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長谷川法世

Profile

1945年、博多生まれ。福岡県立福岡高等学校を卒業後、1968年『正午の教会へ』(COM)が月齢新人賞受賞。その後、1972年の『痴連』で本格的デビュー。代表作『博多っ子純情』(双葉社)、『がんがらがん』で第26回小学館漫画賞を受賞、同年『博多町人文化勲章』を受章。その他作品に、『ぼくの西鉄ライオンズ』『博多新聞東京支社』『源氏物語(上・中・下)』NHKテレビ小説の原作『走らんか!』などがある。2004年より九州造形短期大学客員教授。「博多町家ふるさと館」の館長も務めている。

Book Information

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理想は運命共同体という関係


――普段、編集者とはどんなやり取りをされていますか?


長谷川法世氏: 最近はサラリーマン化が進んで、昔のような暴れん坊の編集者が少なくなったようです。私の場合は酒飲んで別れ際に、「じゃあ、よろしく頼む」です(笑)。ずっと能力ぎりぎりで連載を持ちすぎていたんで、打ち合わせの時間が気分転換なんですが、そのときから数日がほかの連載をやりながらアイデアを詰めていく過程なんですね。今は締め切りが月曜でも、土曜日曜に進行状況の問合せ電話がまったくかかってきません。週休二日制が徹底したんですねえ。それで、原稿催促の電話にびくつく事は減ったけど。
ぎりぎりまで踏ん張ったときに最後のひらめきが出るっていうつくり方を捨てたくない。編集者にはそのサポートをして欲しい、優しく、強く、適当に(笑)。担当編集者が担当の間は運命共同体で作品づくりをやりたい。漫画が産業化していくと面白くないなあ。漫画はベルトコンベアーでできるものではないし、漫画家は商品納入業者にはなれないんだから。製造業としては研究開発部門が近いかもね。

――色々なものが電子化になったり、新しい電子書籍の媒体が出てきたりしていますが、利用することはありますか?


長谷川法世氏: 料金を払って読んだことはないなあ。青空文庫はよく利用します。博多出身の川上音二郎の事を調べたりね。Wikipediaもこの数年で飛躍的に充実して便利してます。インターネットの情報は間違いもあるけれどインデックスとしてはすばらしい。国立国会図書館の近代デジタルライブラリーなんかはいろんな資料を見られるので重宝してます。この間は宮内庁が五箇条のご誓文をはじめ収蔵品をデジタル化して公開し始めたのですぐ検索しました。論文なども大学が公開しはじめたのでこれも嬉しいです。音二郎について、演劇関係、明治時代全般、調べたいことがいっぱいあるんですが、ネットと、それから電子辞書が大いに役立ってます。

――電子辞書の良さとはどういったところだと思われますか?


長谷川法世氏: 広辞苑もブリタニカも入っているんだもん。すごいよね。しかもハンディーでしょ。百科事典とか場所を取るし重いし、つい調べるのをためらう事もあるけれど、ポケットにも入るからね。スマホも同じ。タブレットは一番欲しいものだけど、ずっとためらってる。タブレットまで手にしたら、紙から完全に離れてしまうかもしれない。それがためらっている原因かな。

まだまだ何かを残したい


――今後、漫画も含め、どんなことをしていきたいなと思われていますか?


長谷川法世氏: 年齢的な限界を考え始めています。まずいな、と。今までは、まだやり足りないけど、今はまだ、なんてのんきに構えていたんですが、もう後がなくなってきた。今年69歳になるので、無理がきくのは5年、がんばってあと10年でおしまい。隠居しての盆栽いじりも夢の一つだけど、まだまだ何かしたいね。

――具体的にはどういったことでしょうか?


長谷川法世氏: 川上音二郎を漫画か文字でまとめてみたい。芝居にはしているんです。大塚ムネトさんと共同脚本で「川上音二郎・貞奴物語」を書いて、博多座で3年前に上演しました(去年12月にも再演)。また、ブログで「川上音二郎発見伝」というのをやっていたんですが、書き込みすぎてしまって。それに、漫画の「徒然草」を描いてる間にブログ管理のパスワードを忘れてしまって、目下休筆中です。それから、博多のことももっと知りたいし、そこから見える日本のことも勉強ですねえ。
去年4か月半かかって『徒然草』を描いたんですが、漫画は何年ぶりだろう。長い事ペンを握らなかったもんなあ。休筆は体力・精神力の限界だったんですねえ、「漫画を描くと、どこかで木を伐って印刷用紙をつくるんだよなあ」って、思ってしまって。そういう意味でネットは一つの解決策だよね。

(聞き手:沖中幸太郎)

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この著者のタグ: 『漫画』 『チャレンジ』 『漫画家』 『芸術』

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