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世界中の本好きのために

印南一路

Profile

1958年、神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業後、都市銀行、厚生省(現在厚労省)を経て、ハーバード大学行政大学院、公衆衛生大学院に留学。1992年、シカゴ大学経営大学院にてPh.D.取得(組織論)。2001年から慶応義塾大学総合政策学部教授、株)キングジム社外取締役。専門は、意思決定論・交渉論と医療政策。著書に『すぐれた意思決定』『すぐれた組織の意思決定』(中央公論新社)、『ビジネス交渉と意思決定』(日本経済新聞社)、『「社会的入院」の研究』(東洋経済新報社、第52回日経・経済図書文化賞)、最新刊に『すぐれたゴルフの意思決定 熟慮速断の上達法』(東洋経済新報社)がある。

Book Information

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自分で考えることが重要


――本を執筆するということに、何か思い入れはありますか?


印南一路氏: お金儲けでやっている訳ではなく、僕が勉強してきた中で、お世話になった方々がいて、純粋なボランティアではないですが、その恩をなんらかの形で社会に還元しなくちゃいけないと思っているんです。でも、本に関しては、真面目に書けば書くほど、たくさん売れるものではないし、はらっている努力とかけているエネルギーを考えると、絶対にペイしないと思います。僕は凄く面倒くさがり屋でずぼらなんですが、やろうと思うと完璧主義。書く時もそうです。最初に読者層を設定し、どういう読者に何を伝えるのかをまず考えます。それに沿って必要な作業は、面倒くさくても全部やります。一番典型的だったのは、『組織の意思決定』の本を書いた時です。経営に関してはほとんど海外で教育を受けたので、日本語の経営の教科書を見る必要があり、Amazonで数百冊買いました。目次などをザーッと全部見て、日本の本が何を議論してきたのか、それまで書かれてきた本に何が欠けているのかをまず探り当てるんです。そうして、世の中にウケる本ではなく、必要な本を書く。だから、本を書くのは凄く大変です(笑)。

――ご趣味でされていることはありますか?


印南一路氏: ちょうど42歳ぐらいの時に、こういうやり方で本を書いていると体を壊すなと思って、ゴルフを始めました。実際に小太りで、体重が90kg、血圧が180にもなってしまい、生活習慣病で、非常にまずい状態になったんです。体調もおかしくなってしまったので、少しゴルフに時間を割くようになりました。
その頃に、もう少し焦らずにゆっくり、色々な活動をすればいいんじゃないかと、考え方を転換しました。スローライフです。

――何がきっかけになるか、分かりませんね。


印南一路氏: 自分自身で振り返ってみても、その時点その時点では予測して進んでいる訳ではありません。長期的な予測なんか出来ないし当たらないですから、その時点で自分が選んだものに対してベストを尽くすしかありません。
ゴルフで一番いいのは、全て自分の責任だということがハッキリしているところ。例えば、会社が潰れちゃうのは自分のせいじゃないですから。

――大学教授として、教育への考え方はどういったものでしょうか?


印南一路氏: 僕はよく「放し飼い」と言われます。教育には2通りの考え方があって、1つは「耕す」です。「誰でもなんらかの能力をもっているから、うまく動機づけしてあげれば、その能力を伸ばしていける」と考える教師は、学生に手取り足取り教える訳です。もう1つは、自分で目標を設定し、自分で調べ、自分で考え行動していくことを大事にするという考え方です。僕はこちらの方ですが、あまりにも間違っていたら、それはあまりいい方向ではないとアドバイスはします。手取り足取り教えることで甘える学生は、実際に多いです。そういう学生は僕とは合わないから、僕のゼミに入っても出て行ってしまいます。特に今は少子化が進んで、子どもが大事にされているし、予備校も手取り足取り、凄く丁寧にやるでしょう。それを教育だと思いこんでいる学生が多く、なんでもかんでも体系的に先生がキチンと教えてくれると思っている。学問の体系は、それぞれの分野の学者が作り上げたもので、客観的に存在するものではないんです。それを手っ取り早く教えるのも1つですが、そんな学問体系は、現実の社会で役に立つものじゃないですから、本当はそれではダメなんです。それよりも、自分で目標を設定するということが非常に重要なのです。



――おんぶしてあげるのではなく、走り方を教えてあげるということですね


印南一路氏: 黒板で丁寧にクロールの泳ぎ方を講義して、それからプールに入るのではなく、取り敢えずプールに1回落としてみる。おぼれないためにはどうするのか、最初に体験させ、理屈を教えるのはそれからです。こういう教育に合う学生と合わない学生がいますが、合う学生しか僕のところには残りません。また合う学生は凄く独立心が強いので、あまり先生、先生と寄って来ることもありません。

著書一覧『 印南一路

この著者のタグ: 『大学教授』 『考え方』 『教育』 『医療』 『決断』 『きっかけ』

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