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世界中の本好きのために

中園直樹

Profile

1974年大阪生まれ、宮崎育ち。小説家、詩人。小学校3年から大学2年までいじめられ続け、何度も自殺を考えたことから、いじめや自殺をテーマとしている。教育実習で受け持った生徒のほとんどが、17歳から温め続けた処女作『オルゴール』に感動したことから、作家への道を本格的に決意する。現在はカナダの学生2人から始まり、75ヶ国が参加している、日本で知られていない世界的いじめ反対運動『ピンクシャツ・デー』の日本での普及に努めている。
公式HP「詩と小説の小箱」http://nakazono.nanzo.net/
Twitter : @naoki_nakazono

Book Information

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――ピンクシャツ・デーですか。


中園直樹氏: そうそう。それを日本に広め定着させる事。この2つの手段を使っているわけです。で、その方法の1つとして、僕が最初からやっていた活字があります。活字の1番の長所は、長く残るという事ですよね。もう1つがインターネット。この二つの方法でやっている。要するに『いじめによって自殺する子を減らす』ために、著書とピンクシャツ・デーでという2つの手段を、活字とインターネットという2つの方法でやっている(笑)。かぶっているわけですけど、2つとも同じ1つの想いから出ているので、融合させているわけですね。例えばこの『オルゴール』に関して言うと、15刷からは著者プロフィールに2011年からピンクシャツ・デーを広めていますよってことを書いている。詩集は第一刷には無くて二刷からですけど、あとがきにかなり詳しく入れているんですよ。ピンクシャツ・デーの説明を(笑)

もともと作家とか詩人として活動しているので、だからホームページとかブログやツイッターに人が見に来てくれるわけですよ。そしたら、そこにはピンクシャツ・デーの紹介がされてる。相乗効果になりますよね。

――そうですね。


中園直樹氏: 僕は小学校から大学までいじめられていまして、何度も自殺を考えたんですよね。で、小説からいじめ対策本まで手当たり次第に読んだんですよ。死ぬほど助けてもらいたかったんで。小説は人生を描く芸術と言われている。ならば、そこに、僕を助けてくれる物があるに違いないと思っていたんです。でも無かったんですよ。

――無かったですか。


中園直樹氏: いじめって人類どころの騒ぎじゃなくて、群れる動物にはほぼある本能なわけです。動物が群れを強くするためには2つの方法があるんですよ。1つは弱い個体をはじき出して強い個体だけにすれば、群れは当然強くなりますよね。もう1つは、とにかく数を増やす。群れはでかくて強くなるわけだから『はじき出すなんてとんでもない、全部まとまろうぜ』という。はじき出す方法はいじめという方向性となって、まとまろうという方は助け合いという方向性となる。この2つの本能は群れる動物には備わっているはずなんですよ。

――なるほど。


中園直樹氏: にも関わらず、人生を描く芸術でそういう事について教えてくれないわけですよ。やらなきゃダメじゃんっていう。僕は文学を信じている人間なので、無ければ自分で作らなければいけない、と思って。自分で解決して、きれいごとじゃなくてちゃんと役に立つ本を書こうと思ったわけですね。いじめられる子って基本的に真面目でおとなしい子が多いじゃないですか?真面目でおとなしい子は本に行くんですよね。

――そうですね。


中園直樹氏: それを考えると小説という手段は、現場の子に届けるためにはとても有効ではないかと。小説にして残せば、僕が死んだ後もたくさんの子ども達を助けてくれるはずだと。そういう訳で僕は小説を選んだわけです。今の話ってアマチュアの時に考えていた話なんですけど、どんだけ大言壮語なアマチュアだって感じなんですけど(笑)。やっぱり効果が無い作品じゃ意味がないわけですよ。効果がなければ、僕を助けてくれなかった今までの本と一緒な訳です。助けないどころか、僕を地獄の底へ突き落とそうとしたいじめ対策本と変わらなくなっちゃうわけですよ。

――例えばそれはどんな本だったんですか。


中園直樹氏: いじめは、いじられている方に原因があるから君が真面目な子にならなきゃダメとか。『ちょっと待て、真面目だからいじめられるんですけど!』みたいな。でも僕は真面目な子だったんで、それを実際に信じてやっちゃったりしていたわけですよ。そういう本が沢山あるわけじゃないですか。でもそれでは意味がないわけですよ。だからちゃんと役に立つ本を作らなきゃいけないと。

役に立つ本を書こうとした時にハードルを3つ越えなければいけなかったんです。1つがいじめという単語は題名とか書き出しに絶対に使っちゃいけない。

――なぜでしょう。


中園直樹氏: 何でかっていうと、それでは今まで僕を絶望させて来たような、いじめと題名についている何の役にも立たない本や、僕を余計にいじめられる人間に仕立て上げようとした本と変わらなくなってしまう。僕もそうなんですけど、いじめとタイトルについている時点で大抵の子は絶望して拒否反応を起こすはずなんですね。

まず、いじめている子は馬鹿にして読んでくれない。いじめられている子はつらいから読めない。見て見ぬふりをしている子は『自分が友達を助けられていない。でも助けようとしたら自分がやられるし』という後ろめたさで読めないんですよ。つまり、彼らはいじめについての本を手に取りたくないわけです。だから、そんな彼らに読んでもらうためにはいじめという単語は表に出るところへは絶対に使えない、という事ですね。

ハードルの2つ目、こういった題材の本は、ものすごい深刻なわけですよ。ここへ並んでいる本だけでブラックホールができますよ(笑)。それぐらい深刻ですよ。それぐらい重くなっちゃうわけです。で、考えてみてくださいよ。自分が若かった頃に、そんなブラックホールほど重いものって読むのイヤだったでしょ?(笑)。

自分がいじめられてなくても、たいていの子はそういう物は嫌いなわけですよ。特に加害者はね。でも、現場の子に読んでもらえないと意味がないわけですよ。困りましたね。全く何も書いたことのない、素人の17歳の僕がこのハードルにぶつかったわけです。でもそれをクリアしなければいけない。

で、僕は、絵を描いていたんですけど、絵を描いている時に解決策が見つかりました。美しいだけの絵って、あまり人気が無いんですね。じゃあ、どういう絵が人気があるかっていうと美しさの中に影のある絵とか、美しさの中に深みのある絵っていうのが人気があるんですよ。で、この題材はブラックホールほど重い。『ちょっと待て、もともと重みあるじゃん』と思ったわけです。この重みに美しさをプラスして、美しい方がメインですよというふうに見せかけられれば、読んでもらえるだろう!と(笑)。で、2つ目のハードルもクリアできたわけです。この2つのハードルをクリアできたとして、もう1つのハードル、最重要課題として、彼らの心に届くか否か。届かなければ出す意味がない。僕は書こうと思った時点で、この3つのハードルにぶつかったわけです。

1と2は作品づくりの段階でクリアしなければいけないじゃないですか。どうクリアしたかっていうと、1はちょっと注意すればなんとかなる。2は、この重さをフォローできるほどの美しいモチーフってなぁに?って考えたんですけど、簡単に見つかる訳ないだろ、っていう話なんですよね(笑)。僕は17歳で書こうと思ったんですけど、実際に書けたのは大学2年の時です。たまたま買い物に行っていた時にオルゴール売り場を通り過ぎて、これだと思った。

著書一覧『 中園直樹

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