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芦永奈雄

Profile

早稲田大学卒。大学で、芥川賞作家・三田誠広氏に4年間師事する。2002年1月、国語専門塾の小平村塾を開塾。国語が苦手だった子供たちをトップレベルに育て、作文コンクールで全国1位の大臣賞・総裁賞、都道府県知事賞レベルの賞の受賞者を続々輩出する。教材はすべて自ら開発。学力の根本である「思考力」を鍛える「ストーリー作文」を考案。 著書に『コミュニケーション力を高める文章の技術』(フォレスト2545新書)、『読むだけで「書く力」が劇的に伸びる本』『「本当の英語力」は5文型で劇的に伸びる』(大和出版)など。

Book Information

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20年後を見据えた教育方法へ転換


――塾ではどのようなことを教えてらっしゃるのでしょうか?


芦永奈雄氏: 私が一番得意とすることは、できる人が当たり前にできることを分析して、それをカリキュラムにすることです。できる人の多くは、感覚でこなしているので自覚がありません。できない人にはその感覚がないから分からない。だから、できる人をよく分析していました。私が受験をする時に3人の先生から教わってみたら、それぞれ傾向も違いました。「あれ、あの先生はこう言っているのに、この先生はこう言ってるじゃないか」などという様々な矛盾が出てきましたし、同じものを3回書くことによって、一般的な学習とは違う、自分なりにものを考えて分析して改良するということをやっていたんだなと今は思います。そういった体験により培われたノウハウや分析結果を塾で教えています。だから、教育関係の本や参考書は全然読まないんですよ。

――塾では、どういった目標を掲げているのでしょうか?


芦永奈雄氏: 自分が目標に据えているのは、あくまでも人間を育てるということ。成果としては偏差値などに表れていきますが、それは分かりやすい結果としての一例として挙げているだけの話。主軸は人間です。一番は、大人になった時に自分の能力を発揮して、第一線で活躍する人を育てること。最初は、結果を出すことばかりに夢中になっていましたが、徐々にそういった目標の大切さを感じ始めました。結果を出すことは、実績として大事ですし、瞬間的に結果を出すのは簡単です。二浪して志望校に合格したという経験から、当初は「受験で徹底的に合格する」ぐらいの考えしかありませんでした。メルマガのスタート時は、小中学生がメインだったので、受験に重きを置いた教育はあまりしていませんでした。その時知ったのが、高校生や大人などとは比較にならないほど、小中学生の伸びがすさまじいということ。「これは面白いな」と思って教えていたのですが、子どもは、最終的には環境、つまり親の考えが最優先です。そうすると、小中学生時代に結果を出していた子たちが、高校生や大学生に成長した時には凡庸になっていたりするのです。それに対する不満が、ずっと私にはありました。

――それが教育方法を変えることになった理由なのですね。


芦永奈雄氏: 今までのものを活用させて羽ばたいてほしいと考えた時に、目先の結果を求めるのは止めました。受験のためというのも断るようにしています。将来を見据えて、子どもたちに勉強をさせたいという人たちばかりを見ようと、2、3年前に決意し、そちらの方にシフトしていきました。例えば20代は、瞬間的に出世しているように見える人が多いのですが、私は今40歳ですが、大人になってから20年も経つと、長期的な目標のためにずっと取り組んでいた人とそうでない人の差は歴然。例えばスポーツなどのように、選手生命が短い場合は別ですが、「瞬間的なことのために力を尽くしたくはない」と思いました。通過点にすぎない目標のために、人生をかけてやっていくのはもう止めにしようと思ったのです。

――ご自身で教材も作られていますよね。それはどういった思いからなのでしょうか?


芦永奈雄氏: 業界的に言うと、用意されている基本的な教材を使って教え、先生は解説を読んで教え、補助的なことをしています。ですから、主体がどっちにあるかと言うと、どちらかというと人間ではなくて、教科書や参考書、テキスト、問題集にあります。もちろん良い参考書や問題集もあるのですが、そのほとんどが受験突破や成績向上が目的になっているので、私がやろうとしている目標とは合わない。そこで、既存の教材は使わず、自分で一から教材を作ろうと思ったのです。

人としての道を外さず、自分の「芯」を作り上げる


――スタッフの方々には、どういう指導をしていらっしゃるのでしょうか?


芦永奈雄氏: 例えばAmazonだったら、ジェフ・ベゾスという創業者が世界一の書店にするということで、広大な「アマゾン」という、それらしい名前を付けたというように、その創業者の精神、意気込みを常々伝えないといけない。失敗する人の多くは、自分がやらないで人にやれと言うだけです。「この人は本気だな」とか、「本当にこのことを考えているんだな」ということを分かってもらわなければいけません。大きな見方で言うと、その精神や意気込みを、共有するということをいつもやっています。
スタッフも人間ですから、個性も、得手不得手もありますので、私や他の人の真似をするのではなく、「自分自身の強みを生かして創意工夫をして教えるように」と話しています。それから、困ることがあったらスタッフ同士で共有するようにして、「あいつがライバルだ」といった感じではなく、チームプレーに近い形で競わせています。サッカーや野球にポジションがあるように、「そこは自分がしっかりやるぞ」といった感じのやり方に近いです。「こういうことだったらこのスタッフが得意だからこの人に聞こう」とか、「情報をたくさん持っているあの人に聞こうか」などということが、この1年ぐらいでやっとスムーズにいくようになってきたなと思います。

――芦永さんにとって、「教育」とは?


芦永奈雄氏: 「人間道」です。数学や理科・物理などは研究に入っていくと思うのですが、広い意味での教育、特に国語の場合は、人間としての道ということだと思います。小論文などを書けない人は、「自分は文章力が無くて書けないのだ」と思っていることが多いのですが、実は、意見が少なく、ものを考えていないから書けない、ということもあるのです。マスコミが騒ぎ立てていることを鵜呑みにして、ああだ、こうだと言っている人は、現場のことをよく知らないし、裏をとっているわけでもない。そういった人の多くは、いい加減なことを言っているだけなのです。そういうことばかり言ってきた人が自分の意見を書けるかというと、なかなか難しいのです。書く場合は、自分の積み上げてきたものを記述するべきです。小手先で一般的に言われていることの逆のことを言ったりすることも、ある程度有効ではありますが、それは自分自身の意見ではありません。ですから私は、自分の「芯」を築き上げていくことが一番重要だと思っていて、去年の暮れ頃からグローバル教育に力を入れていこうと、少しずつシフトしています。

――芦永先生の考えるグローバルとは?


芦永奈雄氏: グローバル教育と言うと、みなさん「英語」と思いますが、それは全く関係ありません。日本人が外国で活躍するために英語ができるかどうかというのは重要なことではなくて、その人自身が勝負できるものを持っていないといけません。例えば外国人が日本に来て、日雇いのような仕事をしたり、極端な話、ホームレスになったという場合、その人が日本語を話せても、それはただ住んでいるだけで、グローバルではありません。グローバルというのは国境、垣根を越えて活躍して初めてグローバルなのだと思います。

著書一覧『 芦永奈雄

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