはいけない。また、ヨーロッパは狩猟民族だからいつも考えている。
ということで日本だけが取り残されたと、こういうことでしょうね。安心社会のなかに。

――安心社会、いうのは家畜社会ということですか。


武田邦彦氏: 家畜社会。みんな全く意味のない人生を送っていると思うんですよね。毎日毎日同じことを繰り返している。

例えば学生が「自分には取り柄がない」と言うんですよ。「小学校からずっとあなたの取り柄はとか、あなたの長所は短所はと聞かれてきた、だけど自分には取り柄がないんですよ」と言うから、僕は人生これまで生きて、取り柄のある人なんていうのは100人に1人くらいしかいないと思う。「あなたの言う取り柄って何? 他の人より優れていることを取り柄って言うの? それとも絶対的な基準をいってるの?」って言ったら、人よりも優れていることを取り柄って言うらしいんですよ。
「世の中の人はだいたい取り柄がないんだけど、何か取り柄が必要なの?」って言ったら、「人生には取り柄が必要」だというから、「いや人生は生きているだけでいいんだよ。取り柄なんていらないんだ」と。こういう錯覚があるんですよ。それから取り柄なんかあるのかどうかもよく考えない。

イチローは、取り柄があるんでしょうね。イチローはうんと打率が高いから、大リーグに行けたわけでしょ? ダルビッシュみたいにあんな速い球投げる奴がいるから、みんな困るわけで。みんなが遅ければ、みんながピッチャーになれるるんだけれども。そんな感じでしょ。

僕はやっぱり、みんなが楽しく人間らしく過ごせた方がいいと思いますよ。その方が楽しいし、みんなもう今は追いまくられちゃってね、ただただ馬車馬のように人参ぶら下げられて走るだけという風になっているから、ちょっとまずいんじゃないかと思いますけどね。

――人々の意識としては、何から変えていくべきだと思いますか。


武田邦彦氏: もともとこういう風になったのが特殊なんですよ。例えば江戸時代の方がお金なんかないのに、ずっと遊んでいるわけですよね。それは何かっていったら、頭のいいやつ、NHK、東大の教授が一番よくないんだけど、頭がいいからいかにして自分がサボって人にやらせるかと、こういうことを考えたあげく全部がそれにひっかかっちゃったということでしょうね。

だから、教育を良くすることが一番大切だと思いますけれどね。
国力というのは個人の力の集積が国力にならなきゃいけないんですけど。国のためにっていうのではなくて、個人個人が強くなれば、イチローになれば、日本は良くなると。

――昨年は1年に18冊の本を出されています。そういった引き出しはどのようにつくられるのですか。


武田邦彦氏: 知識というのは2通りあるんです。一番わかりやすいのは英語を喋ろうとするとします。「私は犬だ」と言うとすると、辞書を引いたらアイアムアドッグと言えるのか、辞書を見ないでアイアムアドッグと言えるかっていう差があるわけですよ。
普通の人は辞書を引くことができればもういいと思っているわけですよ。僕はアイアムアドッグと空で言えなければいけないと思っているわけですよ。それが知識だと思っているんです。ですから自分に知識を付けるため、つまり常にどこででも出る。
例えば僕は、やしきたかじんさんの番組に出ていたんですけれど、あの番組でテーマを、今日何を聞かれるかを聞かないんですよ。今日行ったら環境のことなのか、エネルギーのことなのか、文部科学大臣になってくれというのか。そういう時があるんですよ、番組で。それを聞かないで行くんですよ。
何で聞かないで行くかというと、自分の言うべきことというのは調べちゃいけないんですよね。自分の知識を話さなくちゃいけないからね。そのためには自分の物になっている必要があるんですよ。自分の物になっていれば常に引き出せるんですよ。
だからその状態にするためにはどうしたらいいかというと、書いて喋ってそれで自分の頭に何回か入れて、そして出せるまでになっておく。
喋れるようにしておけば、あたかも人から見ると引き出しが多いように見えるということです。

基本的には本というのは、構成は3日間くらいで出来る。でも、僕の書き方は、「わからない」というところがあるでしょ。調べなきゃわからない。そこはダミーを入れておくんですよ。ダーッと原稿だけ先に書いていって、後でそこだけ調べる。

『ホンマでっか!?TV』でフジテレビが困っているのは、パッと物事を言える人がいないこと。本当に、そういう人がすごい少ないんですよ。あのテレビの収録現場というのは、それがいるんですよ。それは記憶力ではなくて、知識に対する考え方だけなんです。だから僕はブログを書き、喋り、頭に入れておく。
僕は大学の講義に全然何も持っていかないんですよ。僕の担当は物理なんですけど、自分の頭に入っているもの以外は、学生に教えないという基本政策をとっています。

本は見ず、ただこうやって黒板にすらすらと書いていくだけですよ。学生によっては「えーっ!この先生偉いな」って。でも、別に偉くない。これが、僕のやり方なんですよ。だって自分の覚えていること以外のことを教えるというのは変な話だから。でも時々間違えるんですよ、そうしたら「いやちょっとここ、この前間違えてた」って直せばいいだけのことですからね。

人というのは、知識というのは、そういうのはあるべきだと思うんですよね。それは別に記憶力とかそういうのではないんですよ。「いやあ、武田さん記憶力いいですね」と言われますけど、普段から英語と同じように喋れるようになっていないといけないんです。

一番いいのは書くことですね。書くとやっぱり覚えるというかね、書いて喋って10回くらいやっているうちにできるようになりますからね。

――お仕事はされている場所は普段から選ばれないですか。固定の仕事場みたいなのはありますか。


武田邦彦氏: 全然。どこでも、こういう所でもいいんです。固定の仕事場もないですし、研究室もありません。

著書一覧『 武田邦彦

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