BOOKSCAN(ブックスキャン) 本・蔵書電子書籍化サービス - 大和印刷

世界中の本好きのために

前野隆司

Profile

1962年生まれ。 東京工業大学工学部機械工学科卒業、同理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。1993年には工学博士を取得している。 ヒトとロボットの「心の研究」をしており、著作もそれに関するものが多く『ロボットの心の作り方』という論文も執筆している。 最近は、ヒューマン・マシンインタフェースから、協創・共感・感動・幸福の研究、教育・組織・コミュニティーの研究まで、人間に関わる様々な研究を行っている。 著書に『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房)など。
【公式サイト】 http://takashimaeno.com

Book Information

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

編集者に提案されたテーマよりも、自分が書きたいテーマの方が売れる本になる。


――書き手として理想の編集者像とはどういったものでしょうか?


前野隆司氏: 編集者は面白い仕事だと思います。個性的な方が多く、それぞれにスタイルも違います。飲みに行くのが好きな人もいるし、お堅い方もいるといったように。理想というのは特に思い浮かばないですが、私の場合は、あまり文章を直されないので、編集者にとっては楽なタイプではないでしょうか。だから編集者で苦労したことはないのですが、実を言うと、編集者の方の企画で書いた本はあまり売れないんです(笑)。書きたくてしょうがないことがあって、「これを伝えるぞ」と気合いを入れて書いたら、売れます。そんな経験から思うのは、新しい分野の本を作る力のある編集者で、ある程度放っておいてくれて、しかし広い読者が望むような適切な助言をしてくれるような編集者が、私にとっては良い編集者なのかなと思います。

――執筆のペースはどれくらいでしょうか?


前野隆司氏: 書くのは速いのですが、推敲に時間がかかるので、結局、遅いです。最初の本は2年くらいかけて書いたんです。段々速くなってきましたが、仕事の合間なので必ず半年くらいかかってしまいます。

――執筆作業はどのようにされますか?


前野隆司氏: テーマとして「これが書きたい」という全体像は決まっても、細かいところが決まるまでは、付せん紙のようなものに書いて、整理をする。例えば、人間の認知について書き出して整理をして、それをずっと眺めてみたりする。だから書き出すまでにすごく時間がかかります。目次は、どこに何を書くかおおよそわかった段階で書き始めます。その後は思いきりスピードを出して書いて、その後でまたずっと寝かしておいて直す、といった感じです。
同じようなことを授業で聞こうと思うと学生は学費を何百万円も払わなくてはならないのに、本だと2000円でおつりがくるから、お得だと思います。例えば『思考脳力のつくり方』という本は、1つの授業なので、あれを全部聞くと十数万円はかかるわけですが、本だと700円で読める。授業だと数十人くらいにしか伝わらないけれど、本だとそれが多くの人に伝わる。それで世の中が進歩するのが、本の醍醐味だと思っています。私が書いた本が、人類の平和や、幸福に向かっていくことに貢献できれば、こんなに幸せなことはないと思います。

――先生の本はロングセラーとして読み継がれていますね。


前野隆司氏: おかげさまで長く売れている本が多いようです。ロングテールみたいなところでも、少しずつ読み継がれるといい。そういう意味でも電子書籍の世界というのはいいと思います。

キヤノンでカメラのデジタル化の波を体験したからこそ、
本は電子化へ進むと言い切れる。


――電子化して電子書籍で読む行為に対して、書き手としてはどんなご意見をお持ちですか?


前野隆司氏: 昔、キヤノンにいたころ、カメラ部門は売り上げの2割くらいしかなく、会社のお荷物と言われていました。フィルムカメラの最後の頃です。ところがデジタル化の波が来て、カメラを持つ人口が予想外に増えた。電子書籍も同じです。書店はデジタル化に危機感を持っているけれど、今よりも多くの人が本を読む時代が来てもおかしくないと思います。Kindleに負けずに、家電メーカーと一緒になって、もっとアイディアを出していくべきだと思います。

――逆に書店やメーカーにはチャンスでしょうか?


前野隆司氏: 最終的に電子書籍が主流になるのは間違いないと思います。カメラも昔フィルムだったのが今はほとんどがデジタルデータになりました。今ではプロの多くもデジタルカメラを使います。こだわる人だけがフィルムを買う。これと同じで、一部だけが紙の本、という時代が来ると思います。紙の本じゃないと読んだ気がしないなどと文句を言う人がいますが、それは紙の本に慣れてた世代だからに過ぎないと思います。
25年くらい前にキヤノンでアナログの電子カメラを出して、当時は出すのが早過ぎたのか、失敗しているんです。技術の進歩から考えて、来ると考えるべき変化は必ず来る。これは、その失敗体験があるだけに、自信を持って言えます。アナログ電子カメラというのは、フロッピーディスクを入れてアナログ録画するものでしたが、まだ画質が悪かった。今の電子書籍の画質は紙の本以下ですから、当時のアナログ電子カメラと同じくらいの状態です。これからは技術進歩とともにほとんどが電子になると思います。紙はめくる、書き込めるなどと言いますが、将来的には電子的に、めくった感じよりもいい感じを出せるようになると思います。技術が進歩すれば、紙である必要はほとんどないと思います。

著書一覧『 前野隆司

この著者のタグ: 『大学教授』 『可能性』 『写真』 『教育』 『カメラ』 『エンジニア』 『フィルム』 『デジタル』 『書き方』

著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
ページトップに戻る