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世界中の本好きのために

柴田真一

Profile

みずほ証券英国現地法人のExecutive Director、ドイツ勤務、ロンドン駐在などを経て、現在、目白大学外国語学部英米語学科教授。豊富なビジネス経験をもとに、『週刊東洋経済』をはじめ、『月刊The English Journal』などの英語学習誌に、ビジネス英語や欧州事情に関わる連載記事を執筆するなど、国際派人材育成にも注力してきた。著書に『金融英語入門』『使える金融英語100のフレーズ』(ともに東洋経済新報社)、『社内英語ワールドサバイバル本』(アルク出版)、『ダボス会議に学ぶ 世界経済がわかるリーダーの英語』『基礎からの英語eメール仕事術』(ともにコスモピア)などがある。

Book Information

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電子書籍には、埋もれた本を掘り起こす可能性がある


――電子書籍は使用されていますか?


柴田真一氏: 今、大学でGlobal Perspective through Englishという授業がありまして、英語のドキュメンタリーDVDを題材に世界の情勢を学ぼうということで、アメリカ・イギリスに限らず、世界中のいろいろなトピックスを取り上げています。例えば、「The Ladyアウンサン・スーチー」の映画を観て、ミャンマーについて色々解説をする。その際、学生にはスーチーに会ったこともある三上義一さんという元ジャーナリストの方が書かれた電子書籍を参考図書として勧めました。これが250円で読めます。

――電子書籍の良い点はどういったところでしょうか?


柴田真一氏: 電子書籍の良いところは安くて手軽なところです。学生にとって、やっぱり本は高い。2000円、3000円する本をどんどん読みなさいとは言えませんが、250円であれば、自分で買って読んでみなさいと言える。特に学生にとって身近になっていく可能性はすごくあるんじゃないかなと思っています。私の本もイーブックになったものがあるんですが、これからは電子書籍の時代なのかなと思います。教科書的なものは、書き込みをするので紙のほうがいいかもしれませんが、PDFなどで書き込めるようなものが普及してくればいいと思います。

――書き手としても電子書籍の可能性は感じられていますか?


柴田真一氏: 書くサイドから言うと、紙だと商業ベースにのらないことがあるんです。最低何千部という決まった部数があるので本にならないものがある。学会にはいろいろな研究をしている人がいて、マスにははまらないけれど、特定の人たちには役に立つものというのがあります。それで埋もれたものはたくさんあると思うんです。私の本で言えば、『金融英語入門』という本があって、それを読み終わった人から、次のレベルの本が欲しいと言われることが結構あるんです。しかし上級者向けの金融英語や、金融ドイツ語や金融フランス語は読者が限られるから、本にはならない。でも、イーブックだったら採算にのるから出せる、などと広がりが出てきます。出版社・編集者の役割は、そういう本を掘り起こしていただくことだと思います。それに、最近の経済の状況についてまとめても、半年後には古くなってしまいます。国際情勢もそうです。シリアの問題も、1年前に書かれた本は、その時点における情勢を知るにはいいのですが、最新情報を知ろうと思うと、もう古いんです。量は少なくてもいいからそういったものを専門の方が書いた電子書籍をもっと読んでみたいです。

「言葉の力」を知り、日本をプレゼンする


――よく読まれる本はどういったジャンルのものですか?


柴田真一氏: 私がよく読む本は、大きく分けると2つの分野があって、1つはリーダーシップ本とか、人生のノウハウの本。学生は人生をどう生きていったらいいかというのを悩んでいます。自分が学生の時もそうでしたけれども、実社会では何が求められているのか、それに対して自分が何をやらなければいけないかがわからない。そういった学生に対してどうコーチング、アシストしていくかの参考にします。佐々木常夫さんの本をよく読むのですが、例えば「目標を立てること」が重要と書いてあります。そこで学生に「今期の目標をたててごらん」と言うと、頑張るとか、精神的なものはよくあるんですけれども、あまり具体的ではない。そういう時にリーダーシップに関する本を読んで、ああ、こういう風にアドバイスすればいいんだなと、ヒントにしています。
もう1つは、自分の授業では、自分とは異なった視点でものごとを見ていらっしゃるような人の本が参考になります。寺島実郎先生の本が好きなのですが、寺島先生からは、中国という国だけを見るのではなくて、もっと広い意味で大中華圏として華僑をとらえるべきだとか、日中だけじゃなくて米中という視点でものごとを捉えるべきだとか、複眼的な見方を学んでいます。やっぱり本から学ぶことは多いですね。

――最後に、今後の著作などの展望をお聞かせください。


柴田真一氏: 今までの著書とも関連しますが、今はスピーチやプレゼンテーションの本が多いです。もちろん日本人としてプレゼンのデリバリーの仕方も大切です。しかし、それだけではなくて「言葉の重み」というものもあると思うんです。今チャーチルについて色々調べているのですが、チャーチルはものすごいガラガラ声なのに、彼のスピーチはイギリス国民の心に深く刻まれていった。当時の演説はラジオで流れたわけですから、ビジュアルなプレゼンではなく、内容で勝負する世界です。チャーチルはノーベル文学賞をもらっていて、言葉にこだわりがある人でもあるので、今後は言葉という側面からチャーチルを調べていきたいと思っています。今、『リーダーの英語』という本の続編ともいえるものを執筆中ですが、チャーチルも取り上げてみたいと思っています。
これから日本は、東京オリンピックに向けて世界に発信していかなくてはいけません。私としては、執筆とか講演を通して、まず英語の面白さを伝えていきたいと思います。気合いと根性だけじゃなくて、楽しく学んでいくと姿勢を伝えていきたいです。世界に関心を持って、改めて日本というものを見つめ直して欲しいということを、世の中に発信していきたいと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 柴田真一

この著者のタグ: 『大学教授』 『英語』 『海外』 『考え方』 『アドバイス』 『ビジネス』 『教育』

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