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世界中の本好きのために

糸川洋

Profile

1949年、東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、医療器械メーカー勤務、マニュアルライターなどを経て翻訳者に。著作『死者は語る』、訳書に『僕らは星のかけら』、『ポアンカレ予想を解いた数学者』、『数学のおもちゃ箱』、『マーカス・チャウンの太陽系』(iPadアプリ)など物理学や数学に関する訳本が多数あることで知られる。自著絶版作品であった『死者は語る~リーディングの奇跡~』を2012年4月に電子書籍アプリ『死者は語る』としてApp Storeから自らリリース。大ヒットアプリ『マーカス・チャウンの太陽系図鑑』にも出てくる小惑星イトカワ。その由来になった糸川英夫博士は、氏の伯父に当たる。

Book Information

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――リーディングをされるジョージ・アンダーソン自身も自分の能力が絶対なものではない、という認識をお持ちなんですよね。


糸川洋氏: 彼はごく常識人なんですけど、どうしても占いみたいな感じで予言者として捉える人がいます。アドバイスを求めてくるんですね。まあ、基本的に『自分の事はあなたが自分で考えて決めなさい。自分で決めなきゃ人生の意味がないでしょ』と言っているんですがね。東日本大震災の直前に封切られたクリント・イーストウッド監督の映画『ヒアアフター』。冒頭のシーンがタイの津波で、上映が中止になったあの映画の中でマット・デイモンが霊媒の役をやって、まったくジョージそっくり。ああ、あれジョージのリーディングを参考にしたなと思って。ジョージとまったく同じようにこうやって…。彼(ジョージ)もね、一時ノイローゼになって。お金の事でもめて、もうこんなことやりたくないって、しばらく鬱状態になっちゃったんだよね。

――ジョージさんとは、単なる翻訳者、通訳と霊能者との関係を超えた深いつながりというか。確かお二人ともリーディングを受けられていますよね。


糸川洋氏: うん。リーディングに関係なく2回ぐらい日本に来ているしね。その時はリーディングも何もしないで、プライベートで遊びましたね。

――話が楽しすぎて、引きこまれてしまいました。それではこちらの質問もさせて頂きます。翻訳者というお仕事柄、数多くの書籍を読まれているとは思いますが、今どんな本読まれていますか。


糸川洋氏: まあ、小説もあるし科学物もあるし、本当に色々ですね。

――様々なジャンルの本を読まれるんですね。だいたい月にどれくらい読まれますか。


糸川洋氏: それがね、平行して読むんですよね。例えばキンドルでね。今平行して読んでいるのが、キンドルだけでも5冊ぐらい。こういう癖があるのね。一方で日本語の本も読んでいるし、だから月に何冊っていうのは難しいですね。

――1冊終わって次に、というのではなくて同時平行で読まれるんですね。


――同時に何冊か読む方と、一冊読破してまた一冊と…。色んな方がいらっしゃいますね。おそらく興味が多方面にわたっていらっしゃるんでしょうね。


糸川洋氏: そうそう。のってくるとそればっかりガーっと読むけど、また別の本が気になったりするんです。だから、電子書籍がない昔の時代っていうのは大変なわけですよ、何冊も持っていくのは。どこかに出掛ける時に本は必須なわけです。本がないと、『あぁ~っ』とイライラしてくる。本は持って行くんだけど、選ぶときにどれを持っていこうかな、これ面白いけど、これも気になる。そうすると3冊ぐらいになってしまって重いなぁとかね。それが電子書籍だと、『あぁ、楽になったなあ』と感じるわけです。だからもの凄く助かっていますよ、電子書籍の存在は。

――本を持ち歩くというよりも、本棚を持ち歩けるに等しいですよね。ただ、人によっては大事に持っていた紙の本も大切なものだと思います。特別な装丁を施された本だとか、思い入れのある本っていうのは別だと思うんですけども、単純に読むための本に関して電子化される事に、特に抵抗感はありませんか。


糸川洋氏: 何にもないです(笑)

