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世界中の本好きのために

中原圭介

Profile

1970年、茨城県生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員、「著者大学」の教授も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。著者多数。

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読書で、自分の“畑”を耕そう



経営・金融のコンサルティングを行なうアセットベストパートナーズ代表の中原圭介さん。常に“誰のための”を大切にされる中原さんの仕事観とは。歴史的考察の素養を培った読書の効用、知識の“畑”の耕し方を伺ってきました。

本質を見極めて


――『未来予測の超プロが教える 本質を見極める勉強法』は、これまでのご著書とはだいぶ内容が違います。


中原圭介氏: この本は、本質を見極める力を身につけるために、どういう取り組み方をしたらいいのかを書いた勉強法の本です。私が初めて書いた勉強法の本ともいえます。グローバル社会においては、英語力があるに越したことはないのですが、必ずしもそれが求められているわけではありません。私たちがもっとも求められるのは、幅広い視野を持つことによって、物事の本質を見極める力を身につけることなのです。

昨今、英語は堪能であるのに、基本的な物事の考え方ができない若者が増えているように思われます。これは、教育現場が英語を過剰に重視する教育を行ったことによる副作用ではないでしょうか。グローバル企業は、たとえ英語力が弱かったとしても、物事の本質を見極められる人を雇いたいと考えるでしょう。というのも、本質を見極めることができるということは、当然ながら、時代、社会、経済などの趨勢を先読みすることにも優れているはずだからです。

――経営コンサルタント、経済アナリストとして、その本質を見極め発信されています。


中原圭介氏: 本来であれば、経営コンサルタントと経済アナリストでは、仕事の内容は明確に住み分けがなされています。経営コンサルタントとは、企業などの経営についてアドバイスをする職業であるのに対して、経済アナリストとは、マスメディアなどで経済の先行きを自らの分析に基づいて述べることを生業としているからです。ところが、私から言わせれば、ビジネスと経済動向は複雑に絡み合っているので、経営コンサルタントと経済アナリストの二つの仕事をそれぞれ切り離して考えるのは現実的に不可能であると思うのです。

私の場合は「経営と経済は一体である」と、この仕事を始める前から確信していました。だから、経営コンサルタントとして企業にアドバイスをするときには、経済アナリストとしての知見も含めてアドバイスをするようにしていますし、経済アナリストとして経済の先行きを述べるときには、企業経営の現場の視点を分析に取り入れるようにしています。

グローバル経済や情報技術の著しい発展によって、経済やビジネスのサイクルが非常に短く、かつ速くなってきています。20世紀には20~30年かけて起きた大きな経済的変化が、今では5年くらいの間隔で起こってしまっています。

そのような状況の中では、「経営」や「経済」といった狭いジャンルの知識だけで物事を考えるのではなく、それぞれのジャンルの知識を組み合わせて、判断する力を身につけていく必要性が増しているのです。その結果として、ビジネスにおいても経済においても、精度の高い予測が可能となっていくわけです。

――中原さんの経済予測は、よく当たると言われています。


中原圭介氏: 私は経済予測をするときに、主に四つのポイントを意識しています。一つめは、「物事の本質とは何か」ということを、突き詰めて考えるようにしていることです。この点について、ここ数年で特に気づかされるのは、経済を一生懸命に学んだ識者のなかには、経済の本質を見抜くという以前に、物事の道理や本質を踏み外して考えている方々が多いということです。それでは、経済の予測において精緻性を保てるわけがないわけです。

二つめは、「歴史の教訓をどのように生かすのか」ということです。歴史学においては、過去に起こった出来事を単なる知識としてだけではなく、その出来事が起こった理由や時代背景、条件、状況、その当時の人々の価値観、その出来事の与える影響などを分析することが、とても重要とされています。ところが、世界的に著名な経済学者であっても、過去の歴史と現在の出来事の比較がまったくできていないのです。「あのとき、この政策で成功した」と単純に歴史的な出来事を並べてその真似をするだけなら、誰でもできることです。

三つめは、自然科学的な発想を取り入れながら、経済を見るようにしていることです。経営コンサルタントや経済アナリストを生業とするのであれば、経営学や経済学に精通していれば大方は問題ないのではないかと、多くの方々が思われるかもしれません。ところが、私が実際にアドバイスをする場合は、社会科学系の学問の発想をすることよりも、人文科学系や自然科学系の学問の発想をしていることのほうがずっと多いのです。

