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世界中の本好きのために

高橋暁子

Profile

福島県出身、東京学芸大学卒。SNSなどのウェブサービス、スマホや携帯電話などの情報リテラシー教育に詳しく、雑誌やウェブ媒体の記事、書籍などを数多く執筆している。スマホに関して、アプリ活用や未成年の安心安全な使い方について講演しているほか、インタビューなどを受けている。 著書に、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)、『仕事を成功に導くFacebook活用術』(ソフトバンククリエイティブ)、『電子書籍[kindle/iPad/GoogleEdition]の可能性と課題がよーくわかる本―出版ビジネスは電子化でどう変わるか』(秀和システム)、『ソーシャル・ネットワーキング・サービス 縁の手帖』(翔泳社)などがある。

Book Information

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ソーシャルメディアには、人生を変える力がある



元小学校教員で、現在はITジャーナリストとして、ソーシャルメディア関連の書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなど、幅広く活躍中。専門分野は、ソーシャルメディア、モバイル、IT教育。著書に『図解 一目でわかるITプラットフォーム』、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』、『ネット業界 儲けのカラクリ』などがある。mixiとの出会いが人生を変えたという高橋暁子さんに、ソーシャルメディアや電子書籍についてお聞きしました。

図書館の本を読み尽くした子ども時代


――近々、新しい本を出されるそうですね。


高橋暁子氏: 来年、ソーシャルメディアの啓発書のようなものを出そうと思っています。よくあるビジネス書ではなく、それを使って人生をより良くしていこうという内容です。個人やビジネスパーソンとしてより良く生きていくための10か条というようなものを考えています。
また共著で、ソーシャルおじさんと呼ばれる徳本さんと本を書いています。徳本さんは、ソーシャルメディアを活用して人生が変わった方で、私はmixiでの出会いが縁で著者になれました。ソーシャルメディアで人生が変わった私たち2人が出会い、ソーシャルメディアを活用することで自分の可能性を広げることができる、というところを主体にして共に本を書きました。

――小さい頃、本はよく読まれていましたか?


高橋暁子氏: 本が大好きでした。図書館の本を全部借り尽くしてしまって、図書館に行っても読んでいない本が見つからなくなってしまったほどです。
母親が本好きで、いつも近くで読んでいたので、自分も自然に読むようになりました。私も本好きに育ったので、知り合いのつてを頼って、母親がどんどん本を借りてきてくれました。図書館を2つ、3つはハシゴし、小学校1年生の時に1人で図書館に行っていた記憶もあるほどです。3歳位で黙読していたとも聞いています。

――どのようなお子さんだったのでしょうか?


高橋暁子氏: 控えめな子でした。大人しくて、小さい頃は「くちなしの花」と言われたくらい大人しかったです。大人になってからは「うるさい」と言われることが多いのですが、子どもの頃は発言や表現ができませんでした。「言わないと誰にも伝わらない」と思い、高校生くらいから徐々に言葉で伝え、表現していくようになったんです。
また、ドフトエフスキーの『白痴』という本で、自分が悩んでいたことの答えを見つけたことがあったんです。時代も国も違うのに、本からヒントをもらったり、救われたりすることがある。本の持つ力をすごく感じたので、そういうものに携われたらいいなという風に思っていました。

――本を書く大きなきっかけの1つになったんですね。


高橋暁子氏: その後、文学にのめり込みました。文学を学べる近くの公立大学を探して、東京学芸大学に入りました。そこは教員養成大学で、人と関わる面白さをとても感じることができました。伝えたいと思って熱意を持って語れば、その熱意が返ってくる。そういう体験をしたことで、もっと人に伝えたいという思いが強くなり、教員になったんです。
でも、小学生には基本的な単語も分からないので、子供を相手に概念を伝えることはとても難しかったです。基本概念を持たない、多くの言葉を持たない子どもたちに伝えたいことを伝えるために、身振り手振りを使って、こちらをとにかく見てもらう。そういうところから始めました。

――言葉で伝えるということにとても気を遣っていらっしゃるので、ご自著もとても分かりやすく書かれていますね。


高橋暁子氏: 子どもたちに伝えることと、難しいことや分からないものを分からない人に伝えることは、今の仕事と非常に近しいものがあると思います。
手段は変わっても自分が良いと思ったことを分かりやすく伝えること、これを知っていたら人生が良く変わると思うことを伝えていきたいという2つのことが、私の仕事のベースにあります。

mixiとの出会いが転身のきっかけ


――ジャーナリストへの道に入られたきっかけは?


