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世界中の本好きのために

うだひろえ

Profile

1976年生まれ、愛知県出身。法政大学文学部日本文学科文芸コース卒業。 大学在学中から広告代理店の制作として働く。退社後、路上やイベントで自作グッズを売る「ストリートアーティスト」になる。その後。『夢追い夫婦』(メディアファクトリー)にてデビュー。2009年、携帯コミック「ラス☆チル~昭和さいごのコドモ~」が文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に入選。 著書に『誰も教えてくれないお金の話』『ママと子どもとお金の話』(サンクチュアリ出版)、『妊娠と産後がラクになる 5タイプ別 ハッピーママ道』(東京書籍)、『住まいの不安がなくなる 絶対失敗しない家・マンションの話』(KADOKAWA / 富士見書房)など。

Book Information

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自身の経験を漫画で。困っている人の役に立ちたい


――『誰も教えてくれないお金の話』ですね。


うだひろえ氏: お金に関しては「なんとかなるさ」でやってきたけど、なんとかなりませんでした。そこから色々なお話を伺って知識を得て、不安がなくなったので「このことを漫画にしたら、誰かの気持ちも楽にできるんじゃないか」という思いで描きました。『絶対失敗しない家・マンションの話』も「私はすでに家を購入してしまったが、どうやら間違えたらしい。次は失敗したくない」ということで勉強をして、そのことをまとめています。「誰かのお役に立てたらいいな」という気持ちが常にあります。『誰も教えてくれないお金の話』は、自分の苦しい気持ちも投影して、泣きながら書いたもので、編集さんもネームを読みながら泣いてしまいました。

自分の書きたいこと、伝えたいことが伝わらなければ意味がない。そのためのチェックで、編集さんを感動してもらうというのも、私の中では結構重要なんです。編集さんと色々調べたり、時には一緒に取材先へ行ったり、侃侃諤諤(けんけんがくがく)の議論のなかで生まれます。『誰も教えてくれないお金の話』は、内容が“お金”というデリケートなものだったので、表現やアプローチの仕方が違ったりするだけで、監修の先生のご意見と異なってしまうことにもなりかねなかったので、一章全部のネームを直したりもしました。私の場合は、もとは知識が多くないので、編集さんが色々な本を用意してくれたりもします。また、用意してくれた本の感想文をきちんと書けば「これで絶対、ベストセラーです!」と言ってアメとムチを使いわけて、私のお尻を叩いてくれたりもします(笑)。いい本を作ろうというのが第一目標で、それから、売れる本。そこがブレなければ一緒に頑張れると私は考えています。



――読み手としてはいかがですか。


うだひろえ氏: 漫画は、現実を忘れて没頭できるものなので、自分がその物語の主人公になれるものでもありますし、人生の指針を示してくれたりもするので、落ち込んでいる時に読むと、元気になったりします。自分で漫画を描きながら「私も頑張ろう」と思うこともありますが、「“漫画家”として頑張ろう」というよりは、「人生、頑張ろう」と思うことの方が多いかもしれません。漫画は私の一部というよりは、八割くらいを占めているかもしれません(笑)。主人も漫画が好きなので、一緒に読んで感想を言い合う時間も、楽しいですね。仕事目線で見るものは、コミックエッセイです。読んでいる時に、「こういう表現もあるんだ」などと思ってしまいます。少年漫画やミステリーだと、読み込んで、感動して泣いて大笑いします。書店では、まず漫画コーナーへ行き、新刊を見てみます。積まれている本などもチェックできるのは、書店の楽しいところであり、紙ならではの良いところですね。

書き手の立場から言うと、電子書籍だと “やりたいこと”を、カラーで書けた方が楽しいですね。読者としては「電子でもいい」と思う作品と、「やっぱり紙で読みたい」という作品に分かれています。読者の方の中にもそういったバランスはあると思いますが、それは、個人で折り合いをつけて両方を楽しんでいけたらいいのではないかと私は思います。テキストならば電子書籍の方が楽ですし、気軽に手にとってもらえるのがいいですね。今回、引っ越すにあたり、本の置き場所について、考えることもありました。

前の家の押し入れは全部、漫画や資料や本などで埋まっていたのですが、それを見た母が「この物件の価格から考えると…このスペースで200万円ぐらいかな」とボソッと言った時、場所代という意識が生まれました。私は、漫画を月10冊ぐらい買っていますが、紙で買う場合は、本当に売っていない本と、連載中のものだけを買うようになりました。

――うださんにとって、描くこととは。


うだひろえ氏: 難しいことやよくわからない部分を、伝わるように表現することが自分にはできるのかもしれない、ということが最近わかってきました。私の場合、知ることができたことや自分の考えなどを、本に全部詰め込んでいるので、コミュニケーションの一種とも言えるかもしれません。今、上の子が三歳で、彼がわかるように物事を教えたり、伝えたりしないといけないので、コミュニケーションの難しさを感じています。なぜ食事中に立ってはいけないのか、説明しても「なんで?」と返ってきます(笑)。「倒れたら危ないから」、とか、「立ったら他の人に失礼だ」とか、彼が納得する答えは予測不能なので、手を替え品を替え伝えています。有名なキャラクターの言う事だとすんなり聞いてくれるのに!(笑)

――キャラクターは三歳児をも動かす(笑)。わかりやすさ、は大切ですね。


うだひろえ氏: 難しい事を分かりやすく、の良い例ですね。実際にやってみて初めて「こんなんだったんだ」と知ることも多いので、私と同じように、知らないことで苦しんでいる人も多いのではないかと思うのです。社会福祉など、困った時に助けてくれる場所を知らなかったり、お金のことに関しても、「こういう風に考えれば、すごく気持ちが楽になるのに」と思ったりすることもあります。お金の話の時に、産後のケアの話を区役所の方に聞いた時は、「もっと早く教えて!」と思いました。そういった場所やサービスを、使おうと思えば使えるということをみんなに知ってほしいのです。ただ、知識としてお話しするだけだと、あまり頭に入ってこないと思うので、実際に自分が感じたことなどを漫画で描くことで、わかりやすく伝えたいですね。今は、“主婦の目線で”ということで、自分のキャラクターというものを使って伝えていますが、何か別のキャラクターを通しても、きちんと伝わればいいと思っています。

コミックエッセイは、身の回りのことをどうネタにするかということと、あとはそれをどう料理するかが重要だと私は思っています。子育ての中でも、ぶち当たっている壁があるので、子育ての問題点というものも、楽しみながら漫画で描けたらいいなと思っています。今まで、お金の話、そして家のことをやったので、次は何かと考えると、私は老後が心配(笑)。これからも人生を頑張りながら、ぶつかっていくこと、解決した事をコミックエッセイにして伝えていきたいなと思います。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 うだひろえ

この著者のタグ: 『クリエイター』 『漫画』 『女性作家』 『コミュニケーション』 『紙』 『イラストレーター』 『漫画家』 『テレビ』 『研究』 『子ども』 『お金』 『人生』 『エッセイ』 『アルバイト』 『ミステリー』 『ホームページ』 『売り上げ』

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