最後は、経営者の視点で経済を見るようにしていることです。現実の経済は、経済学の理論どおりにはなかなか動いてくれないものです。なぜなら、経済は主にビジネスの現場が動かしているのであって、企業の経営者は合理的でない経済の理論など当てにはしていないからです。実際の経済はビジネスの世界で動いているのであり、ビジネスのルールや前提が変われば、当然のところ経済の中身も変わっていきます。経済は生き物のように、刻一刻と変化しています。それに伴って、企業の経営も確実に変化してきています。

だから私は、経済学者と呼ばれる先生たちは経済学という狭いフィールドに閉じこもることなく、ビジネスの現場や企業経営の現場を積極的に学ぶ必要があるのではないかと考えています。

――過去に出版された『シェール革命後の世界勢力図』では、原油価格が半値になると予想されていました。


中原圭介氏: その予想を書いた2013年は、OPECが原油需要の将来見通しを上方修正するなど、世界の名だたる主要機関が原油価格の上昇トレンドは変わらないという見通しを立てていました。しかし、経済はビジネスの現場で動いているという視点から、経済的合理性や企業経営の視点、需給関係などから総合的に判断すると、原油価格は下がらざるを得ないという結論にしか達しなかったのです。

だから当時の私は、相談に来る企業に対して「原油価格が早くて2016年初め、遅くとも2018年には半値になる可能性が高いから、今からロシアとブラジルに進出してはいけませんよ。進出したら痛い目にあいますよ」と繰り返しアドバイスしていたものです。原油が大幅に下落すれば、鉄鉱石などの資源価格も同様に下落していくので、資源に依存するロシアやブラジルが苦境に陥るのは目に見えていたからです。実際には、私の予測よりも1年も早く半値になってしまったわけですが(笑)

かつてアメリカの住宅バブル崩壊が2007年までには起きる可能性が高いと予測したときは、どこの金融機関も企業も耳を貸してくれませんでしたが、今回の原油価格については納得してくれる企業が多かったように思います。

――「わかりやすさ」が好評です。


中原圭介氏: 経済の知識がない人が読んでも、七割方は理解できるように心がけながら、今起こっている経済状況を正確に伝え書いています。あえて難しい専門用語は使わずに書く事もあります。ビジネスにおいても、いかに難しいことを、分かりやすく伝えるかというのが、大事だと思います。専門的な用語や横文字を使って、書き手の自己満足で終わらせてはいけません。「お客さまが聞いて分からない言葉や文字を使うのはやめましょう」と研修でもよく言っています。

今ではありがたいことに、予測が当たるというご評価をいただき、経済などに関連した書籍をすでに30冊を超えて書かせていただいております。経営コンサルタントとしては、誰もが名前を知っている大企業からご依頼をいただくまでになっています。

――仕事をするうえで、もっとも注意を払っていることは.


中原圭介氏: やはり「物事の本質は何か」ということを、いつも考えるようにしています。経営や経済だけではなく、社会や文化、身の回りのことなど、広くその本質について考えることは、俯瞰的または大局的な物事の見方をも育んでくれるのです。その結果、経営コンサルタントとしては効果的なアドバイスができ、経済アナリストとしては正確な未来予測ができるわけです。

本質を見極める力を身につけるには、学問のジャンルにとらわれず、様々なジャンルの知識を学ぶことです。物事の本質を捉えるためには、ある特定の分野の知識だけではなく、多種多様なジャンルの知識を学ぶことが求められているのです。

私のことをよく知らない方々のなかには、仕事の内容から判断して、私が大学では経営学や経済学を専攻していたと推測する人が非常に多いのではないでしょうか。実のところ、文学部で歴史学を専攻していたと申し上げると、意外に思われることが少なくありません。

しかし、私が経営コンサルタントや経済アナリストとしてそれなりの評価をいただけているのは、歴史学的なアプローチを中心として、心理学や哲学など、さまざまな学問の知識も融合させながら、考えを導き出しているからであると思われます。むしろ、異なる分野の学問から見ていたほうが、経営や経済はおもしろいように客観的に見ることができるものなのです。

また、知識を学ぶ際には、その知識を覚えると同時に、「なぜそうなるのか」を自分の頭でしっかりと考えながら理解しなければなりません。そうすることによって、知識力だけではなく思考力も鍛えられるようになるわけです。

さまざまな知識を習得していけば、ある日突然、自然のうちに自らの視野が広がっていることが実感できるようになります。そして、視野が広がれば広がるほど、いつの間にか本質を見定める洞察力が磨かれて、特定のジャンルの知識だけでは到達できないようなすぐれた分析や判断ができるようになります。

著書一覧『 中原圭介

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