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世界中の本好きのために

長嶺超輝

Profile

1975年長崎県生まれ。 九州大学法学部卒業。数回の司法試験不合格を経て、2004年に上京。法律分野を得意とするライターとして執筆活動を始める。 2005年の第20回最高裁判所裁判官国民審査から、審査対象となる裁判官のプロフィールや判決実績をまとめて、インターネット上のサイトに公表している。 2007年に発表したデビュー著書『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎)が、30万部を超えるベストセラーとなる。 近著に『恋の六法全書 ガールズトークは“罪”ですか?』(阪急コミュニケーションズ)、『47都道府県これマジ!?条例集』(幻冬舎)など。

Book Information

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満員電車で本を買える電子書籍は、まさに「ドリーム」。


――長嶺さんは紙の本を電子化して、ユーザーが読むことに関してはどう思われますか?


長嶺超輝氏: 出張のときに、何冊も持っていかなくていいわけですから、とにかく便利で、移動時間をつぶすには最高のツールですよね。かさばらないのが一番です。

――書き手として、電子書籍で読まれることについてはどうお考えですか?


長嶺超輝氏: 大事なのは中身だと思っているので、全然こだわりはありません。私自身も電子書籍端末のユーザーですから、電子はけしからんと言う立場ではありません。もともと私は、活字なら何でも手当たり次第に読みあさっていたガキですしね(笑)。

――実際に使ってみていかがでしょうか?


長嶺超輝氏: 読みたい本を、読みたくなったタイミングで、どこでもダウンロードできるのが最高だと思います。紙の本だと、読むのに両手が必要だったのが、電子書籍なら片手で読めるじゃないですか。たとえ満員電車の中で身動きが取れない状態でも本が読める、買えるというのは、読書好きにとって、まさにドリームという感じではないでしょうか。できれば、電子書籍を古本として売れるシステムができればいいなと考えています。読み終わったら要らない本は売って、そのとき、ちょっとだけ著者に利益が還元されるような古本システムがあればいいのですが、電子だとシステム構築が難しいのか、まだ私の知る限りでは実現されていないようです。拙著に関しては、古本屋で買うでも、図書館で借りるでもいいので、とにかく目を通してもらって、もし「この長嶺というライターは面白い」と思ってくれたなら、それを入り口にして新作を購入していただければ有り難いですね。

出版不況、面白いものを書くために「頑張るしかない」。


――今のこの出版の現状について、書き手としてどのように感じられていますか?


長嶺超輝氏: 書き手としては、とにかく面白くて身になるものを世に出すため、リサーチや執筆を頑張るしかないと覚悟しています。私の立場で、何か出版業界に貢献できることといえば、それしかありません。良書を世に出し続ける気概をあきらめたら、いよいよ出版業界は終わってしまいます。

――本は出版社や編集者の方とのやり取りの中からできていくわけですが、その中で編集者はどのような役割を担っていると思いますか?


長嶺超輝氏: 編集者は最初の読者です。最初に原稿を読んでもらい、感想をいただく。この電子書籍時代に、編集者は不要だという人もいますが、私はそうは思いません。書き手や編集者が納得して出版し、読者も納得するような本が、最も幸せなサイクルの中にいると私は思っています。逆に言えば、読者ウケがよくても、著者が納得していない本は、長い目で観察してみたとき、ダメになるのではないかと。

――長嶺さんにとって、編集者とはどのような存在ですか?


長嶺超輝氏: デザイナーや校正者との関係調整など、自分ができないことをやってくださるので、ひたすら有り難い存在です。書き手としては、「素晴らしい」と褒めてくださるだけではなく、原稿がさらに面白くなるよう、私と異なる視点で助言してくださいますしね。

――出版プロデューサーになろうと思われたのは、何がきっかけだったのでしょうか?


長嶺超輝氏: 編集の方から「こういう書き手はいないか?」ということを相談されることがある一方、ある経営者の方から「本を出したい」と相談されたこともあります。それで出版を仲介する立場に興味が出てきたのがきっかけです。私もかつて、ゲストハウスに住み着いていた時代に、どうしても本を出したくて、企画の売り込みを出版エージェントに依頼したことがありました。「前金3万円」と要求されまして、約2か月後にどうにか3万円を用意して会うことができたのですが、原稿を見てもらって、ちょこちょこっと「アドバイス」という名目で、原稿に添削して、「この企画は難しそうだね。バイバイ」というような感じでした。誰も添削なんか求めてねえよと。私は、そんな中途半端なプロデューサーにだけは絶対になるまいと心に誓っています。「企画のたまご屋さん」のように、本が出るまでは無償で、本が出たら印税から運営費としてちょっと頂きますというプロデュース形態は良心的だと思います。企画が通らなくても何度だって挑戦できますしね。

今、3冊を同時に執筆中。


――今後の展望をお伺いします。


長嶺超輝氏: 今、本を3冊、並行して執筆しています。1つ目が弁護士の暑苦しい法廷弁論集で、9月に出る予定です。2つ目が憲法の本で、「もしこの憲法のこの条文がなかったらどういう世の中になるのか」というシミュレーションをしたものとなっています。3つ目が冒頭でお話しした東日本大震災の犯罪に関するルポ。このほかにも各社に打診中の企画がありますが、それは編集会議を正式に通ってからでないと、ペラペラしゃべれません(笑)。今までに誰も読んだことのない感覚の内容、書き終えた後に「俺って、こんなことを考えていたのか」と、自分でも驚くような原稿が仕上がるよう、常に気を張って書いています。経験上、どこかで見かけたようなありきたりの企画だと、原稿を書く気が8割ほど減ってしまうので(笑)、私は人まねが苦手なようです。どうせパクるのなら、本に限らず、番組、記事、会話、広告、道ばたで見かけた変な人など、世の中に転がっている興味深い要素や多彩な工夫を何百個も寄せ集めて、これらのヒントをひとつに結実させたい。今までに誰も手を付けていない領域へ、頭を突っ込んで進めていくほうが性にあっているのかなと思います。それと、文章を書くのに苦手意識がある人へ向けて、書く楽しさを伝授するような取り組みも新たにやってみたいですね。

(聞き手:沖中幸太郎)

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この著者のタグ: 『ライター』 『法律』 『フリーランス』 『きっかけ』 『エージェント』 『司法試験』

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