高橋暁子氏: 異業種交流会で知り合った方に出版業界を紹介していただき、色々な方に取材する経験を経て、独立に至りました。独立後、初仕事でのメインは取材でしたが、そんな時にmixiに出会って、仕事が一変しました。今までになかった新しい出会いがあり、その中でも、マイミクさんだけで本を出すというプロジェクトが立ち上がったんです。その時ライターをやっていた私に声が掛かったのが、初めてIT系で文章を書くことになったきっかけです。



昔から本は大好きで、著者になることに憧れていたのですが、その機会をくれたのはmixiでした。やりたいことをソーシャルメディアで叶えることができる、出会いたい人に会うことができる。ソーシャルメディアには、「人生を変える力がある」ということをもっと多くの人に伝えていきたいと、その時強く思いました。そうしてソーシャルメディアにのめり込んでいったのです。

ニフティサーブでは、当時、出会い系の募集が多かったんですが、その中で勉強会の参加者を募集している団体があったんです。それが異業種交流会でした。誰か有名な方を呼ぶのではなく、普通の人が順番に講師役となる仕組みでした。「普通の人」でも本当は他の人より詳しいことを持っている何かの専門家であり、他人に教えることで興味を持ってもらえたり勉強になるだろうということや、伝える側も伝えることが勉強になるというコンセプトでしたので、興味を持ったんです。そこで出会った方たちが本当に面白い方ばかりで、10年以上経った今でもお付き合いしています。

――先生からあえて転身する、その原動力はなんだったのでしょうか?


高橋暁子氏: 教育大を出て教員になってしまうと、他にどこにも出ず、先生と言われる立場になる。さらに、付き合うのは子どもだけ、となると、小さなお山の大将、井の中の蛙で、世間が狭いままになってしまう。それではいけないと思ったんです。本当はもっと色々な価値観があるはずなのに、学校という世界は、「こうあるべきだ」というのがすごくハッキリしていて、それ以外の価値観をあまり受け入れられない。また、そこから外れる人たちも受け入れない。その価値観を盲信できれば良かったのですが、相容れないものを感じてしまい、価値観の多様性を受け入れてくれるような場を探したのです。

――実際に著者としてデビューされて変わったことはありますか?


高橋暁子氏: 発信すると返ってくるものが多く、皆さんがすごく悩んでいらっしゃるんだということを感じました。それを解決する方法を模索して形にしていくと、それが助けになる方がいるというのを感じて、ある種、普遍的な悩みというのがあるんだと思いました。
「自分も踏み出してみようと思う」といったメッセージなど、感想をいただいたりすることは多いですね。直接お話に行った時に、「この本を読んでこう感じました」と言っていただいたり、「この本を読んで感動したので、お話ししたかったんです」と言っていただいたり、そういう風に繋がっていくのはうれしいです。

市場価値を持つ本を作るのが編集者の役目


――電子書籍について書かれたのは2011年。2年ほど経ちましたが、変化は感じられますか?


高橋暁子氏: Kindleで自由に出版できるようになった影響は大きいですね。ただ受け取るだけではなく、誰もが発信できるようになったので、発信したいことがある方は誰もが著者になれるようになった。検索しても、電子書籍を出している方はたくさんいらっしゃいます。コンテンツが増え、スマホなどで手軽に読めるものが増えたので、昔に比べてかなり多くの方に電子書籍を手に取っていただけるようになったことは、本当に良いことだと思います。絶版になったもの、すぐに手に入らないものを、手持ちのスマホで手軽に読んでいただけるのは、発信側としてはうれしいことではあります。ただ、一方で発信が特別ではなくなり、ビジネスが難しくなってきています。実際に売る力がすごく重要で、ビジネスモデルとして電子書籍だけで食べている方は、それほどいらっしゃらないと思います。

――電子書籍化が進む時代の出版社、編集者の役割はどんなところにあると思いますか?


高橋暁子氏: 編集や出版社の手を経ていないものは、やはり見方が一元的で狭いため、そのままでは売り物にはなりづらいです。編集者の方は慧眼をお持ちなので、客観的に売るためにどんな商品性があるのか、どんな見せ方をすれば市場にリーチできるのかを知っていらっしゃいます。その切り口を信じてその通りに編集していただくことで、持っているものが読者に伝わるものになり、市場価値、商品価値を持つものになるんです。商品価値を持つということは、それだけ多くの方に手にとってもらえるし、それによって多くの方に届けることができるようになる。そのために、編集者、出版社の力が大きな意味を持ちます。電子書籍でも編集者が入ってデザインを変えたり、タイトルの切り口を変えたりするだけでとても変化します。今後益々、出版社、編集者の力が必要になる可能性があると思います。

――普段、編集者の方とはどんなやり取りをされますか?


