BOOKSCAN(ブックスキャン) 本・蔵書電子書籍化サービス - 大和印刷

世界中の本好きのために

奥田弘美

Profile

平成4年山口大学医学部卒。精神科医・産業医として20か所の企業で働く人の心身のケアを行う。またストレスケアやダイエットなどをテーマに精力的に執筆し、ベストセラーとなった「何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから」(扶桑社)のほか、「自分の心をお世話しよう~子供と育てるセルフケアの心~」(ぎょうせい)など著書は20冊を超える。 近著『一流の人は、なぜ眠りが深いのか?』(三笠書房)は、わかりやすく実践しやすい熟睡法と好評。2月初旬に「精神科医の脳ダイエット」(主婦の友社)を出版予定。 FM世田谷「三浦和人とドクター弘美の心デトックスナイト」ではパーソナリティーを務めている。

Book Information

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

心の処方箋を届ける



精神科医、作家の奥田弘美さん。精神科医としてクリニックでの診察に従事するほか、20社以上の嘱託産業医として、1万人以上のビジネスパーソンのメンタルヘルスケアや、コミュニケーション改善のための医学的アドバイスをされています。これまでに直面した医療現場での経験を生かし、さまざまな場面で“心の処方箋”を発信される奥田さん。「睡眠の質」を切り口に書かれた最新刊『一流の人はなぜ眠りが深いのか』のお話とともに、精神科医としての活動の原点と想いを伺ってきました。

心に寄り添うケアの実践


"

奥田弘美氏: 私は、精神科医としてクリニックでの診療に従事するほか、現在約20社の嘱託産業医として、そこで働く人たちの快適な職場環境を、医学的アドバイスでサポートしています。業種はさまざまですが、毎月のべ100名以上のビジネスパーソンのメンタルや健康、人間関係やキャリアなど多岐にわたる相談を受けています。これまで、さまざまな患者の人生に向き合ってきた自身の経験を診療に生かし、また本や雑誌、さまざまなメディアで発信しています。

――ラジオでも、発信されています。


奥田弘美氏: FM世田谷の『三浦和人とドクター弘美の心デトックスナイト』はで、毎週金曜23:30からの30分間、シンガーソングライターの三浦和人さんと一緒に、心のイライラや疲れを音楽とメッセージで洗い流してもらう番組をお届けしています。

もともと書くことが好きだった特性と、様々な医療現場に従事した経験が、本に限らずそうしたメディアも含め、今、色々な形で結びついています。

理系一家で育った文学少女



奥田弘美氏: 父が医者で母親は薬剤師という家庭で育った私ですが、完全な文系人間でした。本を読むのが大好きで、小学生の頃は、図書館の本を1日10冊借りては読みふけっているような子どもでした。

世界名作シリーズや冒険推理小説まで、なんでも手に取っていました。特にシャーロック・ホームズは年ごろの女の子がアイドルに憧れるような感じで読んでいましたね。そのうち私の作文が、まちの作品展に入賞するようになり、その嬉しさから「書く」ことが好きになりました。

一方で、算数は大の苦手で、通常ならそのまま文系コースに進むはずでした。ところが、薬剤師だった母から、「女性も手に職を」と常々言われており、女性が活躍できる資格職業が薬剤師や医者という身近な職種しか思い浮かばなかったために、苦手な理数系に進んでしまいました。

――自立のために理系の世界に。


奥田弘美氏: 好き嫌いではなく損得で進んだ世界は全然面白くなくて……それでもあとには引けず、なるべく文系の匂いがする(と思っていた)心理学領域も扱う医学部に進むことにしました。大学入試の時でも数学はネックで、最後の方の問題は鉛筆転がして稼いだ点でした。あとは得意な文系科目でカバーし、なんとか滑り込みました。

己に向き合うことで得た新たな道



奥田弘美氏: しかし医学部はやはり理系中心の世界で苦手意識の消えない私でしたが、医者になる以上は人の役に立ちたいと思い、大学卒業後は好きだった子どもの健康に携われる小児科に進みました。しかしそこから、厳しい医療の現場を知ることになりました。
小児科では大好きな子どもたちが難病で亡くなっていく姿に接し、次に進んだ神経内科では、植物状態になった患者さんを機械で延命していくという納得できない医療に携わり、さらにその反動で進んだ尊厳死のホスピスでは、人生の後悔を引きずりながら亡くなっていく患者さんたちに多数出会いました。

――様々な医療の現場を経験されます。


奥田弘美氏: そうして徐々に進むべき道が見えてきました。特にホスピスでの経験は、その後の私の生き方を考えさせられるものとなりました。他人である私がどれだけ寄り添っても、患者さんの人生の後悔を和らげることはできませんでした。逆に穏やかに満足して亡くなっていく方はすべて異口同音に「自分の人生を思う存分楽しんで生きた」と話されました。こうしたことから「みずからが、限りある人生を自覚して、常に己と向き合って自己実現する人生を送らなければ」と考えるようになりました。



