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本間正人

Profile

1959年8月東京生まれ。82年東京大学文学部社会学科卒業、ミネソタ大学公共政策大学院に学び、戦略プランニングの修士号(Master of Planning)取得。在学中にミネソタ州政府貿易局日本室長に任命され、東京・大阪に代表部を開設、州の知名度向上キャンペーンを指揮し、知事特別表彰を受ける。その後、松下政経塾研究部門責任者を経て、93年に独立し、数多くの企業・自治体で管理職研修を担当している。テーマは、政策形成、独創力開発、部下の指導育成、国際感覚養成、など多岐にわたる。2001年「学習学協会」がNPO法人として認可を受け、代表理事に就任し、現在に至る。

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これから書籍は「リッチコンテンツ」になっていく



本間正人さんは東京大学文学部社会学科卒業後、松下政経塾に三期生として入塾されミネソタ大学大学院で成人教育学の博士号を取られた後、京都造形芸術大学教授(一般教養カリキュラム開発担当)、NPOハロードリーム実行委員会理事、一般社団法人キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会理事、一般財団法人しつもん財団理事などを務められ、「学習学」を提唱し幅広くコーチングや英語教育などにもかかわられています。今回は本間さんに、本と教育とのかかわり、電子書籍の未来についてお聞きしてみました。

「本業はなに?」と聞かれるほど、幅広い活動をしている


――今回、プロフィールを細かく見させていただいたんですが、活動の幅がコーチングや英会話、NPOと非常に幅広いですね。


本間正人氏: 「本業はなに?」と聞かれるのが1番困るんですけどね(笑)。僕のメインは「学習とコミュニケーション」なんですよ。その二つは僕の中では極めて近いことです。人間はやっぱり、コミュニケーションを取ることによって学習するんです。人類がいま地球上で1番優勢な種として大きな顔をしていられるのは、コミュニケーション能力と学習能力がほかの動物に対して優れているからですね。でも肉体的には弱いんです。人間は特に文字ができてから、前の世代が発見したことをものすごく効率良く受け取れる様になった。やっぱり文字のない社会と、ある社会では学習速度が全然違う。これから冬になると、フグ料理が出てくるじゃないですか。てっさとかてっちりとか。あれを食べるごとに思うんだけど、これを僕たちが食べられるようになるまでの間に、古代ではどれだけの人が命を落としただろうかと。文字のない時代は、悲惨だったと思うんですよ。

――そうですよね。


本間正人氏: 文字があることによって、「このフグは卵巣に毒があるよ」とか、「このフグは精巣に毒があるよ」というのが伝わって、かなり人類の生存率が高くなったんじゃないかなと思うんです。これが活版印刷技術が普及し、紙が安価になることによって、学習速度はさらに高まっていくわけですね。僕は、現代文明は学習のたまものだと思っているんです。それがコンピューターになり、書籍が電子書籍になっていくっていうのは、さらにこの人類の学習速度が高くなっていくことだというのが僕の基本的な認識なわけです。

セミナーで受講者が電子書籍を買う時代



本間正人氏: 電子書籍のお話でね、どうしても今日言っておこうと思ったことがあったんです。僕は仕事柄、色々なところで講演するじゃないですか。企業研修だったり、NPOベースで子育てコミュニケーションとか、あるいは最近プチ哲学とかね。そうするとね、「本間先生、ご著書を今日は売ってないんですか」とかよく聞かれるんですよ。いまね、普通の本屋さんで僕の本なんか置いてないんですよ。

――そうですか?


