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世界中の本好きのために

キャメル・ヤマモト

Profile

学芸大学付属高校卒、東京大学法学部卒、青山大学大学院国際政経学科修士、オックスフォード大学セントアントニーカレッジ・シニアアソシエイトメンバー。 外務省(アラビスト)、外資系コンサルティング2社を経て、現職。 現在は主に日本企業のグローバル化を組織・人材面で支援。 著書に『答えは、箱から逃げ出すこと』(日経BP社)、『「世界水準」の思考法』, 『世界標準の仕事術』(日本実業出版社)、『グローバルリーダー開発シナリオ』(日本経済新聞社)など。

Book Information

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30代で初めての就活 さらなる学びで切り拓く



キャメル・ヤマモト氏: ところが、日本に戻ってからは、今だったらおそらく鬱症状といわれるような状態になっていたのでしょうか、官僚の仕事とはまったく水があわず、仕事と職場が辛くなり、ギブアップするように外務省を辞めます。大学卒業してすぐ外務省だったので、このとき就職活動を初めてやりました。こういう面ではバカみたいに楽観的なのですが、実際には、ビジネスの実績もない10年選手を雇ってくれるところは皆無で、厳しいものでした。
ある日、いろいろ回った後でしたが、一通だけ履歴書が残っていたので、新聞に求人募集が出ていた会社に、直接履歴書を持って行きました。郵送が普通なのに自分でもっていったので受付嬢が驚いていました。
唯一、その会社だけが採用してくれました。あとで聞いたら、当時、拡張戦略、成長戦略路線で、来るものは拒まず採用していたようでした(笑)。ここでは職務評価や目標管理制度を顧客に導入してもらう仕事でしたが、実際に目標設定する場面や、チームごとのグループディスカッションにぼくも入っていました。ところが人事や目標管理といっても、結局事業の話になるので、事業のことを分かっていないと話になりません。

それで、ビジネスや経営のことをもう一度勉強しようと思い、青山学院大学大学院で学ぶことにしました。当時30代の後半でしたが、新たな挑戦でした。その後、コンサルティングを提供していた会社の方に紹介してもらい、別の外資系のコンサルティング企業に転職しました。しばらく勤務した後、運よく、米国への駐在者という形で妻と小学生の子どもを連れて、シリコンバレーに行くことになりました。シリコンバレーは起業の雰囲気で溢れており、ワークショップやセミナーなど交流する機会がたくさんあったので、そこに顔を出していました。スタンフォード大学の社会人用の講座で、クリエイティビティや、インプロビゼーション(即興の劇)、あと経営に近い講座を片っ端から受講していました。

経験と知恵を本で伝える



キャメル・ヤマモト氏: ある日、米国から日本に出張で戻っていたとき、その2番目の外資系コンサルティング企業の日本法人の社長の淡輪敬三さんから、今まで学んだことを本にまとめてみてはどうか、企業向けよりも教育について書いたみたら、と勧められました。もともと企業におけるグローバル人材開発のモデルのようなものを自分用に書いていたので、それを子ども向けに書き換えて、いくつか出版社にアプローチしましたが相手にされず。そのしばらく前に、『9つの性格』というベストセラーを出した鈴木秀子さんと知り合う機会があったのですが、ここで鈴木先生のことを思い出し、出版社を紹介していただきました。それが幻冬舎で、編集長の福島さんと鈴木さんというベストセラーメーカーのコンビにあうことができて、彼らと子供の教育向けの本を出すラインで打ち合わせをしました。その際、子供用の本とは関係ないのですが、ぼくの書きたい本リストのようなメモを何気なく出しちゃいました。その時、福島さんたちの目が、『稼ぐ人、安い人、余る人』というタイトルのところで止まりました。それで方向性が逆転。子供の本ではなくて、ビジネスマン向けに「稼ぐ人、安い人、余る人」を出すことになってしまいました。それが発売後すぐにベストセラーになったんです。キャメル・ヤマモトという名前もその本と共にデビューしました。

その後『グローバル人材マネジメント論』、『グローバルリーダー開発シナリオ』、『世界で稼ぐ人 中国に使われる人 日本でくすぶる人』、『「世界標準」の仕事術』、『答えは、箱から逃げ出すこと』など、おかげさまで色々な出版社から書かせて頂いています。『キャメル・ヤマモトの「体感知」の技法』という本は、お気に入りで当時、高校生の娘に宛てて書いた手紙が基になっています。その本が縁で、グロービスでマーケティングの人気講師の松林さんと知り合います。心置きなく体感レベルで会話できる友人です、たぶん。そのバージョンアップ版として、私の内側から出てくる思考や経験を基に『「世界水準」の思考法』を書いています。書きたいテーマがふっと浮かんでくるので、それに沿って書いています。



――「本」は色んな情報を運んでくれます。


キャメル・ヤマモト氏: 素晴らしい存在だと思います。ここ最近は数学者・哲学者のホワイトヘッドの哲学書を、できるだけ原著で読みたいと思って、英語で読んでいます。形而上学の話で、読み出したらなかなか進みません。相対性理論とか、量子論とか、科学の基礎が変わる時に、一番根本的なところを哲学的に解明しようとしたり、宗教や歴史や文明についても解き明かそうとしているようなものすごく欲張った本ですが、徐々に読み進めています。自分が著者として本に何か書いてから、ホワイトヘッドを読み返すと、自分の考えだと思っていたことが、彼の書いていることのごく一部のいいかえにすぎないと、何度も気づかされています。書かないと読めない、読めないと書けない、と気づくとき、いいようもなく満たされます。

イギリスの雑誌『エコノミスト』を30年にわたり購読していますが、こちらは読むのは紙ですが、記事のサーチは、デジタルでしています。発信力としても、電子媒体には大きな可能性があると思っています。ぼくたちが取り組んでいる問題を電子媒体のような形で共有したり、英語で容易に発信できたりと可能性は無限です。紙でもデジタルでも、その特性に合わせて、日本で先行して解決した問題だったり、今まで得てきた手法を体系化して、これからも発信し続けたいと思います。自分の中に世界をくぐらせ、世界の中に自分をくぐらせて、ひっかかってきたことを、これからも書いていきます。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 キャメル・ヤマモト

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