その後出産のため遠方だったホスピスに通えなくなり退職。出産後は地元奈良県内の精神科病院にアルバイトに行くうち、精神科の先生に誘われて精神科医に転向することを決心し心のケアをする仕事を始めたのです。そこでコミュニケーション力が非常に重要になったため、トレーニングの一環としてコーチングを学ぶようになりました。

自分自身に対してもコーチングを行っているうちに、自分の「書く」という特性と、医師としての経験をつなげることで、人の役立てる発信ができるのではと考えるようになりました。

セルフコーチングしながら行動しまくって何とか最初の本を出すことができ、その後は夫の仕事の関係で東京に移ってきました。ご縁があって出版エージェントの鬼塚さんと知遇を得て、アップルシード・エージェンシーの所属作家になってからは、定期的に本を出版できるようになり、そのことで雑誌やラジオなどのメディアに出演する機会も増え、ますます発信の頻度も増えていきました。そうして今の活動に至ります。

医療と社会の橋渡し役として

――最新刊『一流の人は、なぜ眠りが深いのか?』では、睡眠の質という観点から提言されています。


奥田弘美氏: 今回は、仕事のパフォーマンスをさらに高める「熟睡法」について書きました。一流と呼ばれる人は、例外なく「眠りの質が高く、疲労回復が上手」です。これまで1万人を超えるビジネスパーソンと向き合う中で、睡眠の質がいかに仕事の効率と生産性に影響を与えるか、ひいては健康や人生全般の幸せも左右するかを痛感してきました。

産業医として多くの人々と接する中で、とりわけ、30〜50代のビジネスパーソンの不眠が深刻だと感じています。「眠りたいのに、なかなか寝つけない」、「夜中に突然目が覚めてしまう」、「グッスリ眠ったはずなのに、朝起きるとだるい」などなど彼ら彼女らに共通する点は、夜になっても脳と体が「睡眠モード」に切り替わらないことです。これは「過緊張」という脳と体の緊張が、自宅に帰ってからも続いているのが原因です。

バリバリの「働き世代」に不眠が蔓延して、過労を経て鬱になる――私自身はこの状態を「過労鬱」と呼んでいますが――そうなると完全に回復するまでかなりの日数を要してしまいます。その間に、抱えていたプロジェクトも離れ、仕事も立ち行かなくなくなる。それを防ぐためにも良質な睡眠は欠かせません。

働く人が過緊張をほぐし、安眠へ導くためには、実は夜だけではなく朝からの過ごし方が必要です。例えば、朝は素早く活動モードにスイッチONして体温を上げ、正しい朝食を食べて活動エネルギーを高めたり、昼は仕事中に上手に運動することで頭と脳の疲労のバランスをとったり、夜は意識的にスイッチOFFするためにIT機器やアルコールとの付き合い方を工夫して緩める時間を積極的につくったり・・・といったスキルを心がけるだけで、忙しい方でも熟睡が可能です。本書ではこうしたすぐにでも取りかかれる「熟睡メソッド」を紹介しています。

――ちょっとした行動で変えることができるのですね。


奥田弘美氏: いつも「読んで役に立つか、すぐ実践できるか」という視点で書いています。ですから内容に満足して終わりにするのではなく、いかに改善のための行動に移せるか、人々の不安や悩みの解消に役立てることができるか。そこを念頭に置いています。専門の医療知識を、一般の社会に届ける「かけ橋」になることが、私の存在理由であり役割だと思っています。困っている人に、分かりにくいと思われている知識をやさしくお伝えする。そうして、意識と行動が改善されれば、医者としても作家としてもこれほどの喜びはありません。
 
精神科医や産業医としてお会いできる方には限りがあります。自分が経験して役立つと思ったことを、もっと皆さんに広めたい。これからも精神科医、産業医としての仕事を主軸に、こうした心身のケア法だけではなく、片付けストレス解消法、脳ダイエット法といったユニークな切り口で心の処方箋となる情報を執筆や雑誌・ラジオなどのメディアから発信していきたいと思います。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 奥田弘美

この著者のタグ: 『コミュニケーション』 『数学』 『ライター』 『心理学』 『生き方』 『アドバイス』 『医師』 『ビジネス』 『作家』 『子ども』 『メディア』 『理系』 『文系』 『人生』 『雑誌』 『エネルギー』 『世代』 『医者』 『アルバイト』 『キャリア』 『現場』 『書き方』 『算数』 『医学部』 『コーチング』 『きっかけ』 『こころ』 『睡眠』 『うつ』

著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
ページトップに戻る