本間正人氏: いや、大きな書店に行けばありますよ。三省堂だとか八重洲ブックセンターとかオアゾの丸善とかにはあります。でもそこらの本屋さんにはないですね。町の本屋さんへ行ったら、ベストセラーと漫画と雑誌しかないじゃないですか。限られてますからね。だからちょっと大きめのところで日経文庫の『コーチング入門』っていうのはあるかもしれないけど、それ以外の僕のビジネス書とか英語に関する本なんて売ってないんですよ。もう回転が速いから、本屋さんが置けないんですよね。それで、「Amazonで買ってくださいね」になるんだけれども。講演とか研修とかで僕の話を聞いて、「ああ、面白かった」って。講演の中で、本の話もちらっと入れると、皆さんが「本を買えないんですか」と聞いてくださるんです。

――その場で買えたら、皆さんよろこばれるんでしょうね。


本間正人氏: そう。でも、1200円の本を、10冊持って歩くのは重いんですよ。著者印税10%でね、120円の利益のためにですね、持って歩く根性がない。売れ残ったら、それまたしょぼしょぼ持って帰ってきて重い思いをしなきゃいけない。とてもじゃないけどね、よっぽど人数の多い講演で、どーんと送りつけていっぱい売れる見込みがあったらやるけれども、そうでなきゃやり様ないんですよ。ところが、こないだ初めて、研修の後で、参加者の方が端末を持って来てですね、「本間先生の本ってどれがお勧めですか」って言うわけ。「今日はコーチングの研修だったから、じゃあコーチングのこれですね」って言って。その人は「ピっ」ていってその場で買ってくれたの、電子書籍で。

――それはすごいことですよね。


本間正人氏: 「なるほどこうなるのか」という風に思ったんですよね。それで「皆さん電子書籍が即この部屋の中で、お手元でお買い求めになれます」と。今度から講演で言おうと思いました(笑)

電子といわれなくなると普及する?



本間正人氏: いまメールって言えば電子メールのことですよね。「電子メール」とか「Eメール」って言わないじゃないですか。それで、手紙って言ったら紙じゃないですか。それと同じ様に、僕たちは、ひょっとすると電子書籍を「ブック」と言い、紙の本は「本」と言う時代が来る。いや、もう来年くらいからそう言ってるかもしれない。

――わざわざ「電子」と言わない時代がくるんですね。


本間正人氏: 「電子書籍」なんて言わないで「ブック」って言ったら電子書籍で、「本」って言ったら紙の本みたいに。「ライス」と「ご飯」の使い分けとかね、日本人そういうカタカナをうまく使うっていう伝統があって。これひょっとすると「ブック」って言ったら電子書籍になるんじゃないかなっていう気が非常にしました。

――「電子」という言葉が取れることによって普及していくということでしょうか?


本間正人氏: そう。やっぱりアメリカとの比較で言うと、日本では文庫本っていうのが、ある意味、電子書籍の価格帯でかなり普及をしていた。特にアメリカは車社会だけれども、日本人、特にビジネスパーソンは電車に乗りますね。そうするとキオスクとかで文庫本を売っている。ここが、ある意味これまで電子書籍の普及をちょっと遅らせてきた。アメリカって文庫本に相当する低価格のものがなかったわけですよね。

――そうなんですか。


本間正人氏: だからハードカバー、ソフトカバー、ペーパーバック、そして電子書籍だったんだけど、日本の場合はここに文庫本っていうのがいままであった。でもこれから加速度的に電子書籍化されると思います。これはやっぱり端末が豊富になり、軽くなり、通信速度が高くなり、もうピピッとどんどん手軽になっていく。電子決済の、少額決済のコストがすごく安くなったことも大きいですね。前はいちいちクレジットカードなんて言ってたのが、いまは電子マネーもバリエーションが豊かになりましたからね。だからやっぱり、電子書籍、間違いなく普及していくと思います。

――確かにわざわざ「E何とか」なんて付けてる時までは、まだ普及していないし、定着していない感じですね。


本間正人氏: そうなんですよ。昔は「自動車電話」とか「携帯電話」とか何とか言ってたんですよね。だから、物珍しく一般化する前は名前が長いんですよ。短くなって初めて本物になってくる。携帯でありスマホでありっていうのはまさにそういうことじゃないですか。電子書籍も「電子書籍」なんて漢字4文字使ってるうちは普及してないっていうことですよ。

著書一覧『 本間正人

この著者のタグ: 『コミュニケーション』 『政治』 『言葉』 『学習』 『コーチング』 『留学』 『本質』 『認識』 『政経塾』

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