高橋暁子氏: 今、私が持っているコンテンツと市場とのすり合わせです。どうすればもっと良いものになるか、提案し、話し合う中で、コンテンツのどこを磨くかが、決まっていきます。

――書き手として編集者はどんな存在ですか?


高橋暁子氏: 翻訳者に近いです。自分の持っているコンテンツをどう変換、翻訳すれば多くの人に見てもらえるかを教えてくれる存在です。自分だけでの言葉では伝わらないけれども、編集者の手を借りることで伝わるものに変わっていくんです。

――読者として本屋さんに行くことはありますか?


高橋暁子氏: 純粋に読書が好きですから、本屋にも行きます。自分の周辺を見ることで今、市場で何が求められているのかを感じられますし、本の置き方で書店が何を求めているのか、どうすると反応が良いのかが分かります。書店を通して読者が見えるんです。

――本を手に取る際に、選ばれる基準はありますか?


高橋暁子氏: 違う視点を与えられるものや、今自分が興味のある世界について深く考察されているものなどを選びます。あとは、やはり評判です。自分が信頼する方が、感銘を受けた本のことを書いてらっしゃれば、即決することもあります。今は情報が溢れているので、その中で本当に自分に響くものを探すには人を介する方が効率が良いので、情報もそうやって探すようにしています。多くの方、また信頼する方が「これは」と言うものを、なるべく見るようにしています。
小説などの文学作品は、自分が普段、心で使わない部分が使われ、エクササイズのようなところがあるので、そういう意味で読みます。また、『半沢直樹』などのような、市場で響いているものはなるべく見るようにしています。今、何が受け入れられているのかを知るというマーケティングでもあり、今の人たちを知る手助けにもなるからです。

人生を良くするものを書いていきたい


――ご自身は電子書籍を活用されていますか?


高橋暁子氏: はい、読みます。端末に入れることができ、好きな時間に読み進めていくこともできますので、すぐ手に入れたい資料などに活用しています。

――電子書籍について、課題は何だと思われますか?


高橋暁子氏: 電子書籍は皆さんに知っていただくことが非常に難しいので、プロモーションも大変だと思います。紙の本だと、書店に置かれるので広く知っていただけますが、電子だとAmazonなどでレビューを書いてもらうくらいしかできません。また、目次から目的の部分に一足飛びに飛ぶことができないものも多いです。
そういう細かい所でもう少し改善していくと非常に読みやすくなるだろうと思います。あと、表紙についても、読者が魅力を感じて読んでいただけるようなデザインができると良いだろうなと思います。
今は玉石混交で、ウィキペディアをそのまま売ってしまっているようなものもある。そうなってしまうと、購入した方はがっかりして、電子書籍はもういいとなってしまう。こういったことが、今後の課題になると思います。

――執筆に対する思いはどういったものでしょうか?


高橋暁子氏: 人生やビジネスなど、何かが良くなっていくようなものになって、後一歩、背中を押せるような、そういうものを書いていきたいと思っています。

――ジャーナリストとして取材する場合、どんなお仕事の仕方をされるのですか?


高橋暁子氏: 興味を持ったことを追っていくことが多いです。自分でもソーシャルネットワークを使っていく上でつまずくことや悩むことを取材したり、また、周囲から耳に入ってくことをヒントにして、「これは皆が持っている課題だ」と思うことを深く掘り下げたりします。

――今後の展望をお聞かせください。


高橋暁子氏: ソーシャルメディアは既にインフラと化していますので、より快適に、より安全に、より安心に使用するための工夫は書いていきたいです。
また、ソーシャルメディアも次の新しいものを探していきたいです。リアルに戻っていくような気がします。自分の生活や生き方、実際のビジネス、その部分をしっかりとさせていけるようなウェブサービス、スマホのアプリはまだまだ出てくると思うので、ネットでは終わらないリアルの部分をもっと重視していきたいです。

――リアルとネットとの融合ですか?


高橋暁子氏: スマホはいつでもどこでも世界と繋がっているツールですので、どこにでも発信できます。自分の行動や考えも何かを通して変わっていく。その相互作用が、今後さらに進んでいくと思いますし、その部分でできることはまだあるんじゃないかなと私は思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 高橋暁子

この著者のタグ: 『ジャーナリスト』 『考え方』 『出版業界』 『ソーシャルメディア』 『原動力』 『SNS』

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