糸川氏奥様 : ホコリが付かないからいいのよね。

――電子書籍の利用頻度、高そうですね。


糸川洋氏: そうですね。Kindle以前もWebで本を読んだことはあるけど、Kindleを買ってから、『こんな便利な物があるんだ』と思いましたね。それに比べて日本の電子書籍の事情を見ると、インターフェイスは違う、端末を替えると急にアクセス出来なくなる、前に買った書籍が見られなくなる、あれにもの凄く違和感を覚えたんです。

――自分の所有物として購入した本が、端末が違ったら読めないっていうのは困りますよね。


糸川洋氏: Kindle の考え方は、クラウドに置いておいて、あなたのを預かっておきますよと、自由に見てね、という感じですよね。一方、日本の場合はというと、せいぜい何台の端末までは許すとかですよね。みんなガラパゴスの中のガラパゴスなんですよ。ミニガラパゴス(笑)。ところで、『ものづくり革命』という昔僕が訳した本の中で、ビット&アトム研究所と『ファブラブ』について書かれたものがあります。電子の世界とフィジカルの世界を両方結びつけるべきだっていう考えで。安い工作機械を使って、まあ研究所で買える程度の物を使って学生達を集めて学生達が自分の使いたいものを作ると。自分の手で。例えば、ストレスがたまったときに、思いっきり袋の中にワーっと罵詈雑言をはき出してそれを録音するっていう変な人もいるし、何をやるかはとにかく自由なんですよね。マサチューセッツ工科大学だから、ほとんど工学部の技術系の人が受講しに来ると思ったら、あそこも色々なアートや文科系の人達もいるんですね。そういう人たちが個人的な欲求を持っているけど、それを実現できるものがない。本当に欲しい者を自分で作れるのだったら作りたい。というような趣旨の本なんですけど。日本でもファブラブっていう動きが出てきて、それが最近になって脚光を浴びているらしい。鎌倉で今、慶応の先生が中心になってそれを主催していると。で、そこのいわば教科書みたいになっているらしいんです。その『ものづくり革命』が。それがわずか6年前だけどもう絶版になっちゃっているんです。学術的には貴重な本でも、たいして売れない本、分母が少ない本っていうのは、そうやって絶版の憂き目にあっちゃう訳ですよ。そこを何とか突破したい。電子化したいと。紙の書籍で復刊するとなると、何百万円かかるか知らないけど、大変なことで、何千部かの売上が見込めないと踏み切れないでしょ?電子化すれば、コストがべらぼうに安くなるわけですよね。電子化する場合、執筆当時書いたテキストがデータとして残っていても、やっぱり最後に出版社の赤(修正)が入っていますから、突き合わせをやらなければいけないですよね。だったら本をスキャンするのがはやいんじゃないかと思うわけです。復刻リクエストみたいなものがあるでしょ。

――そういったところでも出版社の目利き、が活躍しそうですね。




糸川洋氏: やっぱりプロとしての目ですよね。編集者次第なんですけど、鋭い視点から間違いを指摘してくれるし、いい方向に持っていってくれる。これはやっぱり必要ですね。それから、読み手からすると出版社に対する信用ってありますよね。誰か無名の人が書いた物よりも、例えば『講談社から出ているから、文藝春秋から出ているから』購入すると。それはある意味お墨付きであり、ちゃんとした関門をくぐってきた一定の品質を保証している書籍なんだという証明の代わりのようなもの、品質保証者みたいな役割じゃないかと僕は思うんだけどね。

――プロの目を持って選定する事というのがますます付加価値として高められそうですね。今お話頂いたような電子書籍を取り巻く現状ですが、今後どのようなことを望まれていますか。


糸川洋氏: まあ、日本の電子書籍に関して言えば、『競争』ではないグループ間の『争い』はやめてほしい。それは何も生まないし。結局は日本の液晶テレビが衰退したのも、同じような物をちょっとずつ差別化して、お互いに競争して潰し合っちゃった結果だと思うんです。そういう事をやらないで、何故もっと広い視野に立って、全出版者が共通でクラウドを持って管理するというようなシステムを作れないの?と思うわけです。だから僕は今Kindleの日本語版とかを期待しているんだけど、いつまでたっても実現しない。これは相当抵抗があるんじゃないだろうかと心配しています。

著書一覧『 糸川洋

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